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小説詩集1「ハチの巣」~

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文章ずき~ということで詩のような小説、小説のような詩を「小説詩集」としてまとめていきます。時をこえて出会う淡い夢を風船に込めるように飛ばしつづけます。
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#純分

小説詩集「青いサンゴ礁」

私は青い大海原へとダイブした。 そこはあくまでも澄みきって自由だった。 そのはずだった。 早朝私は家を出る。白いあぶくがブクブクと私を包む。四肢を伸ばして泳ぎ出すと水は冷ややかで、それを感じながら私は進む。白いサンゴが美しい。赤いサンゴも眠る貝も美しい。右を見て、左を見て、耳を澄ませ、私は軽く笑みをつくった。すべてが体にしみ込む。子供の頃と同じだ。と言っても、いつ頃のことかは定かでない。 信号を待つ。徐々に私は喧噪に包まれる。赤いシグナルと青いシグナルが交互に現れる。それは

小説詩集「ハチの巣」

ある日、テロリストがやってきて、その機関銃の雨にさらされてハチの巣になったとしたら。それが比喩でつまり機関銃の雨は人の言の葉でテロリストは同僚だったり、上司だったり、友人だったとしたら、私たちはぼろぼろのずたずたに血を流し、その液体は体内を蝕むだろう。 けれど、もしそれが比喩じゃなく本物にリアルな銃弾だったとしたら、残されたものが血を流しぼろぼろのずたずたで、液体にえぐられてゆくだろう。 突然に病はやってくる。突然に不幸がやってくる。 順番だよって天空から声がする。 けれど