短篇「君を見つけてしまった」3/8
⁑ 3 ⁑
薄いウイスキーを飲みながらカウンターで皿洗いをする彼女を見ていた。
「僕ら同じ学校の学生だよね」
頃合いを見て話しかけてみた。
「そうなの?知らなかった。というか人の顔おぼえられなくって私、と言うか人の顔あんまり見てないし」
そう言いながら彼女は僕の目を見ていた。
「専攻は?」
「にんぎょう科学よ」
「人間科学じゃなくって?」
「人形科学よ、人間が人間を操る動機、あるいは操られる仕組み、あるいは人形という悪夢と芸術性、それを勉強してるの」
「そんな分野が