(詩)旅に疲れた心は

心が旅する海は
いつも嵐の中を
突き刺す雨に打たれ
いくつもの波に砕け散りながら

それでも心は死なない
海に飛び込んでも
心はすぐに浮かんでくる
ビルから飛び降りても
心はすぐに風になってしまう
たとえどれだけ血を流し
飢え渇き
息を止めても
それでも心は生き続ける
それでも心は残り、存在し
そして

心が旅する海はいつも
かなしみの地図でいっぱい
いつもおぼれそうになりながら
それでも心は
かなしみから逃れられない

人はいつも
空の青さや海の広さに
心引かれるけれど
人の心が本当は
空よりも青く、海よりも
かなしいことを知らない

人は宇宙の永遠について語るけれど
わたしの心がいくつ旅をしてきたか
わたしは知らない


旅に疲れた人は
体を休ませるけれど
旅に疲れた心は
いつもただぼんやりと
海を見ている

海が青いのは
空が青いからではなく
わたしの心が青いからです

しおざいが終わらないのは
わたしのかなしみが
永久に終わらないからです

もう永久に
終わらないからです

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