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(詩集)きみの夢に届くまで

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詩の数が多いので、厳選しました。っても多い?
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2023年12月の記事一覧

(詩)諦念

むずむず、こそばゆさに 目を覚ました 街の片隅、路上生活の その幼い子どもは 自分の顔に 羽虫がとまっているのに気付いて 手で追っ払う また別の虫が飛んで来て、とまり また別の虫、また別の虫…… 髪の毛、額、瞼、鼻、頬、唇、顎、耳…… ぶんぶんぶん、さっきの虫も舞い戻って来る 払えど、払えど、切りのないことに やがて気付いたその子は 払うのを止め、ため息を吐く

(詩)少女が虹を描いている

少女が空に虹を描いていた 色は七色で塗ってくれるかな 透き通るような青空にお似合いの けれど少女の虹は灰色一色 丸で憎悪に満ちたケムトレイルみたい 何かつらいことでもあるのかな この世界から 逃げ出してしまいたいのかな 少女が空に虹を描いていた 涙の色って何色だろ 少女の涙にも 虹が架かればいいのに たとえ涙色の虹でもいいからさ 少女が空に虹を描いている それでも少女が笑う時 空にはやっぱり 七色の虹が 架かっていてほしい

(詩)水平線

ぼくが死んだら ぼくはきみの太陽になろう きみが地球で ぼくが太陽になるってことさ 今水平線の彼方へと 太陽が沈んでいくけど 暗黒の宇宙の闇の中を一巡りしたら またきみの前に帰って来るから 静かな夜明けを連れて 確かに帰って来るから 夜は愛を育む沈黙の時間 そして地球のきみは ぼくの光をいっぱいに浴びて たくさんの生命を 地上に産み落とすのさ きみの上でたくさんの生命が 今も生まれては死に 死んではまた生まれ来る ぼくが死んだら ぼくはきみの太陽になろう だからい

(詩)膝っ小僧

どうして名前に 「小僧」が 付いてるか分かった 苦しい時 ひとりぼっちの時 抱き寄せて 泣きそうな ほっぺ当てたら やさしく 慰めてくれるから