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詩の倉庫と化してます。多分1、000個位はいくかと。
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#空

(詩)ぼくが海なら

死にたいきみへ 生きていたくないきみへ もしもおれがきみの 心臓の鼓動なら 今すぐにでも 止まってあげたい でもおれはただの 人間の屑だから おれが海なら きみの好きな夏の海でさ そっときみを つつんであげたい 生きもせず かといって死にもせず ただ 夏の空の下で つつんでいてあげたい おれがきみの、涙の海ならば

青い空 空が青い どこまで行っても 空が青い ずっと見ていても 空が青い 無性に空が青い あんまり青いので 空を見上げて 泣いてもいいよ、と 言ってるみたいだ 青い空 空が青い 世界中の 青い絵の具が みんな 品切れにならないかな

鳥が空を飛ぶように

今日も鳥が空を飛んでいる 空は今日も青く澄み渡り たからきっと 人も死なないのだ いつか今のわたしは死んでも また或る日何処かで 別のわたしが生まれ そして今日も わたしは生きている 百年後も千年後も 鳥が空を飛んでいたら やっぱりわたしは 同じようなことを考えている そんな気がする

(詩)緑と青

まるで名前のよう 緑が女の名で 青が男の でもちょっと青なんて いかしてて変わった名前かな 空の青さと地上の緑が 風と木洩れ陽の中で 響き合い溶け合う五月 空がひとりの少年で 地球がひとりの少女 まん丸くて ちょっと太めの女の子だけど 空と地球が 大人の恋をしたような 五月はそんな眩しい季節です 日射しが日増しに 強くなってゆくのは 太陽のジェラシーかも知れず されどその次に来る六月は パトロンみたいな太陽に 地球を強引に奪われた 空の失恋の涙かも知れません

(詩)青、見つけた

(一) 空がなぜ青いか 知っているかい それは地球が この星が青いからさ そして この星が青いのは 海があるから 空は鏡 この星の青さを映し出す じゃあどうして この星には海がある それはね ぼくたちの目に 涙があるのとおんなじ理由 空が青いと、安心するう 空が青いと、うれしくなる 空が青いと、眩しくて 泣きたくなる 空がなぜ、青いか 知っているかい (二) この悲しみに満ちた地上を 今日も見下ろし 空は一体、何を思う この悲しみの惑星、地球を すっぽりと包

大好きな空

ここから見える空、 大好きだったんだけどな ビルの窓から空を見上げながら 退職するその人は言った 空だったら 何処に行っても 見れるじゃないですか わたしはそう答えた 何処に行っても青空 何処まで行っても そこには必ず、空があった 大好きだった青い空 大好きな、わたしの空

(詩)朝起きたら

まず空を見上げよう それからすべてを始めよう 晴れていたら にこっと微笑み 灰色に覆われていたら ぐっと涙をこらえ そして黙々と生きてゆこう 汗水を流し 堪え切れなくなったら 涙をこぼし 明日はきっと 空に笑い返せるように 空もわたしも笑えるように 朝起きたら、空を見よう

(詩)とんぼ

わたしの肩に いっぴきのとんぼ とんぼはじっと 青い空を見ている やわらかな風に吹かれ 気持ちよさそうに 思わずわたしも 空を見上げた 風の音に耳を傾けた 遠い何処かの海の音さえ 聴こえてくるくらい 耳を澄まし どうしてわたしが 今ここにいるのか 忘れるくらい そうしていた 飛び降りるつもりで 高層ビルの 屋上にしのびこんだ わたしの肩に いっぴきのとんぼ

(詩)東京の空

『東京に空が無い』そうですが 東京に空はあると思う あの東京の空だって やっぱり空、確かに空、 それでも空だと思う 東京の空はシャイで無口で 眩しい青空じゃ ないかも知れないけれど それでもやっぱり一応青空で いつもみんなのことを ちゃんと見ていてくれる気がする あの大都会の渦のような人波や 大群衆やラッシュアワーや それから路上生活者や ビルから飛び降りる人や 電車に飛び込む人や まっ暗な部屋でひとりぼっちで リストカットする少女や それでも東京の空は逃げ出さず 今日

(詩)空の撮影会

(一)白い雲 曇り空 心が曇る、なんてね なんだか グレイなイメージしか 思いつかないけれど 青い空に 白い雲が浮かんでいる ぽっかりと 浮かんでる位ならいいけれど 時には青さを覆い隠して 空を占拠 青空を 独占した気分なのかな 雲だって晴れた日が好き 大空が好きで 青い空が大好きで 空の青さに憧れながら 今日も 白いぽっかり雲が 青い空に浮かんでいる (二)空の撮影会 空を撮ろうと思ったら 結局、雲を撮っていた 雲が主役で、空は脇役 雲がモデルで、空は背景 結

(詩)星に空が有るように

星に空が有るように 花に大地が有るように 人にも神有り 人には神様が有り ひとりぼっちじゃない 神様がいてくれるから 人もひとりじゃない 神様はちゃんといるからね

(詩)ブルーアンドブルー

「あっ、空が青い」 まだ人間が 地球に現れる前 空は青くなかった 無色透明か グレイ、だったらしい だから 海も青くはなかった 人間たちは地球の上で 争い合い、憎しみ合った 人間たちはいっぱい 涙を流した 大人も子供も 泣いて泣いて泣き叫んだ 人間たちの涙は 海へと運ばれ 涙を含んだ海水は 蒸発して空へ昇った それから しばらく経った或る日 空を見上げた ひとりの少年が こう叫んだ 「あっ、空が青い」

(詩)桜と空の恋

桜とブルースカイは良く似合う 丸で大昔から空は やがてこの地上に 桜という木が花を咲かすと 知っていたかのように 桜の花と ブルースカイは良く似合う ピンクとブルー あれっ、女と男じゃん、てか 桜と空の恋 幾数千万年 焦がれても焦がれても 叶わぬ恋 焦がれても焦がれても 叶わない恋だから 届かぬ空へと 花を散らすのか桜花 空の青さに憧れて 空へと向かって 飛んでゆきたい 空へと飛んでゆくように そして舞い散る桜の花

(詩)すずめと野良猫&公園のキャットフード

すずめと野良猫 雀がキャットフードをついばむ スナック菓子頬張る音をさせて こう見えても肉食派だぜ そこいらの野良猫にゃ負けねえぜ やせた野良猫は背中丸め ぼんやりと空を眺めている ふー、空でも飛びてえなっ……。 公園のキャットフード 誰か親切な人が 自分のために 公園の隅に置いていった キャットフードを 雀や鳩やカラスが食べても 野良猫は平気でいる それが自分の物だと 野良猫はわかっていないから しっとりと濡れたキャットフードが 雨風に洗い流されてゆく 明日、天気に