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介護入門 モブ・ノリオ

ストーリーは無い。倒れて言葉を失った祖母を自宅で真夜中も添い寝して介護する大麻常習の青年のラップとなった呟きが全編を覆う。介護する自分とわずかに反応する祖母の可能性に穢れた世の中になんとしても生き続ける力を見つけようとする叫びの連呼である。叫びはリズムとグルーブを生む。髪を黄色に染め、定職にもつかず、大麻を吸って放逸のように暮らす孫と祖母との介護を通しての情愛の祈りの姿の違和が興味の入り口ではある。しかし看護とは真っ当に生きようとする男の余裕もなき真剣な祈りであり、生き方の今の形であった。

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