【考察】夢には「魂のある者」と「創られた者」が混在する?
この物語では度々「現実でないシーン」がでてきますが、全て読み返したところ「夢」「黒青野の結界」「異界」の3パターンがあるように思えます。
「黒青野の結界」は分かりづらいですが、鉄平vs黒青野や優里母が青野母が自殺だと話した後のシーンです。「異界」はこれまで3度起こった神隠しです。
今回は一点目の「夢」について考察します。
✴︎夢の共通点✴︎
・優里は黒髪の元の姿
・登場人物は①優里②青野くん③青野母
・青野くんも元の姿(黒青野は出てこない)
・”×印”か”隣り合う太陽と月”のどちらかが必ず出てくる
✴︎これまでの夢まとめ✴︎
【1回目】
美桜の家の前で憑依後 2巻
旧青野家アパートに連れていかれる
×印 あり
太陽と月 あり
青野母 気配のみ
【2回目】
倉庫で憑依後 2巻
旧青野家アパートで青野くんが優里に無理やりご飯を食べさせようとする。
青野くんは母が「帰ってきた」と表現。
「絶対に見つからないで」と優里に言う。
×印 あり
太陽と月 なし
青野母 家に帰ってくる。「誰かいるの?」と青野くんに尋ね、テーブルの下を覗き込もうとする
【3回目】
眠っている間に優里が見た夢 4巻
棚石で青野くんが優里のお腹に名前を彫る
×印 なし
太陽と月 あり
青野母 なし
【4回目】
優里母が青野母の自殺の話をし、優里が黒青野を中に入れてしまった後のシーン。
ベッドの下に赤ちゃん(恐竜)がいる。クローゼットに隠れるがいつのまにか赤ちゃんがいなくなり、青野母が隣に。「死んでもいいの…?」
×印 あり
太陽と月 あり
青野母 「来る」と恐竜は表現。「お〜い」と探し回る
【5回目】
滝壺の中、2人が同じマンションで暮らす
7巻
×印 あり
太陽と月 なし
青野母 なし
【6回目】
優里が寝ているところに、青野くんが腹の中に沈んでいく 9巻
・黒青野が翠ちゃんを操り、優里に自己否定感を植え付けるような描写
・そして、優里と青野母が対面
・夢の最後だけ、優里は現在の白髪姿になる
【考察】
✴︎四つ首様編で希美が自分の見た夢について「沢山の人が山に入っていって」「そこにわたしはいなかった。」しかし「わたしはそのたくさんの人たちの全部だったの」と言う。
これは、実際起きている出来事を感じ取って見た夢だが、あくまで夢の中のため山に入る人々はすべて「夢の中で希美が創り上げたもの」という意味なのではないだろうか。
つまり、夢には「魂のあるその人自身」と「夢の持ち主が創り上げた存在」の2パターンがいる。
✴︎夢の中の青野くんは、普通の青野くんの目をしながら行動は黒青野に近い。優里が夢の中で創り上げた「青野くん」を、夢に入り込んだ黒青野が操作しているのでは。
同様に、翠ちゃんも黒青野が操作し、優里に自己否定感を植え付け自分に依存させた。
✴︎美桜の考察では、
「他人の夢には許可が無いと入れない」
以下は優里の夢に入れている理由の考察。
青野くん…
・優里と一心同体となっているため入れている
(滝壺の下で結菜の夢に蒼太が弟として現れたように、「霊と生贄」の関係だと霊は生贄の夢に現れることができる)
青野母…
・終わらない階段のシーンで青野母が段々優里に変わった描写のように、「青野くんの母(になる)」という共通点から青野母=優里と定義されている
・もしくは、青野母は青野くんが無意識に生み出してしまった「お友達」
✴︎四つ首様編のマンションの夢から抜け出した後、藤本が「誰が見せた夢なのか」と問う。これは非常に重要な問いである。
9巻の翠ちゃんに優里が虐められる夢は、黒青野が見せている夢と考えるのが妥当である。
しかし、それまでの夢も全て黒青野が見せているものだとしたら、「母の乱入」は黒青野にとってメリットがない。ということは、「青野母」は青野くんの創り上げた「お友達」ではなく、やはり母の霊が優里と青野くんの夢の中に入ろうとしているのだろうか。
✴︎「死んでもいいの…?」は青野くんが過去に母に言われた言葉なのでは。
その時のやりとりが原因で母が死に、青野くんは自責の念に駆られているとも考えられる。
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