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パウンドケーキは誰のもの?

ある家族が旅行で那須に行きました。農園でいちご狩りを楽しみ、牧場を走り回り、温泉で疲れを癒やす。とても有意義な時間でした。小学2年生になった子供は、この楽しい思い出を胸にとどめるため、お土産を一生懸命選びました。
那須高原らしい、美味しそうなパウンドケーキに惹かれ、それを手に取りました。お父さんは自分へのお土産のビールとともに、それを買ってあげました。

楽しい旅行から10日ほど経ちましたが、子供はパウンドケーキのことなどすっかり忘れていました。たまたまお菓子が大量に家に届き、パウンドケーキ以外のお菓子を楽しんでいたからです。

そんな時、子供はお隣の家の子供と揉めてしまいました。幸いにも怪我はなく、子供のちょっとした諍いだから…と、お互いの家の親は笑い合う程度。むしろ預かっていたのに申し訳無いと菓子折りを持参してくれました。こちらもそれは申し訳無いと、例の那須で買ったパウンドケーキをお渡しいたしました。

これに子供は大号泣。どうして大切な思い出をあげてしまうんだ…と。

要点を整理しましょう
・子供は大切な思い出を断り無くあげてしまった事が悲しかった。
・親はいつまでも食べないパウンドケーキだからあげても良いと思ったし、どう見てもお互い悪いのだから相手が一方的に謝ってきた事が申し訳無かった。

パウンドケーキは誰のものだったのでしょうか?


はい、こんな話を聞きました。
これは会社でよく起こっている権力構造と一緒だ!と……。

愛社精神を持て!フォアザチームだぞ!と言っておきながら、自分だけ高給取りで、自分だけ会社の経費を使い放題。これと一緒だと思いませんか?

確かにパウンドケーキのオカネを支払ったのは親です。しかし、子供も思い出とともに、自分のものだという自覚はあったはず……。

なのに、子供に断りもなく他人にあげてしまったという絶望感。


会社において、社長(取締役とか)だけが社用車に乗っている
社長だけが専用駐車場を持っている
社長だけが経費を使う時に事前許可が不要
社長だけが出勤時間が自由
社長だけがタイムカードを押さない
社長だけが平日にゴルフに行ける
社長だけがグリーン車やビジネスクラスに乗れる

これってどうなんでしょう?


パウンドケーキの例においても、アドバイスプロセスを経てから贈答すれば話は少し違ったと思います。

親が子供に
「菓子折りもらったけどお互い様の喧嘩だったから、ウチも何かあげるね。このパウンドケーキしか未開封のものがないから、これあげるね。このパウンドケーキはあげたくないんだったら、他の何かを買ってくるか探すかしようね」
というように、アドバイスプロセスを行ったらどうでしょう?


会社でも同様に
「この空気清浄機を接客ルームに欲しいんだけどどうでしょう?明日までに意見あればください。意見無い場合はこの空気清浄機をこの値段でAmazonで買います」
このように社長が、経費を使う前にアドバイスプロセスを必ず行う。

会社というものが、みんなのものだ!という実感に包まれますよね?



パウンドケーキは誰のものだったのでしょうか?

とても意義深い話だったと思います。

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