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高校生クイズに出た話⑦決勝をかけて

ついに7話目に突入。
決勝の地へ向かう船内からお届けします!

***

決勝の地へ向かう船に、
正規ルートで乗り込む私たち。
917ものチームが各県3チームにしぼられた。
残ってるチーム数の少なさに
リアルにびびってくる。
「私たちほんとに残ってていいの?」
という思いがずっと消えない。
船に乗り込んでいく他のチームを見渡す。

あきらかに 浮いてる。
浮いてる あきらかに。

二回言った。
しかも倒置法で(語調を強める効果があるよ)
あ、浮いてるって、船がじゃなくて私たちがね(うるさい)
だってみんな頭がよさそうなんだもん。
いや、きっと頭いいんだもん。
頭いいオーラでてるもん。
とにかく自分たちが浮いてることは自覚できた。
なんか、居心地が・・・ヨクナイ。

よし、スタッフサイドにつこう。
東京から来ていた少しチャラい感じ(失礼!)の
スタッフさんを見つけてすごくホッとした。
そして話しかけたりしてみた。
忙しそうで相手にしてくれなかった。
私たちはただ役割がほしかっただけなのに。
「スタッフさん、その荷物運ぶの手伝いますよ?いやむしろ手伝わせてください。お願いします。」
と言いたくて
でも言えなくて、夏。
みたいな。

あがったテンションもちょっと落ち着いてきて
大人しくしていた私たち。
そんな状態なので
仕事がないのならそっとしておいてほしいのに
スタッフさんが、
船の中でも3択クイズをするとか言い出す。

まったく、どんだけクイズさせたら気がすむん?
と言いかけて、
あ、これクイズ番組やん、と気付いて
何も言えなくて、夏。

そして全チームが甲板に集められ、
3択クイズが始まった。

スタッフ「各県3チームのうち、このクイズの成績が最下位のチームは決勝の地に降りることなくその場でUターン。予選敗退ということで帰ってもらいます。」

なんだよ、船にまで乗せといてその惨めな感じ!

・・・あ!
なるほど、それがオチか!なんか、腑に落ちた。
「自分たちの役割」ってやつだ。

とか考えながらも一生懸命、問題を解いていく。
正解か不正解かもその場で教えてもらえず、
もちろん自信のない回答が続く。3択なのが救い。
手ごたえがないものの、
クイズを解き終えてホッとした私たちは
到着までひっそり過ごそうと静かに息をひそめていた。

それなのに。

またスタッフさんが私たちを手招き。
なんだよ、荷物運ぶの本当に手伝ってほしいの?
と手招きする方へ向かうと
新居浜東高の3人が集まっている。

「僕たち、今日のために必死に努力してここまできたんです。
 どうかここはコレで・・・」
という賄賂的な話。

ではなく。
3択クイズの結果が新居浜東高校と同点だったようで
最下位を決めるために正々堂々・・・
再度3択クイズをするようです。

またクイズかーい!

と言いかけて、言えな…(略)

そんなわけで、船の隅っこに呼ばれ
スタッフに問題を出され 答えを耳打ち。
え、耳打ち?
めっちゃ地味。
地味なりにもなかなかな好勝負を繰り広げたようで
「お前らいい加減決着つけて~」
と、スタッフさんに言われながら
結構な数の問題を解いていった。
どうやら決着はついたようだが、
その結果はまだ教えてくれなかった。

船の中ではずっとクイズ漬けで、
心も頭も休まることなく決勝の地へ到着。

すると、なにやら安そうな(!)ゲートが用意されている。
どうやらこのゲートをくぐって船を降りるらしく、ゲートをくぐる時に「ブブー」って鳴ると最下位。
つまりそこでさよなら、Uターン。
島に足を踏み入れることすら許されない、
という演出だ。

なんだか、ちょっとだけ寂しくなってきた。
最初はこんなところまで自分たちが残れるとは
想像もしてなかったし
ちょっと参加してみるってことを楽しみに
来ていたはずだったけど
ここまでくると少し、欲が出てきた。
「欲を出した途端なにも手に入らなくなる」って
そういえば昔、よくじいちゃんが言ってた。

なによりあの3択が
(むしろ最初のYES/NOクイズから)
全然わからなかったんだから覚悟を決めないと。
奇跡はここまで。十分楽しかったじゃないか。
現実はそんなに甘くない。
引き際はかっこよく決めよう。
私たちに求められている仕事をしよう。
そう、最高のリアクションをとってやろうじゃないか。
ブブーと同時に「あぁー・・・」と
思いっきりうなだれてみせよう。
うん、そうしよう。
カメラさん、準備OK?

「ブブー!」

あぁー・・・


ってあれ?私たち、まだくぐってないよね??
と思って顔をあげると、
なんとさっきの新居浜東高の子達が
がっくり肩を落としてうなだれているではないですか。


や、それ私たちのしご・・・と

ん?
つまり?
まさか??

おそるおそるゲートをくぐる。

「ピンポンピンポーン!!」

決勝戦進出ー!!ファイヤー!!

私たちは決勝の地へ降り立つことを許されたのだ。

じいちゃん、
世の中ってなにが起こるかわからないんだね。

さて、次回はいよいよ決勝戦!
こんなにひっぱってオチ大丈夫??
なんて声も聞こえてきそうですが・・・
オチとかそうゆうんじゃなくて
これ、大豆ですから。

間違った。

これ、実話ですから。

そんなわけで。
みなさんそろそろお疲れでしょうが

つづく

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