見出し画像

ミュージカル映画「オズの魔法使い」レビュー

劇団四季「ウィキッド」がよかったので「オズの魔法使い」も視聴した。
名作なので「ウィキッド」が生まれる理由もわかる。
タイトルは子どもの頃から知っているはずなのに視聴は今回が初。
子ども向けな感じの「不思議の国のアリス」に似た作品なので
「かわいいー!」と思いながら見てたけど、
まさか最後に泣くことになるとは思わなかった。
自分の心にこんな子どもの部分があったとは…。

以下、ストーリーの詳細。
主人公の女の子ドロシーは「ガルチさんがトト(飼い犬)を蹴った!」と
家族や身近な大人に訴える。
映像は白黒フィルムだ。
そこへガルチさんが「犬に噛まれた!殺す!」と騒ぎに来る。
ドロシーはトトの引渡しを拒むがガルチさんは保安官からの証明書を提示。(舞台はカンザス)
ドロシーをかばっていた大人たちもこれにはどうにもできない。
「あなたは魔女よ!」と叫ぶドロシー。

ガルチさんはトトを連れていくが、
トトは逃げ出してドロシーのもとに帰ってくる。
喜ぶドロシー。
しかしガルチさんはすぐに気付いて帰ってくるだろう。
トトが殺されてはいけないとドロシーは家出をする。
家出をしたドロシーが出会ったのはエセ占い師。
占い師はドロシーが家出してきたことに勘付き、水晶玉に向かう。
「エムおばさん(ドロシーの保護者)が君のことが心配すぎて病気になっちゃった」
「大変!帰らなくちゃ!」
走って家に向かうドロシー。
占い師はそれを見送るが、竜巻が起こる。
占い師はドロシーがちゃんと帰れるか心配になって後を追う。

ドロシーが家に帰ると大人たちは誰もいない。
そこに竜巻がきて、ドロシーとトトは家ごと空に飛ばされてしまう。
家が落ちた場所はオズの国。(ここからカラー映像になる。良い演出)
良い魔女グリンダによると「エメラルドシティに行けば偉大なるオズの魔法使いが帰り方を教えてくれる」らしい。
ドロシーは元の世界に戻るための旅に出る。

ドロシーは旅の途中で喋れるかかしとブリキ男と臆病なライオンに出会う。
ドロシーは3人に対して「どこかで会った気がする」というが、
3人は「ずっとオズの国にいるから会ったことはないと思う」と言う。
禍々しい悪い魔女がドロシーの旅路を邪魔するが、
3人とトト(と、たまにグリンダ)がドロシーを助けてくれる。
ドロシーの願いは家に帰ること。
かかしの願いは脳をもらうこと。
ブリキ男の願いは心をもらうこと。
ライオンの願いは勇気をもらうこと。
4人の願いはどれも難しいけれど、オズの魔法使いなら叶えてくれるはず。

悪い魔女の妨害をかいくぐり、ついにオズの魔法使いのもとにたどりついた4人とトト。
ところが願いを叶える前にオズの魔法使いは試練を与える。
それは「悪い魔女を倒すこと」だった!

悪い魔女との戦いの過程で、
かかしもブリキ男もライオンも、
ほしかったものを無意識に自分自身で獲得していく。

ついに悪い魔女を倒してオズの魔法使いのもとに戻った4人と1匹。
オズの魔法使いはドロシーに「元の世界に帰してあげる」と言う。
オズの魔法使いも元は現実世界の人間だったらしい。
オズの魔法使いとドロシーは気球に乗って帰ろうとするが、
ドロシーが気球に乗りそびれてしまう。
オズの魔法使いだけが気球で飛ばされていく。
離れ離れ。
良い魔女グリンダが「大丈夫」と言ってドロシーに別の帰り方を教えてくれる。

目が覚めるとドロシーは家のベッドで寝かされていた。
ベッドのそばにはエムおばさん。
ドロシーを心配してかけつけた冒頭の大人たち3人。
あれ?3人はそれぞれ、かかしとブリキ男とライオンにそっくり!
ドロシーが「どこかで会ったことがある」と感じたのは気のせいじゃなかった。
3人はずっとドロシーのそばにいたのだ。
トトもいる。
そこへ「無事に帰れたようでよかったよ!」とドロシーを心配して追いかけてきたエセ占い師が登場。
このエセ占い師がオズの魔法使いそっくりだった。
オズの世界での仲間たちが大集合!
驚き喜ぶドロシー。

ガルチさんはもうトトを殺しに来ない。
だって、悪い魔女はみんなでやっつけたのだから。

最後の場面で泣いてしまった。
子供に「まわりの大人はいつも味方だよ」と伝える優しい童話だ。
シンプルに王道の「行きて帰し物語」。
こういうの本当に好み。
現実とは別の世界があって、そこに逃避したり、冒険したりで主人公は成長していく。
やがて元の世界に戻る。
しかし向こうの世界と完全に断絶されるわけではなく、
むしろ二つの世界のつながりを強く感じることになる。
この構造を複雑化した名作が「千と千尋の神隠し」や
「君たちはどう生きるか」な気がする。(この2作でも泣く)
あー全部好き。

この物語の悪い魔女にスポットライトを当てたミュージカルが「ウィキッド」だ。
良い魔女グリンダと悪い魔女エルファバは実は大学の同級生で…という話。
エルファバを悪役として扱わないことで人物像に厚みを出す。

アメリカでは「悪役は生まれながらに悪役」という考えが根強く、悪役に「実はこんな優しい一面があって…」みたいな設定はウケが悪いと聞いた。キリスト教の国なので宗教的背景を考えればそういうものなのかもと思う。でも「ウィキッド」はウケてるから不思議。
本家から派生した別作品という扱いならなら受入可能なのかな?
「オズの魔法使い」も「ウィキッド」も両方名作なのがすごい。

「ウィキッド」レビューはこちら↓
劇団四季「ウィキッド」レビュー|青野晶(@aono_akira0614) (note.com)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?