見出し画像

生成AIについての意見出してきた

内閣の知的財産戦略本部が意見募集してたので出してきた。
以下はその記録。

概要: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/ikenbosyu_20231005.pdf

Ⅰ. 生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について

1.生成AIと著作権の関係について、どのように考えるか。

生成AIはあくまで道具であり、著作権の問題解決はその使用者との間で行われるべきだと考える。
現状の生成AIは、意図した指定や追加学習などを行わない限り、既存の著作物に偶然似てしまうケースは稀である。その為、創作の依拠性についても、その作品間の類似性を以って十分に判断できると思う。

2.生成AIと著作権以外の知的財産法との関係について、どのように考えるか。

著作権と同様、意匠権や商標権の侵害が起きる可能性はあるが、使用者が判断して侵害を避けるべき事柄と考える。不正競争や肖像権等の問題についても、それがAI生成物であるかどうかに依らない形で保護や規制が行われるべきだと思う。

3.生成AIに係る知的財産権のリスク回避等の観点から、技術による対応について、どのように考えるか。

例えばオンラインの生成サービスに於いては、既存の意匠などが出力されない仕組み等が考えられる。ただし、その為には登録された意匠などをデータセット化し学習させておく必要があり、その許諾を不要とする法整備などが必要になると思われる。

4.生成AIに関し、クリエイター等への収益還元の在り方について、どのように考えるか。

学習段階に於いても、生成・利用段階に於いても、生成AIに限った還元の仕組みは不要であり実現不可能と考える。
著作物の学習データセットは、観賞目的として利用できない形する必要があるため、必要以上の追跡性を持たない形で作成される。その為、学習元の権利者を特定したり、その依拠の度合いを算出することは不可能である。
また、現在は権利者の黙認によって成立している漫画などの二次創作についての影響も考慮しなければいけない。

5.AI学習用データセットとしてのデジタルアーカイブ整備について、どのように考えるか。

既に学習結果がオープンソース化されている現状で、公にアーカイブの整備を行う意義は薄く感じる。
ただ、意匠や商標など、AIによって「生成されて欲しくない」ものの学習用データセットを整備することは、リスク回避として有効だと思う。

6.ディープフェイクについて、知的財産法の観点から、どのように考えるか。

周辺領域として、肖像権や名誉棄損の問題が強いと思うが、元よりコラージュなどによる侵害はありAI生成物に限った問題ではないと考える。

7.社会への発信等の在り方について、どのように考えるか

特に画像生成の分野に於いて、その使用者に盗作の疑いをかけたりSNS上でバッシングを行う傾向が見られる。
絵柄や作風が著作権法の保護対象でないという点、またその理由についての啓蒙が不十分だと感じる。

Ⅱ. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について

1.AIによる自律的な発明の取扱いの在り方について、どのように考えるか。

人の発意を以って動いている以上、発明の過程に於いても「生成AIが道具である」という認識は変わらない。
少なくとも実効性の評価は人の手で行われている筈なので、自然人の発明と同様に取り扱って問題ないと思う。

2.AI利活用拡大を見据えた進歩性等の特許審査実務上の課題について、どのように考えるか。

生成AIモデルや生成フローの特許について、考える必要がある。
進歩性のない発明は特許を受けられない筈だが、現在の生成AIは特に進歩の早い分野なので、特許審査を行う側の調査力が問われると思う。

その他

上記の他、本意見募集に係わる項目についてのご意見

先日、日本新聞協会が生成AIの学習を問題視する意見表明をしていたかと思いますが、著作権法10条2項によれば「報道」は著作物に該当しない筈です。
もし新聞記事が事件の選択や情勢分析などの工夫を以って著作物としての価値を持つというのであれば、生成AIによる要約はその価値を損なう形で再構成されているとも言える状態かと思います。

上記の他、本意見募集に関わる項目についての情報提供

私は美少女ゲームメーカーの元経営者ですが、自社のゲームのシナリオデータをLLM(大規模言語モデル)学習用の日本語のデータセットとして、商用利用可能な形で提供しました。
参考記事:ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2310/03/news100.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?