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透明水彩絵の具の耐光性テスト


はじめに


はじめまして、青野ふみです。普段はX(twitter)で気まぐれに描いた絵を載せています。
Xにて耐光性テストをした画像を投稿したところ私のポストにしては結構な反響があったので、皆さん耐光性気にしているんだなと。
そんなわけで自分の備忘録をかねてnoteにまとめてみようと思いました。
しかしあろうことかそのポストを誤って消してしまうという大失態。
うそだろ……。というわけでXには現在件のポストは存在しません。前置き終わり。

その消してしまったツイートのスクショ

色の選定基準

私が所持している透明水彩絵の具のなかで耐光性が弱いとよく聞く色や、カタログに記載されている数値が低いものを選びました。
そうしたら赤系に偏ったので、比較用の耐光性が高いものも赤系から選びました。

ホルベインのオペラ、ローズマダー W&Nのローズマダージュニュイン
まっちのマゼンタ、カーマインレッド
比較用でマイメリのプライマリーマジェンタ
以上の6色をチョイス

テスト方法

結果に差が出ないようなるべくムラにならないよう塗り広げ、それを切り分けます。

切り分けたものを窓、壁、作品ファイルの中の三か所に保管後は時を待つだけ、という単純なものです。

保管場所について

ネットでみかける耐光性テストは窓に貼り付けて、というものが多いように感じます。
おそらくその方が早く結果が出るからですね。
ですが、購入したものにしろ自分で描いたものにしろ、窓に張るようにして飾る機会はそんなには無いですよね?
良くて窓際とか日差しのよく当たる壁とかかなと。
最終的な結果が一緒であったとしても、部屋に飾ってあった場合はどれくらいで退色するの?と思ったので壁にも貼ってみることにしました。
ただ壁に関しては窓よりも部屋の環境差が大きいと思うので、参考程度にお願いします。
ファイルは普段作品を保管しているクリアファイルです。保管場所自体も影になる場所なので紫外線の影響は受けにくいと思います。

結果(1年目)

壁に貼り付けたものは肉眼では変化は見られません。ほぼ退色していないと見て良いのではないでしょうか。


窓に貼り付けてたものに対しての所感


ホルベイン オペラ
ホルベイン公式主催の総選挙では1位になったこともある人気の色。
耐光性の高いPR122も入っているので意外と色が残っています。
ちなみに他のメーカーのオペラは顔料構成が違うので、退色具合も様々ですが比較的どのメーカーも退色しやすい模様。
「オペラ 耐光性」等と検索すると他メーカのオペラも含めたテストをしているのが引っかかるので見てみると面白いかも。

ホルベイン ローズマダー
ほぼほぼ跡形が無いです。
ちなみに、ホルベインのパンフレットにはオペラ★1、ローズマダー★2でオペラより星の数は多いんです。なので私は意外に思ったのですが、他メーカーの同顔料使用色も大抵低めの評価。PR83は退色しやすい色のようです。
ホルベインだとカーマインも同顔料使用なのでおそらくこちらも……。

W&N ローズマダージュニュイン
ホルベインと名前は似ていますが使用顔料は全然違います。
セイヨウアカネの根から抽出した顔料だそうで、バラのような香りのするロマンのある絵の具。
少し薄くなったかな〜という程度。もともとたっぷり塗ってもあまり濃くならない絵の具ですが、薄塗り過ぎると消えるかもしれない。


まっち マゼンタ、カーマインレッド
まっち絵の具にはいくつか種類がありますがこちらはベイシックというシリーズのもの。
色あせやすいというのは聞いた事があったのでさほど驚きはありませんでしたが、本当に跡形もない。ぶっちゃけ半年前くらいから色消えてました。
まっち絵の具もPB15やPR101など耐光性の高い顔料を使用している色もあるので全ての色がこうなるわけでは無いです。(多分)

マイメリ プライマリーマジェンタ
比較用に塗った耐光性の高い色。
流石に1年くらいではびくともしませんね。
実際はもう少し明るい色です。


まとめ

窓貼り付けに関しては凄いことになっている色もありましたが、耐光性が低いと言われる色でも壁のほうは平気そうだった事を考えると、絵を飾る際もそこまで神経質になる必要は無いのかも?と考えています。
とはいえ、絵などは数年単位で飾る事も多いでしょうから、お気に入りの絵をより良い状態で保つためにも直射日光の当たる場所や窓際等で飾るのは避けた方が無難かなと思います。

また耐光性の低い色は鮮やかな色も多く、その絵の具でしか表現出来ない絵、というものもあると思います。
自分で分かっていて使う分には何ら問題はありませんが、原画を販売したりする場合などは注意書き等があるとトラブルも少なく済むのではないでしょうか。

テスト継続中

この後どうなるのか気になったのでそのままテストを継続しています。ここに追記するか新しく記事にするかどちらにするかは分かりませんがいずれまた結果をまとめたいと思っています。

このテストをはじめたのが2022年10月、そしてその約1年後に結果をXで投稿。
この記事を書いているのは2024年3月。
結果の投稿から記事を書くまで更に時間が経っている訳ですが、時期的なものもあってか今のところ大きな変化は見られません。
壁のオペラがよ~く見ると青みが減っているような気のせいなような。



ちなみに

水彩絵の具は顔料ですが、カラーインクやアルコールマーカーのような染料は顔料よりかなり退色が早いです。

そしてマスキングテープ。
張り付けるのに使用していたマスキングテープが水彩よりはるかに速いスピードで退色していったのでマスキングテープアート系なんかも飾る際は注意したほうが良さそうです。(これもメーカーや色にもよるとは思いますが)

こちらの記事が耐光性に関してかなり詳しく書かれているので耐光性についてもっと詳しく知りたい方は読んでみてください。
私の記事よりずっと参考になると思います。


別の実験もやってます(結果まだ)

実験その①まっち絵の具ベイシックシリーズの他の色はどうなの?
マゼンタとカーマインの結果の所でも触れましたが、まっちにはブルー(PB15:3)やブラウン(PR101)等他メーカーでもよく見かける耐光性が高いであろう顔料を使用した色もあります。
ここら辺は実際の所どうかな?と窓に貼り付けてテスト中です。

実験その②耐光性の低い色をアクリル額で飾った場合は?
例外はありますが、絵をちゃんと飾ろうと思うと額に入れる事が多いと思います。
紫外線カット率はガラスは大体30%、アクリルは90%ほどらしいです。
PETや塩ビ製のものはさらっと調べた感じ具体的な情報は出てこなかったのですがあまり効果はない?ようです。

家に窓際にアクリル額が置いてあるので、そこに今回のテストとほぼ同じ色を塗ったものを入れ様子を見ることにしました。

どちらもはじめたのが12月末なので結果が出るのは半年から1年後ほどになると思うので気長にお待ちくださいませ。

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