ざっくり学ぶ、輸出入のきほん
輸出入と聞くとアレルギー反応か出る人も多いのでは?
今回は通関も物流も、初めての初心者にも分かりやすい輸出入のきほんを説明したいと思います。
輸出入には様々なルールが多くの法律で定められています。グローバル物流の最低限の知識ですので、輸出入の全体像だけでもまずは頭に入れておいて下さい。
輸出入の大原則
輸出入の最も基本的なことは以下の4つです。
輸出も輸入も税関の許可が必須
許可には保税地域と呼ばれるエリアに入れ、通関が必要
通関では日本の各法律をチェックし、すべてクリアしないといけない
輸入には関税・消費税が必要、輸出は不要
この4つだけで震え上がりそうですがもう少し解説していきます。
多くの法律で輸出入は規制されていますが関税法が基点となっています。上記四点も関税法の規定です。関税法が基本の法律だと覚えておきましょう。
通関とは
通関=輸出申告、輸入申告のことです。
輸出入者がこのモノを輸出、輸入します、と申告書を作成し税関に提出し許可を得る行為を通関と言います。
申告書の提出後に税関検査が行われます。
通関の実績が積み上がると検査は省略される場合もあります。
通関は輸出者、輸入者の代理で通関業者が行うのが一般的です。
申告書の作成は非常に難しく、素人で行うのは時間も労力もかかり、現実的ではないからです。
申告は基本、自主申告という点も覚えておいて下さい。
(郵便など、税関が一方的に税額を決定するものもごく一部あります)
NACCS
通関業者はNACCS(ナックス)を使って迅速に通関処理をしています。
日本の貿易はNACCSなしでは全く回らないくらい重要なシステムです。NACCSが輸出入で色々な場面(港、空港、倉庫など)で使われていると覚えておきましょう。
保税制度
税関の管理下にある保税地域で外国貨物と内国貨物を切り替える制度です。
保税地域はどこにでもあるものではなく、国際空港やコンテナターミナルなど限られたゲートが保税地域になっています。
外国貨物を扱う倉庫も保税です。会社によっては保税の許可を受けている工場もあり、倉庫に入れずに輸出入する運用もあります。
搬出入の記録もNACCSで行われていて通関情報と全てリンクしています。
逆に言えば情報をどこかで間違えると通関や船積みが出来ない!という事が起こり得ます。
輸出入でやるべきこと
輸出入をする企業としてやるべき事は以下の3点です。
1.は当たり前ですが「よく分からないから、お任せします!」なんて依頼を通関業者にしてはダメです。契約価格やアイテムの内容を、しっかり確認しましょう。
2.は通関した書類や注文書、海外と取引したメールなど保存が義務付けられています。通関書類は通関業者から入手できますが、海外取引の書類は自社にしかありません。社内の保存ルールを確認しましょう。
3.輸出入したら台帳に記録します。エクセルでも大丈夫です。件数が多い場合はデータ取得を検討すべきです。有償のデータ配信サービスも存在します。知らない間に違う部署が輸出入していて、調査の時に知らない案件が多数出てきて記帳漏れを指摘されるなんてこともよくあります。
低い金額で申告すれば税金は安くなる?
通関は自主申告なら、低い金額で申告すれば税金が安くなるのでは? また輸出は税金関係ないから適当でもいいのでは? なんて考える人も少なくありません。
残念ながら全部バレます。
通関時には確認されませんが、税関立入の事後調査が行われ契約書や外貨送金の確認を受けます。お金の流れを見れば適正な申告だったか一発で分かります。
調査で発覚した不足分には、加算税や延滞税が追加されますので高い勉強料になってしまいますし、社会的な信用も失ってしまいます。適切な申告を心掛けましょう。
該非判定(輸出のみ)
輸出前には該非判定が必須です。
その判定の結果次第で経済産業省の許可が必要になることがあります。
これは税関の許可とは別で事前に取得しておかないといけないので
輸出する可能性があった時点で速やかに実施した方がいいでしょう。
状況や品目によっては武器に転用可能、経済制裁の対象などの理由で、輸出できない事があります。海外との契約見直しもあり得ます。
これだけでも記事を複数書けるほど奥が深いものですが、輸出の前に必ず行わないといけないのが該非判定と認識しておいて下さい(輸入には該非判定は不要です)。
その他
最後に言葉だけでも覚えておいて欲しいものを並べます。
他法令(たほうれい)
評価申告
免税制度
AEO / C-TPAT
他法令は通関時に確認を受ける各法令をまとめて呼んでいるものです。薬品、食品、動物、植物、火薬類、高圧ガス・・・等々を規制するたくさんの法令があります。
評価申告は直接のインボイスでは表示されない別払いの費用を加算する方法です。材料や金型を別支給していたり、ライセンス料を別で支払っている場合などに適用されます。よく申告忘れの指摘を受けるポイントですので注意が必要です。
免税制度も各種用意されています。海外と日本の間で繰り返し使用する容器や再輸出、再輸入であれば一定の条件をクリアすることで免税を受けられる場合もありますので、適用を考えてもいいでしょう。
AEO(エーイーオー)は貨物セキュリティの日本の認証制度でC-TPAT(シーティーパット)は米国のテロ対策プログラムですが、、、ちょっと長くなり過ぎますので今回は名前だけの紹介です。
いかがでしたか?
輸出入についてはまだ細かな事が多いですが、
まずはざっくり把握して業務の参考になれば嬉しいです。
以上、今回はここまで。
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