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16年越しの『丕緒の鳥』

Hallo!

去年の6月に日本から持ってきた文庫本4冊の最後の1冊が先日無事読み終わった。
最後に残ったのはタイトルにもある通りこちら。

・『丕緒の鳥』

ところでこの漢字、スマホからだと一発変換で出た。すごい。
この1つ前に読んだのが『君たちはどう生きるか』だったのだけど、こちらのほうを後に読むことになってしまったのは、『君たちはどう生きるか』と比べて漢字が複雑だったから。
どうにか無事帰国前に読み終わってよかった。

タイトルに「16年越し」と入れたのは、この話に初めて出会ったのが16年前、yom yomという文学雑誌に発表された時だったから。
それより少し前から十二国記シリーズのことは知っていて(アニメ化が発表される前くらい)、久しぶりに新作が出るということで買ってみた。
ただ、当時は今より物語の理解が浅かったため、内容をちゃんと理解できていなかったように思う。
あれから16年、さらに新作も出て、既刊も全部ではないけれど読み返し、私自身も経験を重ねたうえで読み返すと、やっぱり味わいが違う。
一瞬しか出てこないけれど、シリーズ全体の主人公の登場も、彼女のこれまでとこれからを思うといろいろ考えさせられるし、そんな主人公や物語の設定を別の角度からこうして読むことができるのも、短編集だからこそだと思う。

短編集なので、表題作以外にも3作短い話を読むことができる。
2作目の『落照の獄』は、こちらも以前yom yomで発表されていたらしいのだけど、未読だった。
テーマが重い!と思ったけれど、現代に置き換えても考えさせられることだなぁと思った。
3作目の『青条の蘭』は、書きおろしの作品。2023年度前期の朝ドラで植物愛について考えさせられたこともあり、そういうテーマもありえるなぁなんて思って読み始めたけれど、途中がとにかく重くて、いったん1週間くらい読み進められずにいた。でも、最後にあの国の名前が出た時、あぁこれでこの国は一安心だ…と思えたのは私だけではないはず。
そしてそんな重いテーマ2つを読み終わった後に最後に来たのが『風信』。前の二つに比べると短い話なのだけど、相変わらずの不条理の話。1作目でも別の角度からその不条理が描かれていたけれど、やっぱりおかしい。おかしいけれど、そちら側から見ると、それはそれで道理が通るようにできているんだろうなぁ。理解しがたいけれど。でも、こちらも最後は希望が見えてすっきりした。

十二国記シリーズは、昔は図書館で借りて読んだり、実際に購入して読んだりをしていたけれど引っ越しを機に購入したものは全部処分してしまい、一時帰国の時にちょこちょこと中古を買い直している。
作者の方はホラーが得意な方なので、ホラーが苦手な私は、途中読み進めるのがつらくなるのだけど、最後まで読むと、やっぱり読んでよかった、という気持ちになれる。
ところでこの記事を書くために、久しぶりにAmazonで十二国記を検索したら、あれから20年以上経っているのに今月アニメ設定画集が発売されるということを知ったのだけど、なぜ今発売されるんだろう?
もしかして、私が知らないだけで、アニメ放送時はなかった続きが今後制作される予定だったりする?
20年前にアニメ化されたときは、オリジナル設定に戸惑ったので、もしまたアニメ化されるならそういうのはなしでお願いしたいなぁ。


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