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【ストーリー構成制作】なぜあなたが稲友祭の脱出ゲームに参加したのか

大学の学園祭で、リアル脱出ゲームを開催

概要

 10/29(日)名古屋文理大学の学園祭「稲友祭」にて、HOPTER TECH SCHOOLと名古屋文理大学のコラボレーション企画として、ITを活用したリアル脱出ゲーム「教授の無くしものを探せ!」を開催しました。
 本企画の各ギミックには、Scratch、電子工作、VR、プロジェクション、機械学習による画像認識、アプリ、サーバ等の技術が使われています。
 想像を超える参加者が集まり、すぐに予約枠が埋まるほど、大盛況となりました。
https://hopterschool.or.jp/toyusai20231029/

本記事の内容

 私は本企画にストーリーの制作にて、参加をしました。
 本記事では、ITを活用したリアル脱出ゲーム「教授の無くしものを探せ!」のストーリーを制作するにあたり、参考にした物や考えた内容を記事としてまとめます。
 また、本記事が対象とする読者は、外部の人間のみではなく、内部の人間に向けた内容も込めています。

ストーリーの制作について

前提

 本企画のストーリーを制作するにあたり、前提として話の軸となる柱を3本、自身の中で決めました。
 なぜ、脱出ゲームなのか
 なぜ、ITを用いたギミックなのか
 なぜ、名古屋文理大学で開催される必要があるのか

 これらは表面的なストーリーに関することではありません。しかし、この 3つの軸を定めることが、ストーリーを構成する上で重要でした。
 リアル脱出を企画している株式会社SCRAPであったり、物語・世界観作りの最高峰である東京ディズニーリゾートでも、表面に見られる装飾・ストーリーのみではなく、軸となるものに沿って矛盾なく創造することが世界観の実現に繋がっていると考えます。世界がそこに産まれることで、ユーザーが世界に入る理由や没入感が産まれ、より説得力や動機のある理解できるストーリーになると考えました。

事例

 私が面白いなと感じたものが、東京ディズニーランドにある空飛ぶダンボです。このライドアトラクションは、構想段階では映画のダンボにも登場するピンクの象であったそうです。ピンクの象はアルコールや麻薬などによる幻覚症状を表す英語の表現です。劇中でも過激な表現でしたが、物理的にぐるぐる回りながら飛ぶことでそれとイコールにしています。表面的にはよくあるアトラクションですが、その実ダンボのブラックユーモアと掛け合わされているわけです。(子ども用のアトラクションでは不味いとなり、急遽増えたダンボに乗って空を飛ぶアトラクションとなったようです)
 また、同様に東京ディズニーランドのトリトンズ・キングダムというエリアでは設定で海底から迫り上がった都市という設定があります。入り口では漣の音が、さらに奥へ進めば泡の音がします。これは入り口からどんどん深海へ探検をしていくという設定です。ただ人間はもちろん海中では呼吸ができません。しかし、入り口にいるトリトン王(アリエルのお父さんで海の神様)が海の中でも呼吸できる魔法をかけているため、中に入っていけるようになっています。その設定通り、入り口にはしっかりトリトン王がいて、槍の先が光っています。
 このように、軸やコンセプトに沿った装飾・ストーリーは、一見飾りに見えるものも理由を持っておかれることで、深く理解した人への没入感や世界観・感動へと繋がると考えます。
 それらを踏まえ、本ストーリーを制作するにあたり、今まで体験したリアル脱出ゲームの事例へを思い返しました。上記にある通り、株式会社SCRAPのビルは東京ディズニーランドのように専用で作られているわけではありません。リアル脱出ゲーム専用の場所ではなく、雑居ビルの何階かを他企業と共に借りて運営しています。よくある扉を開けば、豪華な装飾がされた部屋や牢獄で、ウエイターや看守がユーザーを誘導するのです。リアル脱出ゲームに来たのではなく、例えば食事会に招待された、例えば冤罪で逮捕されたなど、世界観がそこに発生し、入っていきます。ゲームをゲームと思わせないことがストーリーの重要な点であると感じます。
 これによって、場所による影響やどうにもできない現実的な問題に着目すべきなのではなく、軸に沿った内部やスタッフの認識と世界観の合わせが重要であると認識をしました。

作ったストーリー

 上記をもとにまずストーリーを制作しました。
 開催場所となる名古屋文理大学のアプリ開発サークルの教授が、大切な資料の入ったSDカードを無くしてしまうところから始まります。教授は確実にSDカードを管理をしていたのに無くなってしまいます。そうなれば、教授は人によって盗まれたと考えます。偶然そこに文化祭に参加するという名目で訪れていた参加者が、教授に冤罪をかけられるのです。正直に白状するか、SDカードが見つかるまで教室からは出ることができない状況になります。せっかく学園祭に来たというのに、冤罪で学園祭が終わってしまってはしょうがないですから、アプリ開発サークルの教室の中を探していくこととなります。すると、教室内には明らかな手がかりが配置してあります。ゲームやギミックで隠されながら用意されています。そうしてそれらを解いていくうちに、犯人はサークルの学生であることが分かります。動機は、学園祭参加者や学校関係者に「うちのサークルはITを使ってこんな物が作れるんです!」ということを示すためのものだと白状します。教授の状況を利用して、強制的に制作物を体感させるという目的なのです。
 これは非常にリアルに即すように考えていて、実際にリアル脱出ゲームを開催するきっかけも、ITや制作物、活動をいろいろな人に知ってもらうという物でした。ですから、変にファンタジーやSFを取り入れるのではなく、この名古屋文理大学アプリ開発サークルだからこそを取り入れてストーリーを制作しました。(実際は大幅にカット・改変となっていますが)

 つまり、最初の3本の軸の答えとしては、下記の様になります。
なぜ、脱出ゲームなのか

無理やり制作物に触れさせる状況を作るため

なぜ、ITを用いたギミックなのか

アプリ開発サークルの制作物のため

なぜ、名古屋文理大学で開催される必要があるのか

名古屋文理大学のアプリ開発サークルが自分達のことを知ってほしいため

 このような形となり、名古屋文理大学のアプリ開発サークルが制作物を一般認知させるために開催するリアル脱出ゲームで、名古屋文理大学のアプリ開発サークルが制作物を一般認知させるためのストーリーを実現するという中身として考えました。

結論

 本ストーリーは名古屋文理大学のアプリ開発サークルが行うことを最も大切に考えました。誰が行っても良いわけではなく、自分達にしかできないものを行うべきだと考えたためです。そうすることで、より説得力があり没入感のある世界観ができ、当初の目的の活動を知らせるという部分に効果的なためです。どこの学校のITサークルにでもできる内容にしてはいけないと強く思っていました。物語の内外でテーマを統一させることで、より学生たちの生の声や表現を実現していくことができるのではと思っていました。
 反省点としては、所属の学生がついて来れないことや認知が浸透していないことが挙げられます。こう言っては厳しいですが、内容物のクオリティが本当に活動を知ってほしい人間の物ではありませんでした。ただ、全員がそうというわけではなく、間違いなく全力で取り組んでいた人も居ます。だからこそ、今回は理想だったのかもしれませんが、理想を実現するために本気で考え続ける必要があったと考えます。

 さて、願わくば、ここまで私自身も拙いながら想いを込めて考え抜きました。クオリティに関して言えば、もちろんプロの足元にも及びません。しかし、アプリ開発サークルにとって、きっと良いリアル脱出ゲームになってほしいと願ってストーリーを制作しました。
 ここで気にすべきが、記事をここまで読んでくれた制作関係者はいったい何人いるだろうか、ということです。本記事は学生内に共有されるアドベントカレンダーに掲載されます。間違いなく通知は飛んでおり、どの関係者にも目の端に映ったことは間違い無いでしょう。
 心を込めたその一端でも、なるべく多くの人に届き、制作を楽しんでくれることを、制作の先輩として切に願います。

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