社会人漫才王2021決勝レポート

社会人芸人たまプラーンのアオキプランです。

さて大盛況のうちに終了した社会人漫才王2021(詳細はこちらから→https://manzaiou.com/)の決勝のレポートです。

準決勝については出場者視点、決勝については観覧者視点で書いています。よかったらその理由と準決勝のレポートもご覧ください(リンクはこちら→https://note.com/aokiplan/n/n6b26a7e2503a)。

舞台上の写真撮影はできませんでしたので、写真はあまりありません。この記事を読んで大会にご興味が湧きましたら、大会のアーカイブが販売されていますので、是非購入を検討ください。販促も忘れない社会人芸人の鑑です


決勝前に出場者を紹介するという記事を書いていました。結構ボケていたつもりですが、意外と適切な紹介になっていましたので、そちらも読んでいただけると、このレポートも面白くなると思います(リンクはこちら→https://note.com/aokiplan/n/n14fce79362ee)。

0 会場

2021年大会の決戦の地はクリスマスカラーにライトアップされたタワーホール船堀。船橋ではありません。


1 エントランス

エントランスには、ファイナリストをお祝いする花が届いています。人望がゆえです。



2 オープニングMC

今年のMCはサンミュージック所属の「かもめんたる」さん。伝説のお笑いサークルWAGEのメンバーであり、キングオブコント2013チャンピオンです。お二人も「デッサンビーム」と「8月22日の彼女」で連続して出てくる有吉(FAN)氏のことが気になっている様子です。

3 前説(清水駿平)

2021年の学生R-1で準優勝した、明治大学お笑いサークル木曜会Zの4年生が前説で登場です。独自の世界観に引き込まれると定評のあるネタで、会場を盛り上げます。ただし彼のやっていることは、社会人漫才王というカテゴリーに何一つ当てはまっていません


4 審査員紹介

今大会の審査員は、児島気奈さん、「馬鹿よ貴方は」新道竜巳さん、サツマカワRPGさん、北村直久さん、なんぶさんの5名。前4名は前回大会から継続して審査員を務めており、なんぶさんが初めて審査員を務めます。

5 決勝ファーストラウンド

Aブロック

① 無味無臭「歴女と合コン」

決勝の全体トップバッターは、準決勝を3位で勝ち上がった「無味無臭」。丹波氏のコミカルなボケと、遠藤氏のキレのあるツッコミで、会場を盛り上げます。準決勝突破組では、唯一決勝のファーストラウンドで別のネタを披露した無味無臭。何本も勝負ネタがあるとは、底が知れないコンビです。

② デッサンビーム「あるなしクイズ」

黒川氏の「あるなしクイズ」に対し、有吉氏が独自の解釈で回答します。既存のクイズのルールを改変するネタは、そのルールが客席まで伝わる時間がポイントとなりますが、最初のボケからしっかりハマっていました。ただしネタを飛ばしてしまい、少し間ができたのが惜しかったか。

③ 8月22日の彼女「目隠し」

有吉氏が衣装を着替えてFAN氏として出てきました、「かもめんたる」さんも気にしていた早着替え成功です。そんなことより、目隠し+手錠されている千代園氏がFAN氏にセンターマイクまで連れこられています。R-1決勝で濱田祐太郎さんが同期の芸人さんにセンターマイクまで連れてこられたシーンと似ているな思いましたが、気のせいでした。

④ ハバネロ胡椒「コインランドリー」

超強力フォーマット漫才と紹介した「ハバネロ胡椒」。ファーストラウンドで選択したのは、今年の勝負ネタ「コインランドリー」。いい加減理解しろ!となるなるき氏の無知と、もうちょっと伝え方あるだろ!となるやすひろ氏の偏見が、重なりに重なり会場を盛り上げます。

Aブロック結果発表

審査員の投票の結果、「デッサンビーム」2票、「8月22日の彼女」1票、「ハバネロ胡椒」2票となります。票が割れてしまいましたので、「8月22日の彼女」に投票した新道さんに委ねられることになり、最終決戦進出は「ハバネロ胡椒」となりました。「ハバネロ胡椒」を選んだ理由として新道さんは、「デッサンビーム」がネタ中に間を作ってしまった点を挙げていました。百戦錬磨の「デッサンビーム」でもそんなことがある、やはり社会人漫才王には魔物が住んでいます。複数コンビでの出場を狙いがちな岩本氏(「ナランチャ」など)も注意が必要です。

Bブロック

① ロクショウ「聞き上手」

準決勝2位通過の「ロクショウ」がBブロックのトップで登場。前半は、作田氏の小気味よい関西弁に、ペドラザ氏が良い声で「はい」を繰り返す。絶妙なタイミングでツッコミが入り漫才が展開されます。後半は、造語や動きで満遍なく笑いを取ります。

② かるがもだもの「海賊団」

海賊団を結成したい吉田氏と結成させたくない栃木氏。令和の漫才師らしく、パワフルでポップな漫才が繰り広げられます。キャラクターが強いBブロックの中で王道漫才がどのように評価されるか。

③ 西村「英語」

ともちゃん氏の願望をふたつぎ氏が英語で解説をする。ふたつぎ氏の一言目の"uh-huh"から客席をつかみます。単純なスタイルなのに癖になる、後半はお笑い好きがよく伝わってくる展開に発展します。

④ コウキシン「結婚式お祝いスピーチ」

日本文化を勉強中の中国人のシン氏に、偏見強めな日本の常識を教えるコウキ氏。2019年大会で見せたスタイルでは、A(シン氏)→A'(コウキ氏)→B→B'→C→C’…となるのですが、今回はA→B→C…のあとA’→B’→C'…となっており、伏線回収要素が加わりパワーアップしています。

Bブロック結果発表

審査員の投票の結果、「西村」1票、「コウキシン」4票となり、「コウキシン」が最終決戦進出を決めました。進化したフォーマット漫才で、最終決戦に臨みます。

Cブロック

① コバッピー「ダメ人間」

準決勝1位通過、ラストイヤーの「コバッピー」がCブロックで登場です。全然ダメじゃないダメ人間像と「ダメダメだよ~」という決め台詞で、準決勝と同様に会場を盛り上げます。最終決戦に進出し、2人で最後にもう1本漫才をすることができるか。

② 水中トリック「脚が速くなりたい」

モテたいぐーがお氏に対し、脚が速くなれば良いと勧めるおーはら氏。そこからおーはら氏は、4分間延々と脚が速くなれば良いと勧め、延々とモモ上げをしています。本当です、アーカイブで確認してください。

③ 下町モルモット「ブーメラン」

言っていることが自分に返ってくる人が苦手なんだという中嶋氏に対し、言っていることが滅茶苦茶自分に返ってくる奥山氏。2人で喋りに喋るネタは、会場を盛り上げ、漫才のトレンドを体現していました。

④ カタヤイネン「下校時の変質者」

社会人お笑い界の大喜利の名手の飯塚氏と憑依系ツッコミ芸人の桐原氏の掛け合いで、気持ち悪い変質者と必死な小学生が舞台上に現れます。大喜利系のボケとツッコミの一つ一つがハマっていました。

Cブロック結果発表

結果発表前にブロック毎に出場者が舞台に呼ばれます。「下町モルモット」中嶋氏が、舞台上を縦横無尽に走り回り、「かもめんたる」岩崎さんに真面目なトーンで怒られます。本当です、アーカイブで確認してください。審査員の投票の結果、「コバッピー」1票、「下町モルモット」1票、「カタヤイネン」3票となり、「カタヤイネン」が最終決戦進出を決めました。

6 最終決戦

初出場が6組いる中、ハバネロ胡椒、コウキシン、カタヤイネンのファイナリスト経験者3組が最終決戦に残りました。経験値も十分にある3組が、最終決戦ではどのようなネタを披露するのでしょうか。

①ハバネロ胡椒「新宿駅からの接続」

ファーストラウンドと同じフォーマットで、新宿駅からの接続を知らないなるき氏と知っているやすひろ氏が掛け合いを始めます。無知と偏見の激しい掛け合いで、会場の盛り上がりは最高潮となります。

②コウキシン「出産のお祝いビデオレター」

こちらもファーストラウンドと同じフォーマットで、ビデオレターを撮りたいシン氏に対し偏見強めにコウキ氏が訂正します。最後にまとめて偏見をぶつける新スタイルで、後半の盛り上がりで勝負です。

③カタヤイネン「こだわりの強いラーメン屋」

「こんなこだわりの強いラーメン屋は嫌だ」という大喜利に対し、ものすごい数の回答を出してくる飯塚氏とドンピシャなツッコミをする桐原氏。もう最初から最後まで、全部のくだりがウケてます。

7 最終決戦結果発表

最終決戦に臨んだ3組と審査員の5名が舞台上に集まり、社会人漫才王2021大会の優勝者が決まります。審査員の投票の結果は。

「ハバネロ胡椒」5票

最終決戦の3組は、ネタの完成度はもちろん高く、どの組も滅茶苦茶ウケていましたが、その中でも一番会場が盛り上げたのは「ハバネロ胡椒」でした。

最後は決勝出場者全員が舞台に集まり、優勝者を祝福します。優勝者には、主催の一般社団法人社会人お笑い協会の奥山さんから優勝者ボードと金のサンパチマイクが贈られます。

クリスマス決戦、直前の出場者の変更と波乱のあった社会人漫才王2021は、大盛況の中、「ハバネロ胡椒」の完全優勝で幕を閉じました。

8 感想

過去2大会は決勝に出場していましたので、決勝を客席で観るのは初めてでしたが、主催の一般社団法人社会人お笑い協会がしっかりしているだけあって、滅茶苦茶しっかりした大会だなという感想でした。プロのお笑いライブと遜色のない面白さも保証します。2022年大会が開催されたら、エントリー数も観覧者数も増えると良いですね。

以上が、社会人漫才王2021決勝の観覧者視点のレポートです。最近はネタに触れる記事は書いていなかったので、ネタバレにならずに、どうやって出場者の魅力を伝えればよいのかという点が難しかったです。

あまり魅力的に書けていないかもしれませんが、文字では伝えきれない面白さがありました。百聞は一見に如かず、公式サイトから販売されているアーカイブを購入して、是非その目で確かめてください。販促も忘れない社会人芸人の鑑です

さて、最後に最終決戦に残った3組に触れて終わりとさせていただきます。

「コウキシン」は新たなフォーマットを見つけ、タレント性もあるので、社会人お笑いの枠を飛び出して活躍できるのではないかというワクワクを感じさせてくれました。

「カタヤイネン」は大学の後輩ですが、正面からネタを観たことがなかったので、今回2本観られて本物の力があると感じました。大変失礼ながら、大会の前後で一番評価が高まったコンビです。桐原氏のクリスマスにUberEatsの配達ができない逸失利益は2万5000円とのことでした。準優勝にはそれ以上の価値があります。

優勝した「ハバネロ胡椒」も大学の後輩で、この大会に向けてすごく努力していることも知っていました。大会ではライバルですが、努力している人が報われる結果となりとても嬉しく思います。心からお祝い申し上げます。

準決勝と比べて決勝の楽屋がピリついているという噂があったので、無理やり卒業の流れにもっていこうと思っています。ただ、「『じゃがいもタルト』がエントリーしている大会で優勝してこそ、真の優勝者だ」と思っていそうなので、楽屋はピリつきますが、引き続きよろしくお願いします。

長文失礼しました。また次の記事をよろしくお願いいたします。

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