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才能よりも大事なものを掴んでいる人。

友人のシンガーソングライター、岸本宗士(かずと)くんのライブを観てきました。

彼の音楽に触れて、おそらく誰もが感じるんじゃないかなというのがその楽曲の良さです。例えるなら槇原敬之のような、オザケンのようなJ-POPと言いますか、すぐに耳にも心にも馴染みやすい歌モノに僕は感じます。

ただ、正直なところ(これは本人にもまだ伝えたことはないと思いますが)、その楽曲の素晴らしさにまだ歌とピアノ伴奏の演奏能力、さらには編曲能力が追いついてない印象が所々あります。そしてきっと、彼自身それを痛感している最中なのではないかと思います。

単純にスキルがないものを切り捨てる人をよく見かけたりしますが(僕も時と場合によってはそうしちゃいますが...)、彼の場合、そこはいずれ自然と収まるところに収まる気がしています。おそらく彼なりの方法で時間をかけて、その部分を埋めていくんじゃないかなと勝手に予想しています。

曲の良さと演奏スキル、は良い音楽家にあるべき主軸になり得る部分かと思うのですが、音楽家である上で最も大事な大主軸を岸本くんの場合、既にしっかりと掴んでいるなとライブを観ても感じました。

それはつまり、音楽が好きでたまらないという気持ちとでも言いましょうか。純粋な気持ちで音楽と向き合っている姿勢とでも言いましょうか。そこです。きっと音楽に限らず、色々な業種にも当てはまることかと思います。そして、岸本くんのような大主軸を掴んでいる人間というのは、そう多くいるものではないと思います。

ちょっと話が逸れますが、もし今自分が死んだら自分の所有している楽器をどうすればいいんだろう、とたまにふと考えることがあります。今日の岸本くんのライブを観て、そうか、岸本くんに託せばいいのかと少し本気で考えてしまいました。彼のような人間に所有されるなら、うちにある楽器も喜ぶだろうな〜。

あともう一つ、ライブを観ていて思ったことが、僕自身が今までのライブで逃げていたことから、彼は逃げずに向き合ってライブに臨んでいるなと感じたことです。あくまで自分勝手に感じ取った部分になりますが、例えば、緊張している時の演奏が投げやりにならないところだとか、会場のお客さんを盛り上げようとあれこれ試行錯誤したりだとか、何かしら自分の中で課題を作ってそれに対してクリアしようとしている姿勢だとか、です。

僕は正直、自分のライブでは、色々な部分で逃げてきました。なんででしょうね。僕はライブがほんとは好きではなかったからかもしれませんし、単純に根がいい人間ではないからかも知れません。そこはよく分かりませんが、岸本くんの場合は自分と違って、純粋に強いハートで音楽にライブに向き合っているように僕からは見えるんです。だから、僕は心から彼を応援したくなります。

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