私が自分の貧乏に気づいた理由
私は子供の頃からずっと自分を普通だと思っていました。
ちょっと電気が止まったり
たまに柄シャツこわもてのお兄さんが家に父を訪ねてきたり
奨学金を借りていてもなぜか学費が未納になっていて高校卒業の危機だったりしても、うちは普通の家だと思っていました。
ちょっとお金がないだけで普通の範疇だと思っていました。
子供のうちはそれでよかったのですが、残念なことに大人になってからもこの貧乏性は続いてしまいました。
手取り10万円は高給取り?
そもそも高校卒業して1年間家事手伝い。
世間から見ればほぼニートだったので、自分の市場価値が無いことは自覚がありました。
その自覚のせいで「どうせ正社員なんてなれない」とハナから決め込み
、水商売や飲み屋は親も許さなかったため深夜まで営業しているレンタルビデオ店のアルバイトとして社会に出ます。
時給はなんと800円
高単価です!
深夜自給1.25倍を駆使して時給1000円に到達するのが魅力的でとにかく頑張りました。
注)私の地元は毎年最低時給日本ワーストの座を争う底辺地域である
フリーターの大学生に交じって夜勤の残業にいそしみ、何とか手取り10万いくかどうか。
同じくフリーターの彼氏とワンルームのアパートで同棲していて、彼の持って帰ってくるコンビニ弁当の廃棄で食費を浮かして生活していました。
でも私は特段に貧しいとは思っていませんでした。
同じようにアルバイトで食いつないだり彼氏の家に転がり込む人が身近にたくさんいたからです。
その中にあって私は実家に残る高校生の弟に仕送りをしていたのですから、むしろ経済的に「がんばっている」方だと思っていました。
正社員をめざしているから意識高い?
夜勤のアルバイトを5年ほど続けると体に負担がかかり体調を崩しがちになります。
同棲していた彼氏とも別れ、新たな職場として選んだのが契約社員として勤める日勤の小売業でした。
しかも営業職で業績次第では正社員になれるというじゃありませんか!
時給はスタートから850円。
昼間働いてこの時給は破格!
評価制度もすごろく式で毎年確実に昇給するのがほぼ間違いなく、とても魅力的でした。
さらに一部上場企業だったので、会社の理念や社長の自著などを熱心に読み込みすっかり心酔。
「この会社で一生働けるためにはどうしたらいいだろう?」
こんなことばかり考えて働いていました。
いつしか転勤を許容しても正社員になり、会社のためにお客様のために尽くそうと考えたのです。
そして社員登用試験の結果は、不合格。
社長の評価は「実績、試験結果、面接共にすばらしいが、何かが足りない。次回頑張って」というものでした。
その瞬間私の目が少しずつ覚め始めます。
会社に入って5年が過ぎたところでした。
私の人生って何だろう。
私は何がしたかったんだろう。
そう考え始めたころに今の主人に出会います。
結婚と転職と引っ越しと
主人は私に厳しく、厳しく、厳しく、時には優し…やっぱり厳しく。
私のそれまでの生き方を質します。
私はそれまで何となくその場を対処して生きていました。
食えるだけ稼いで。
言われるがまま親の借金を肩代わりして。
労働組合に言われるまま借金をして。
粗末な家に住み貯金ができなくてもなんとかその場を生きていけたから幸せ、という私の生き方が貧しさのそのものだと教えてくれました。
そして生まれ育った土地を離れ、遠く離れた縁もゆかりもない都会に引っ越すと、彼の教えが実感を伴って理解できるようになりました。
・物価がちがう
・価値観が違う
・車無しでも生活できる
・仕事の選び方、他者からの選ばれ方
・自分をもって働くという意味
・働く目的と将来について
驚くべきことに都会の人たちは私にあまり興味がありません。
スーパーのレジ待ちでかごを覗き込む人はいないし
そのスーパーのレジが親戚や友達のお母さんだったりしない本当の意味での他人ばかりの世界です。
そのなんと心地いいことか。
私はそれまでなんて狭い世界で威張って生きていたのだろうと羞恥心にさいなまれました。
そして結婚し全く違う企業営業の仕事を経験し気づきます。
貧乏な場所にいると貧乏には気づけない。
周りがかけてくれる優しい言葉は、結果としてですがただの足の引っ張り合いだった可能性すらあるという事実。
「公代はいつもここにいてくれるから安心する」
10年来の友人が他県から帰省するたびに私にかけてくれる言葉です。
当時私は誇らしくこの言葉を受け入れ、みんなのためにこの町に残って居ようという気概さえ持っていました。
しかし今となってはどうでしょう。
私はあの町でどんなに頑張って「時給」をあげる目覚ましい成長を遂げたと鼻高々語ったところで、県外から戻った友人にしては「変わらぬ地元の風景の一つ」でしかなかったということです。
それが全部悪意に満ちたことでもなく、変化こそが貴いものだとは私も思いません。
しかし貧乏を辞めるためには。
貧乏に気づくためには。
貧乏な環境から脱出して自分の貧乏さを自覚するのが一番の近道であると考えます。
そしてできれば友人のつてでなく、転職サイトなどでエージェント経由の職探しが良いでしょう。
終の棲家と意を決して就職するのではなく、社会経験として自分に見合う職場を探すことでライフステージが変化します。
例えばジーパンで出社していたのがスーツを着て仕事に行くようになった、これだけで私はお金を稼ぐ意味だとか、将来のイメージなどを大きく膨らませるきっかけになったのですから。
きっかけはなんでもいい、新しい環境を手に入れるを
私が貧乏に気づけたのは、自分の努力によるところではないです。
なので本当に偶然の産物なのに偉そうに語るのは気が引けるのですが。
でもきっかけなんてなんでもいいんです。
例えば引っ越しなどの大きなお金のかかるイベントを経験したことをきっかけに、自分のお金の使い方を見直してみたり。
そこから自分の「やりたいこと」に対して自分の収入と交際関係が本当に見合っているかを見つめなおし。
やりたくないことをしないために必要な努力を角度を変えて知ることでどうにか自分の立っている場所を知ることができます。
え、まわりくどいって?
そうですね。。。。
手取り10万は生活保護以下なので頑張って働いた方がいいと思います。
以上。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?