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夏トンのおかげで人生で初めて映画作品にドハマりした

期限設けないと書けない人のための Advent Calendar 2022 17日目の記事です。また日付変わっちゃった……

今日は10月初めに鑑賞した『夏へのトンネル、さよならの出口』(通称夏トンらしいが今でもそれでいいのか?と思っている)というアニメ映画にドハマリしているので、そのことについて。どれぐらいハマってるか具体的に書くと、公開期間は毎週映画館に通って、原作小説と小説のコミカライズを見た日に電子で買って、手に入る範囲のグッズは文字通り"全部"買いました。
映画館は何も気にせず作品に集中できるから好きで、アニメ映画は一年に5本は見るし、たまに実写邦画も見ます。今まで忘れられないほど素晴らしい作品には数え切れないほど出会えたものの、一つの映画のことだけで頭が埋め尽くされる”ハマる”経験をしたのは初めてでした。見た翌日はこの映画のことしか考えられなくて他のことは何も手につかなくなってしまって、作品自体に恋してしまった状態に。
そういうわけで、今回の記事ではどうしてこんなに好きになったのか・アニメ映画にハマるのはどのような感じなのか、ということを語っていきます。

作品の内容について触れますが、致命的なネタバレはないです。

ここまで夏トンにハマった理由

一言で言うと雰囲気なんですよね。

映画夏トンは約300ページのライトノベルが原作なんですが、大きな特徴として上映時間がなんと83分しかありません。映画というと基本的には100~120分なので、めちゃくちゃ短いです。ですが、だからこそ洗練された物語に仕上がっています。

あらすじについては、以下の通り。

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。

STORY | 映画『夏へのトンネル、さよならの出口』公式サイト
https://natsuton.com/story/

要は、軽めのSF要素が入った夏のボーイミーツガールモノです。日本だと『君の名は。』が流行って以降こういう企画が通しやすくなったのか、毎年数本ほどこういうアニメ映画が公開されているイメージがありますね。
そういう感じのストーリーなんですが、他にはないこの映画の大きな魅力として感じているのはボーイミーツガールしかやっていないところですね。
原作にはなかなかのボリュームでメインの男女二人以外にも主要人物と呼べるキャラが二人ほどいたのですが、映画ではとにかく描くことを絞るために出番がほぼ全部カットされましたしそれに合わせて物語も大きく再構成されています。自分は映画から入った人間なので初めて原作を知った時は「大好きなこれらのシーン全部アニオリなの!?」「あの子そんなに出番あったの!?」ってびっくりしたし、主要二人以外が好きな原作ファンの気持ちは複雑だったんだろうなと思います。実際原作はめちゃくちゃ面白いし……キャラも話もかなり違うのですが根っこにあるものは一緒なので。

ですが、だからこそ大好きな映画になったと個人的には思ってます。映像化に合わせた再構築の好例。
最初から最後まで、全てが主役二人の関係性のためのストーリーが展開されるんですよね。ボーイミーツガール映画でも、なんだかんだサブキャラの存在感はそれなりにあることが多いですが、夏トンに関しては本当にメイン二人の話が全てと言うしかなくて、非常に思い切った決断だなと。
お互い悩みや傷を抱えている高校生男女のお話なので、青春映画といっても全くキラキラしておらず画面は基本的に暗いし、笑えるシーンは一切ない。モノローグもほぼなく、背景は美しくも誇張なしの写実的なものであり、二人の声優は俳優起用で生っぽい演技をするので、まるで実写映画のようなアニメになっていて。

主役二人が手を組むシーンがこんな暗い画面なの、なかなかないでしょ

アニメ映画は本当にたくさん見てきましたが、他では感じられない独特の雰囲気が夏トンでは漂っていました。近い雰囲気の作品を挙げるなら、去年公開した『サマーゴースト』ぐらいかな?これも夏トンを見てから知った作品ですが。
そういった、ふたりぼっちの世界で構成された映像に漂う雰囲気が最大の魅力だと思っていて、すっかり虜にされてしまい……9/9の公開から約3週間遅れで見たのですが、先月末の公開終了まで11回も鑑賞してしまいました。映画を複数回見ることってほとんどなくて、近年だとシンエヴァと天気の子を3回見たぐらいなので、自分の中では完全に異常事態です。
この数ヶ月、初同人誌を作ったり、嬉しいニュースと悲しいニュースが交互に飛び込んできたり、色々あったのですが。公開終了まで毎週映画を見ることで、どうにか頑張れました。自分の大好きな二人の物語が凝縮された映像を見た後に、エンドロールで流れる映画の全てが詰まった主題歌「フィナーレ。」を聴くだけで、色んな疲れとか悩みとか全部ぶっ飛ぶんですよね。なんか怪しい薬みたいな言い方になってしまいましたが、それぐらいパワーがある作品だし大好きなんだと思います。

あとは、ヒロインの花城あんずさんがキャラデザ内面ともにここ数年で出会った作品で一番好みなこととか(ぶっちゃけこれが一番かもしれない。キャラクターにハマる=作品にハマるなので)

横髪が一見同じなようで、よく見るとアシメになってるの天才すぎる。

主役二人の関係性があまりに好きすぎることとか、さっきも言ったけど主題歌が好きすぎて個人的今年のベストソングを選ぶなら間違いなくコレだしエンドロールで流れるのを聴くためだけに映画館に行ってたと言っても過言ではないところとか、主題歌以外の歌も魅力的だしBGMだって素晴らしいとか、2005年が舞台なので二人の連絡手段はガラケーだしノスタルジックな部分がまた変わった雰囲気で好きとか、夏トンの好きな部分は他にも無限にあるんですけど。語り出すとネタバレなくとも今の数倍は書けるので省略します。全てが好き、としか言えない……

9月公開なので、春にはBDが出るし配信も夏には始まるんじゃないかなと思います。天気の子と並んで自分の人生で一番好きな映画になったので、この記事を読んで気になった方は是非見ていただけると嬉しいです。まだまだ有名になっていい作品だと思うし、もっと多くの人に二人のことを知ってほしい。夏トンの感想、自分の同人誌の感想の次ぐらいに嬉しいもんな……(ただのファンです。)
画面暗くて退廃的な雰囲気あってスタッフに心中モノと言われるレベルのお話なので、天気の子の「社会からはみ出した若者たちが身を寄せ合って生きている感じ」が好きだった人はほぼ間違いなく楽しめると思います!自分はそうだったので。ひどい言い方だ。

初めてアニメ映画にハマって気づいたこと

アニメ映画という媒体にハマったことで新しい気づきがあったので、簡単に振り返っていきます。

映画館、スクリーンごとの違いを意識するようになった

もう10月からひたすら夏トンのことばかりツイートしていたので、ありがたいことにファンの方にフォローいただくことが度々あったのですが。
「ここの映画館が音がいい」「ここの映画館は箱が広い」といった情報がたくさん流れてきて。そのあたりを意識しながら鑑賞してみると、本当に結構違った感じで。なかなかに驚きがありました。
多いときは年に10回は見に行くぐらい、それなりに映画という文化が好きだとは思うのですが、同じ映画を繰り返し見る経験が少なかったからか、それほど意識したことがなかったんですよね。4DXや極音上映レベルならそりゃ気にしますけど、普通の上映については全然でした。
同じ映画館でも箱が大きなスクリーンと小さなスクリーンがあって、映写にも良し悪しがあって、音響も作品ごとにマッチしているかどうかの違いがある。色んな映画館で夏トンを見ましたが、場所によって同じシーンでも感じ方が結構変わってきました。
これからは映画を見る時は、スクリーン選びも重視していきたいですね。初見で映画を楽しめるのは当然一回だけなので、最上の環境で堪能したい。あと隣でスマホいじってる輩に遭遇することもあるのでできるなら人がいない深夜に見たい

基本本編2時間以下しか供給がないけど、本編のことだけを考えられるのでひたすら咀嚼できて楽しい

大ヒット映画でたくさんメディアミックスしているということでも限り、映画のキャラクターというのは尺に収まる範囲のことしか描かれません。

夏トンは原作付き作品ですが、原作と映画で大きく異なるタイプなので二人のことについて「ここは一緒なんだろうな」と予想できる部分もあれば「ここは映画とは全く違うな」とすぐ分かる部分もあるんですよね。二人の雰囲気は全然違うし、設定も細かいところは違うけど、根幹にあるものは一緒なんだろうなというバランス。
なので映画世界線の塔野カオルと花城あんずに関する情報の9割は、映画本編と劇場公開時の入場特典小説に詰まってますし、二人について考える時はひたすらこの二つをリピートすることになります。

かなりのボリュームでしっかりキャラのことを描ききってくれる買い切りゲームやTVアニメ・毎月キャラの新情報が降ってくる連載漫画やソシャゲと違って、基本数十分の映像でしかキャラクターのことを知ることができないと言うと、キャラクターのオタクする上では結構大変に聞こえます。
ですが、意外と苦労しないんですよね。夏トンという映画の出来がいいのもあるんでしょうけど。
83分の尺の中で、二人の普段の雰囲気や考え方の違いや人格形成の過程など、過不足なく描かれてるので、もっと二人のこと教えてくれよ!!と飢えたことがないです。
必要なことはしっかり描かれているのですが、同時にモノローグが皆無な映画なので、シーンごとの二人の心情に関しては想像の余地がかなりあって。細かな仕草や何気なく映る一アイテムから色々考察できることがあって、考えているだけであっという間に時間が過ぎていきます。これが本当に楽しい。
人生で一番好きな関係性と言えるぐらいあまりにカオあん(カオルとあんず、主役二人のカプ名)のことが好きすぎて、毎日二人に関する妄想や解釈を垂れ流すふせったーを今年いっぱいは呟くことをノルマにしてるんですけど、辛く思ったことはないです。むしろ毎日考えることで、どんどん解釈が研ぎ澄まされていってるので、習慣付けって大事。今後二次創作か何かしらをやる時はこういう積み重ねがきっと役に立つでしょうし。

長編モノにハマると、キャラクターの解釈をする上でどうしても特に好きだったり重要だったりするシーンにのみ目を向けがちになるのですが、映画の場合はそういった偏りがなく考えられるのがいいですね。キャラクターについて考える上では世の中に存在している公式描写を全て拾いたいタイプの人間なので、メディアミックスが充実してるのって、情報がたくさんあっていいことですが全部追わなきゃいけないって考えると疲れますし……夏トンの場合は基本的に映画と小説+原作での補足だけで済むのが本当に助かります。
ただ、解釈の範疇を越えてどうしようもない部分は結構あるので、その点は円盤特典か何かで補足がほしいですけどね。こんだけ見返しても二人の身長と誕生日が未だに分からないので、円盤で教えてください……
他の細かい情報は特典小説でだいたいどうにかなったのでその点は恵まれてるんですけどね。円盤発売以降夏トンに触れる人はぜひそこまでチェックしてみてください。本編見たら知りたくなることだいたい全部書いてあります。

公開終了~円盤情報公開までの期間が本当に辛い

要は今のこと。
塔野と花城の二人のことがこんなにも好きなのに、スクリーンでの二人には円盤発売まで会えないのが本当に辛い。もう映画館で主題歌聴けるのが数えるほどの機会しかないのが悲しい。そこまで言うなら見てみたい!って興味を持ってもらえても視聴手段がないのが苦しい……
二人の声を、息遣いを、雰囲気を、恋心を、紡ぐ物語を、もう一度感じたい……日々そう思いながら過ごしています。
いつでも振り返って手元に置ける小説/ゲーム/漫画/アニメって媒体、幸福だな。原作とは別物だからこその悩み。

ちなみに、一月末から下北沢の映画館で2週間再上映するそうです。好みはあれど出来は良いと断言できる作品なので、東京近辺は住んでいる方は是非。

早く来てくれ1月28日!
ちなみにこの時期はちょうど自分の誕生日が含まれてるので、プレゼントに映画の感想をいただけると非常に喜びます。




というわけで、映画夏トンにハマった理由と気づいたことについて語ってみました。
繰り返しになりますが、知名度に関してはまだまだ足りない映画なので、配信が始まったら口コミでもっと広まってほしいです。より多くの人に、塔野カオルと花城あんずのことを、絆が紡いだ美しい物語を知ってほしい。
その手伝いができるよう、これからもずっと夏トンの話をし続けていきたいですね。
今年は色々ありましたが、これだけ好きになれるものがあるならこんな世界も悪くない……と感じられる最高の映画に出会えたので、なんだかんだで良い年でしたね。原作者様とアニメ製作に関わった方々には感謝してもしきれない。来年の円盤発売まで、日々頑張って生きます!

好きすぎて、語り始めたら思ってたより長くなってしまった。ここまで読んでいただいてありがとうございました!

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