ソシャゲの誕生日 2020年11月19日の日記


(note版では一部文章をカットしています)


ソシャゲやアニメに登場する人物にも、設定がある。作品にもよるのだろうけど、身長のような身体情報から、出身地、血液型なんてものもある。他人の血液型に興味がある文化圏はかなり珍しいみたいなので、海外に「このキャラクターの血液型はA型なんすよ」と言ったら「そんなところまで作り込まれているのか」と驚かれるような気もする。


そのなかでも、かなり多くの作品で設定されている情報として誕生日が挙げられると思う。誕生日は色々な意味で特別「重い」設定だ。アニメの中で「誕生日を祝う」という回があったり、ソシャゲでは誕生日特別ボイスが聞けたり、あるいは誕生日シナリオが実装されたりする。これはソシャゲやアニメ(特にソシャゲの方)を嗜まれる人間はある程度うすうす感じていることかもしれないけれど、誕生日というのはコンテンツにおける書き入れ時のように思う。


ソシャゲの多くで見られるものに、誕生日ガチャというものがある。誕生日の24時間限定で該当キャラのカードがガチャに追加されて、みたいな。プレイヤーも喜んで「誕生日おめでとう!!!」と言いながら課金をする。


そのため、安定した収入のため、ちゃんとスパンを開けたコンテンツの供給のためなど様々なオトナの事情によって、ソシャゲやアニメのキャラクターにおける誕生日は分散されている。以前、なんらかの媒体(Discordだった気がする)で見かけたのだけど、あるソシャゲでは人気キャラクターが7月頭と12月中頃に誕生日を迎えることになっていたらしい。因果関係のほどは定かではないけれど(というか本当だとしても公言するわけがないけれど)これは夏冬のボーナスの時期と重なる。ここまでくると面白い。


好きな作品を思い浮かべてもらえれば、一作品の中で誕生日が重なっていることは双子、三つ子、多胎児を除いてほとんどないことに気付くはずだ。有名な話で「23人もいれば誕生日が被る確率は50パーセント以上になる」というものがありますが、これは創作の世界においては当てはまらない。「被らないように」設計されているからだ。私たちの世界とソシャゲの世界では、誕生日の在り方はずいぶんと異なっている。


という話を知人にしてみたら、スクストの話が返ってきた。スクストとは『スクールガールストライカーズ』というソシャゲなのだけど、40人ほどのキャラクターがいる中で二組も誕生日が被っているのだとか。それも、一組は双子だけどもう一組は特になんの物語的理由もなく誕生日が重なっている。40人いれば確かに誕生日が被る可能性は9割以上になるけれど、それにしてもそれをソシャゲでやってしまうということに並々ならぬパワーを感じた。「ソシャゲ、誕生日が被らながち」というあるあるに対して自覚的になって、あえて被せていかないと起こりえない現象だからだ。もしくは乱数でも使ったのかな。いずれにせよ、それにゴーサインを出した人がいるというのもすごい。物語にリアリティを出す方法は様々なアプローチから考えられてきていると思うけれど、「誕生日が被る」という切り口から攻めたのは新しい。絶賛。

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