新譜祭り 2020年10月29日の日記


新譜祭りすぎる。夢ぐらいでしか許されないくらいの質と量の新曲が襲い来る。言語野が全く仕事をしてくれないくらいの情報量に嬉しい悲鳴を上げています。


Half time Oldの『CRISP YELLOW』のモード、すごく好きです。正直前作『宅急便で現実を送りつけて』のひりひりとした感覚が大好きだったので、今作ピースフルな内容になっていたらちょっと肩透かしを食らうかもと心配していたのですが、HtOらしく自意識やら身の丈に合わないくらいの世界とちゃんと向き合った上で「それでも」をやってくる内容だったので大満足でした。あと「my^2」のような曲をするようになったのだというのもバンドとして面白い変化のように感じました。KEYTALKの「UNITY」が大好きで、こういった音楽のための音楽、バンドのための音楽がもっと作られるようになるといいなぁと常々思っています。「雛の歌」が良い。


ぷにぷに電機の『電子DISCO密林』めちゃくちゃ良い。あまりに可愛い。シティポップらしい都市の中にどこか懐かしさやノスタルジーのあるトラックに仕上がっているのだけど、今作を特徴づけるのはその中心に埋まっている「密林」要素だろう。シティポップのお洒落な音の中に、エスニックな匂いがある。まさに電子でDISCOで密林な少し前のぷに電らしい一枚。『未来中毒』や『恋はホンモノ』がすごく好きだったので嬉しい。今作だと特に「よわいにく」は必聴。サウンドと不思議な世界観の歌詞のリフレインで無限に聞ける。


君島大空の『笑止』を聞いて少し驚いた。今までで一番ごりごりした聴きやすい楽曲なんじゃないかな。まだ聴き込めていないだけかもしれないけれど、過去一飲み込みやすいような気がする。サイケの浮遊感を特徴とするアーティストで、正直私もまだ理解できていない曲も多くあるのだけど、今作はわかりにくさがわかりやすく提示されている楽しい楽曲だった。長谷川白紙の『いつくしい日々』みたいな。序盤、粘度の高い音で始まった楽曲が途中で浮遊感に変わっていくその過程を楽しめる楽曲であるように思う。前作『火傷に雨』が本当に良かったので『笑止』で少しでも気になった方はぜひ。


WOMCADOLE、めちゃくちゃお洒落になりましたよね……。泥臭いバンドであることは変わらないけれど、少し前のWOMCADOLEが全身泥まみれになって大暴れしているバンドだったとすれば、今は頬に泥がこびりついているような、格好いい汚れ方をしているバンドになったような気がする。昔と今とでかなり変わった。私は昔も今も好き。前作『ヒカリナキセカイ』の「doubt」なんかを聞けば分かりやすいと思うけれど、かなり音楽の幅を広げている。今作『軌跡』は、そんな中でこれまでバンドで培ってきた泥臭い楽曲を、かなり聞きやすいというか飲み込みやすいというか、広く届くようなパッケージングを施したものであるように思う。タイアップ待ったなしだろと思ったらもうタイアップが決まっていたらしい。売れてくれ。


the shes goneの『FACE』、全部良いのは言うまでもないことだけど、特に「ディセンバーフール」があまりに反則。ラブソングって人に勧めるのがちょっと照れてしまうのですが、歌詞うんぬんよりもメロディーの展開がこれでもかというくらい切ないことに注目して聞いてみてほしい。あざといといえばあざといのですが、それが気にならないくらいに美メロ。この曲でアルバムを締めるの、完全にセンスで悔しいけれど良い。ハイソでお洒落な楽曲が幅を利かせ、こういった楽曲をバンドでやるのもちょっと肩身が狭い時代になっているのだと思うけれど、需要は間違いなくあると思うので大切にこういった楽曲も作られていく土壌を守っていきたいねと感じました。


King Gnuや中村さんそなど他にもいっぱいいい曲が出ていたので、どんどん聴き込んでいきたいものです……。飢えているところにものすごい量の食事を提供されて困惑しているような感じ。

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