あなたを動物に 2020年11月21日の日記


(note版では一部文章をカットしています)


「あなたを動物に喩えるとなに?」


様々な場面で耳にする質問のような気がする。日常会話で聞くこともあれば、複数人でお酒を飲むやつでも聞くことがある。それでもこの質問が一番多く飛び出しているのはきっと、面接という場面なのだろう。


質問の意図としてはおそらく「変な質問をした時のそれっぽい対応力と、業務とは何ら関係のないところでは自分をどう見せようとしているのか」といった部分を見てみたいなぁと思ってのものなのだろう。別に動物でなくとも「文房具に喩えるとなに?」だとか「色に喩えると?」だとか「曜日は?」だとか「惑星?」だとか無限にバリエーションは考えられる。


これ、変なこと言って(こいつ、ひと味違うな……)と思われて感嘆の溜め息つかれたくないですか? ここで「はい、私はスポンジのような人間だと思っています。なんでも吸収するからです」だとか「はい、私は潤滑油のような人間だと思っています。なぜなら人間同士の関係を円滑に……」だとか、そういったことをいうのはちょっと気が引ける。せっかく大喜利をする機会をくれているのだから、ちょうどいいことを言いたい。


やはり一番オーソドックスな「あなたを動物に譬えるとなに?」から考えていきましょうか。まずは模範解答から考えていきましょうか。社会性があることをアピールしてやればいいので、高度なコミュニケーション能力を持つ動物に喩えてやればいい。例えば犬。「会社に忠誠を誓います」なんて言っておけばいい。例えばアリ。「振り当てられた役割を忠実に遂行する力があります」なんていうこともできる。しかし、こんな回答は面接官の想像の上だろう。お釈迦様の手のひらを飛び出すことはできていない。もっとキワキワを攻めていく必要がある。攻め方のパターンをいくつか考えてみたので検討していきたい。


1.「動物」を拡大解釈する

生物学においては「動物」は全ての生物を5つに分類した際の「動物界」に分類される生物を指すことが多い。五界説というやつですね。その「動物界」に入っていれば「動物」ということもできるため、ハリガネムシやアニサキスなんかの寄生虫をもってくることもできるし、エビだのカニだの美味しそうな甲殻類を持ってくることもできる。「私はプラナリアです。なぜならば切られると増えるからです。試してみますか?」と迫って怖がらせるやつもできる。


2.古生物を持ってくる

動物とは言ったが現生する動物とは言われていない。しかし、ここでサーベルタイガーだのマンモスだの言ってしまうとせっかく古生物にした理由が薄れてしまう。時代は遡ればさかのぼるほど良い。恐竜よりもアンモナイトの方がいいし、アンモナイトよりも三葉虫の方がいい。バージェス動物群やエディアカラ生物群がおすすめだ。オパビニアだのディッキンソニアだの言って面接官を混乱させていこう。「私はハルキゲニアです。元々は上下反対に復元されていましたが、のちにそれが誤りであったと判明します。このように、常に間違いがないかを気にかけ、ミスが起こったときには素直に認められる性格です」なんて言ってみましょう。「間違いを認めたのはミスをした「ヒト」なのでは?」というツッコミが返ってくるので、それをガン無視して「屍肉を漁る習性も同じです。試してみますか?」と迫りましょう。


3."ない"生き物を作ってしまう

これが一番。面接で出した答えなんてまともに調べるとも到底思えないので、乗り切ってしまえばこちらにとって都合のいい生き物を作り出すのも勝手だ。御社をヨイショするために架空の生き物を作り出していきましょう。「私はオドリトカゲ属のピュニャーレです。砂漠に生息するため動物の中でも代謝効率がトップクラスにいいピュニャーレは、飢餓感を持って少ないものからでも多くを得ようとする私にぴったりです」と「私はスポンジです」の亜種ができる。「本当にそんなの存在するんですか?」と突っ込まれたら、「あなたが今まさにここに存在するということもだれも証明できないじゃないですか!!!!!」と大声で威圧しましょう。


冷静になって読み返したけどなんだったんだこれ。なにか憑いてた。

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