140秒圧縮 2021年2月15日の日記

(note版の今日の日記は一部文章をカットしています)

GEMSTONEのリモートフィルムコンテストグランプリ受賞作『viewers:1』がとても良かった。以下ネタバレ含む文章なので、ぜひ見てから読んでいただければと思います。140秒のSFです。

見ましたね? 見る前にこの文章を読むのはあまりにもったいないので、もう一度だけ警告させいただきました。見てないのならこんなインターネットの肥溜めみたいなnoteを覗き込んでいる場合じゃない。今すぐ上のリンクから作品を見てくれ。マジなので。

じゃあこの辺りで感想に入りましょう。映像作品には詳しくないのでものすごく取りこぼしの多い考えなのだろうけど、こういった視点の切り替えギミックがコンテストの場で評価されているのが、とても嬉しい。『カメラを止めるな!』なんかも視点の切り替えが作品全体の面白さの軸になっていたけれど、ああいった作品を面白がれるだけの土壌が評価の場に存在するのがまずなにより嬉しい。こういうのが好きなので。文章でも映像でもその形式自体が特殊性を持っている状態というのは形式の数だけあるわけで、そこに文脈を転がり込ませる手法が今後もっと見られることを期待しています。今だとTikTokとかでしょうか。ぜんぜんTikTokじゃない動画でも、あの縦長で左右に同じ模様のパターンが並んでいればTikTokだと脳みそが認識するじゃないですか。そういうの。

140秒に情報を圧縮する術があまりに美しい。説明口調になりすぎず、画面の構成や映している対象、映像のノイズなどから総合的に描写がなされ、状態の悪化なども、あらゆる手法を少しずつ混ぜてやることによってごく自然に140秒という短い時間の中でスムーズに移り変わっている。このコンテクストの紡ぎ方の美しさが映像作品としての評価に繋がっているのだと思う。繰り返される「どうも」が色々なところに根を張っている(配信であることを暗に示していたり、場面の転換を引き締めたり、最後の落差に繋げていたり)のも美しい。140秒を貫く軸として「どうも」を選んだのは大正解だと思う。

あと瀬戸大橋が壊れているのを見て泣いちゃった。瀬戸大橋が壊れている作品が好きなので。

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