極彩 2021年1月25日の日記

ROTH BART BARONの「極彩|IGL(S)」を聞いた。昨年9月リリースの楽曲なのだけど、今の今まで聞いていなかったことが悔やまれるほどいい曲だ。恐らくはドラムのパターンがそうさせるのだろうけどアイルランドっぽさが(というか私の中の「アイルランドっぽい」はSigur Rosに感じるような空間の広さなのだけど)があってとても好き。

PVもとても良い。特に光の撮り方。私は映像にはあまり明るくないのだけど、自然の切り取り方によって人間の視点から見た時になんらかの詩情が生まれる手法なんかからタルコフスキーの映画を思い出した。PVではあまり見られないような低体温で肉体的な映像なのがとても良かったです。

こういう音楽、もっと増えてほしい。

百合文芸3に二作目を投稿しました。延々と続く階段を上っていくこと、追いかけ続けるために追いつかないこと、重力を持つ人とその周辺の歪みなんかを混ぜた短編です。『n+13階段』という題でPixivに上げているので気が向いたら読んでいただけると嬉しいです。十三階段は絞首台の意です。

村田沙耶香の『消滅世界』を読んだ。すごいな。テクノロジーなどによって生殖と恋愛と家族を一つに結び付けていたものが解体されていく過程を描いた作品。センス・オブ・ジェンダー賞に選ばれていた『殺人出産』でもそうだったけど、今の人間が持っているような常識や倫理というものは、自明の物ではなく、技術的な面の変化によって変化しうるものなのだと突き付けるのがあまりに上手い。SOG賞作品、やっぱり読まなきゃいけない。

今は本能みたいなものがかなり肯定的に捉えられているように思うので、一度相対化してバランスを取るべきだとは思うけれど、その「本能」と呼ばれているものに対するワンダーの感覚を設定に盛り込んで登場人物に喋らせる手腕には驚かされる。

なんらかの主義主張を維持する要石になっているものが、もしもなんらかのブレイクスルーによって取り除かれてしまった場合どんな選択をするべきなのかを考え、ストックしておくことは、物語が世界に対してできる数少ない実益なのだと思う。相対化を絶対的な是とすることもまたちょっと考えた方がいいと思うのだけど、あまりに絶対視されているものに対しては一度メスを入れてみるのも面白いんだろうなと思わされる。

三日くらいプチ断食をしてみたい。特にこれといった理由はない。面白そうだから。

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