スターバックスコーヒー 2020年11月17日の日記


数日前のことになるけれど、初めてスターバックスコーヒー(スタバと略せるほど心の距離が近くない)に一人で入った。知人に連れられて二人で入ったり、みたいなことは数度あったけれど、完全におひとり様をかますのは全くの初めて。場所も大都会大阪の中心と、ものすごく気後れするようなところだったので、「遅刻するから先にスタバ入って待ってて~~~!!」とメッセージを飛ばしてきた知人を少し恨んでいる。


スタバは注文が呪文のようであると聞いていたし、事実前に来た時も上に書いている知人が注文しているのを見ながら「これを理解している店員さんもすごいな。そういう研修があるのかな。フラッシュ暗算みたい」とぼうっと考えていたことを思い出した。あの時は「同じのをもう一つお願いします」と注文して事なきを得た(ものすごく甘くもったりはしていた)けれど、今回はそうもいかない。自分一人の手で呪文を唱えなければならないのだ。


よくスタバの呪文と比較されているものとして、次郎系ラーメンの「ヤサイマシマシニンニクマシアブラオオメ」みたいなものがある。私も全然詳しくはないのですが、なんとなくお洒落をカスタマイズした先のスタバ呪文とがっつりをカスタマイズした先の次郎系呪文は、ちょうど白魔術と黒魔術のような関係にあるように見えてきて面白い。どちらも職に対する好みを追求していきたいのだという欲求の高みを目指すために使われているのに、そのたどり着く先はまったくもって異なるものだったという展開がアツい。そういえばスタバと次郎系はカロリーの高いものの代表という共通点もある。やっぱりスタバと次郎系は主人公とそのライバルのような、物語における役割を補い合うような関係に似ている。「先にくたばるんじゃないぞ!」「ふっ、私を誰だと思っているんだ。一度は貴様と剣を交えた私だぞ」みたいな。


なんて妄想をしている場合じゃなかった。心配性であるのに大切な場面でだけ「ええい、ままよ!」と振り切ってしまう悪癖がこの場面でも裏目に出て、まったくメニューを確認することなくスタバの注文カウンターに向かってしまった。爽やかでお洒落な店員さんに出迎えられ注文を尋ねられるも、コーヒーの銘柄もほとんど書いていない。(カフェインに弱いくせに)喫茶店でだらだらすることが多いのでそれなりに豆の種類は知っているのだけど、その知識ではまったく戦えない。知らない横文字がメニュー表一面に広がっているのを見て数秒フリーズしている間に店員さんの表情の裏に「ああ。さてはこやつスタバ概論A未履修だな」と考えているのが見えてきて(被害妄想)余計にそれが焦りを加速させる。かろうじて目についたソイラテを注文する。サイズも目に付いたトールを選択。多分値段順に大きくなっているのだろうと辺りをつけて。ありがとう豆乳。豆乳がいなければ私はあと10秒は迷っていてさらなる迷惑客になっていた。


注文カウンターの隣、ちょうどライブハウスのバーカウンターのようになっているところでソイラテを受け取り、席へ直行。座っている人全員が私よりもスタイリッシュで完全に浮いてしまっている。ドレスコードがあるのなら先に書いていてほしかったと少し思ったけれど、スタバに日常的にくる方々にとってはこれが「普段着」なのかもしれないと思いなおしてさらに身を小さくした。席について『横浜駅SF』を読んでるの、どう見ても場違い。


結局、知人は30分くらいして救出しにきてくれたのだけど、なんだか合流するまでの時間でどっと疲れてしまった。なんだか割に合わないような気がしたので、夕食は私のような人間寄りのものとしてラーメンにしてもらったのだけど、知人は特に浮くことなくラーメンを美味しそうに食べていたので、結局のところ私の人間力の低さが露呈しただけの一日だった。


珍しくちゃんと日記を書いている……。

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