バイバイン 2022年5月15日の日記

話題に困ったらバイバインの話をするべしと聞いたことがあるので、バイバインの話をする。

それなりにドラえもんに手の届きやすい時代に育ったこともあってか、身の回りでそれなりの頻度で(といっても数年に一度くらいだが)バイバインと滅亡にまつわる話が繰り広げられている。説明不要かと思うがバイバインはドラえもんのひみつ道具のひとつで、液状の試薬のようなそれをモノに振りかけると五分ごとに倍々にモノが増えていくという道具だ。作中では「おやつの栗饅頭に振りかけたものの、途中で満腹になってしまい取り返しのつかない量にまで増殖。このままでは地球が滅んでしまうのでやむなく宇宙へと捨てた」というエピソードとして登場する。

本当に滅びるのか?

地球程度であればざっと数十時間単位で地球上が埋め尽くされてしまうだろうが、それで宇宙がとんでもないことになるかといわれれば首を捻るものがある。「倍々に増えていく」という効果はどうやら食べ終えた栗饅頭には適用されないようで(というかそんなことになるのであれば作中の割と早い段階でとんでもないことになっていたはずだ)そう考えると「個」として数えられない程度にぐちゃぐちゃになることが増殖を停止させる条件であるように思われる。であるならば、自らが自らを破壊するようになるまでに増殖した場合には、それが理論上の栗饅頭数の上限になるはずだ。つまり、万有引力による栗饅頭球の形成とその重力による自己崩壊だ。一定以上の体積の球になれば球表面に栗饅頭を置くだけで破壊されるという状態になるはずであるので、その臨界点こそが物理的にバイバインの作用することのできる上限になるのではないかということが考えられる。というか宇宙に射出したということは描写から考えるに第三宇宙速度を上回っているのだろうし、その速度で自己崩壊するような気もする。ましてや真空なのだし。

自己崩壊をモデルに加えないのであれば、最終的に膨張速度が光速に達して、視認不能かつ巨大という言葉では形容できないほど巨大な栗饅頭の塊が光の速さで地球を滅ぼしつくすというシナリオが考えられる。怖すぎるが、恐怖を感じる暇もないほど鮮やかな滅びっぷりになることが予想されるので、これはこれでいいのかもしれない。

ということで思いつくままにバイバインと滅亡について書いてきたけれど、この程度のことはすでに考察されているような気がする。ブラックホール化するという話はどこかで聞いたことがあるような気がするけれど、上記の自重による崩壊を考えるとブラックホールになれるほどの質量にはならないようにも思う。

ちなみにフィリピンでタガログ語などの言語を記録するために使われていた文字に「バイバイン」というものがあるらしい。Baに相当する音はバイバインでは栗饅頭っぽい形状の記号となっている。Unicodeにも収録されているので、指定すれば手元のパソコン上にバイバインを表示できる。

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