見出し画像

いつか、きみと・1-4

仕事も、自分でスケジュールを組むから、家族や友だちと予定を合わせて休める。

【学校】っていうのも無くすときには、賛成派と反対派が大きく分かれたらしい。
反対派は【出会いが減る】とか【人との結びつき】を主張したようだけれど、人それぞれ自分のペースで学習ができることや、ただ同じ年に生まれたってだけで同じことを要求したり、結びつけられたりするほうが、デメリットが大きいって判断されたらしい。

…実際に、【いじめ】や【自殺】が深刻だった時代もあったみたいだから、わたしは今の生活でよかったと思う。

【年齢】は【記号】や【目安】として、健康診断で使われているけれど、それ以上でも以下でもない。

「この前話した、バスの写真見つけてきたよ」

彼は手のひらサイズの紙を差し出した。

「うわぁ…」

「ちなみに、こっちが昔の電車」

「…人がぎゅうぎゅう…」

今の電車とはまるで違う、人がたくさん乗っている電車の写真に驚いた。

「これで、会社ってとこに通って、仕事をしてたらしいよ」

「…みんな、その同じ【会社】ってとこに通ってたの?」

「いや、たくさんの【会社】があったらしいよ」

「たくさん会社があるのに、こんなにみんなが電車でぎゅうぎゅうで通う…って、不思議だね」

「あはは、そうだね」

「そっか、【学校】ってところも、同じ時間に集まって同じ勉強をしなきゃいけなかったんだもんね」

「そうそう」

「この紙も不思議だね」

「【写真】っていうらしいよ」

「…これも【写真】なんだ」

創作活動のため、サポートしていただけるとうれしいです! 応援よろしくお願いします(*´人`*)