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球根のプロがお薦めする水耕栽培キット

チューリップやヒヤシンス、スイセン、ムスカリなどの球根類を透明な容器に入れて楽しむ水耕栽培が注目されています。本記事では、初めての方でも水耕栽培を楽しむためのポイントや使い方を解説します。さらに、球根の水耕栽培の魅力や育て方のコツも紹介します。土耕栽培が苦手な人や水耕栽培に興味がある人や、新しいインテリアを取り入れたい方にぜひおすすめの記事です。この新感覚のインテリアには、初心者でも簡単に育てられる商品「GlassBulbsキット」の紹介もさせていただきます。


水耕栽培のメリットとは?土耕栽培との違い

私が子供の頃、ヒヤシンスの水耕栽培がとても流行していました。水の中で何十本もの根がどんどん伸びていき、その後、花芽が次第に大きくなり、香水のような香りとともに青い花がたくさん咲く様子は、生き物の不思議を感じた瞬間だったと思います。
土耕栽培ではできない、水耕栽培の良いところは次の3点です。
・半透明な根が伸びていくのが観察できる!
・手が汚れず清潔だから、お部屋の中でも気にならない!
・土を使わないから、土の廃棄に困らない!

子供達でも簡単にできる学校教材の定番、こんなに楽しい水耕栽培!
なぜ、学校でのヒヤシンスの水耕栽培はなくなっていったのでしょうか?
私が聞いた理由は、教材メーカーが取り扱わなくなったから、という単純な理由でした。園芸に携わるものとして、水耕栽培をもう一度、人気復活させてみたいと思います。

写真1.昔は学校教材の定番だったヒヤシンスの水耕栽培


水耕栽培のポイントをまとめた育て方ガイド

1.従来の水栽培容器の欠点とは?

水栽培容器は球根を「ツメで固定するタイプ」や「穴に乗せるタイプ」がほとんどで、球根の種類(チューリップやヒヤシンス、スイセンなど)に応じて球根の大きさがそれぞれ違うため、容器もかえる必要があります。このように欠点として、「特定の大きさの球根しか使用できない」、「植物が生育すると倒れてしまう」が指摘できます。

写真2.ヒヤシンスの水耕栽培容器(ツメ固定タイプ)
写真3.ヒヤシンスの水耕栽培容器(乗せるタイプ)
写真4.チューリップの水耕栽培セット(ツメ固定タイプ)
写真5.学校教材として活用


従来の水耕栽培容器でチューリップ球根を育てる動画を制作したのでご紹介します。なお富山県砺波市では台湾の小学校とチューリップ交流を行っており、活動の一環として水耕栽培をお贈りしています。繁体語の動画も制作したのであわせてご覧ください。


2.問題解決!球根固定用キット「剣山」の開発

従来の水耕栽培容器の問題を解決するため、生け花に使われる“剣山”をイメージして球根固定用に改良したキットを開発しました。
18個のピックが配置された水栽培用剣山(PPポリプロピレン樹脂 直径75mm×高さ55mm)は、直径1cm~7cmの様々な種類の球根を固定することができます。剣山に固定することにより、水位を根の生育度合に合わせて調節することができます。また、草丈が伸びて、蕾や花が大きくなっても倒れることがありません。

図1.色んな球根を固定できる水栽培用剣山(直径75mm×高さ55mm)
図2.上から見た剣山、18個のピックが絶妙に配置
写真6.チューリップ球根を剣山に固定する
写真7.栽培開始の根が出てくる時は、根盤部がつかるように水位を調整する。根が伸びてくるに従い、水位を下げて、根に空気が触れるようにする。
写真8.根が伸び、つぼみが膨らんできたイエローベイビー
写真9.剣山の水耕栽培で育てたスイセンと一重咲きのチューリップ

3.冬でも咲くチューリップを楽しめる秘密とは?

それでは、これらの水耕栽培はいつでも咲かせることはできるのでしょうか?答えはNOです。
通常、チューリップの球根の1年間のサイクルは、夏に休眠状態に入り、秋の涼しさでゆっくりと覚醒が始まり、冬の寒さに合うことで、球根内部にある花芽に成長ホルモンを蓄え、早春の気温上昇に合わせ、急成長します。このように自然の気候に合わせて咲くのが「季咲き」といいます。
この「季咲き」よりも、早く咲かせるのが「冬咲き」になります。
「冬咲き」は人工的に低温処理を行い(チューリップの場合、9月中旬以降から8~12週間)、その後、温かい部屋の中もしくは屋外で生育させます。開花までの期間は気温によって変わります(チューリップの場合、約5~8週間)。

図3.冬咲き(室内水耕)では、球根を冷蔵庫で低温処理(8~10週間)し、水耕栽培を始めて、冷暗所(玄関先などで段ボール箱に2週間)で発根処理したのち、温かい明るい部屋で栽培します(5~8週間)。
図4.冬咲きチューリップの温度処理

様々な種類の球根を水耕栽培で育てる楽しみ方

冷蔵処理の知識と球根固定用剣山があれば、色んな種類の球根で水耕栽培を楽しむことができます。ムスカリは低温処理期間は少し短めにします。球根も小さいので剣山には多く固定することができます。球根数が多い場合の注意点は、球根底部の高さを揃えること、水が均一に浸かってくれます。
ヒヤシンスやスイセンの低温処理期間はチューリップよりも少し長めにします。またいづれの球根も、水耕栽培を始めた2~3週間ほどは、発根を促進するために冷暗所で栽培してください(10~15℃くらいの玄関先などで段ボール箱に入れて暗いところ)。水の入れ替えは最低でも1週間に1回は行ってください。それから、水耕栽培は湿度が高くなるので球根にカビが生えやすくなります。風通しの良いところで育てるようにし、カビが生えた場合は拭き取ったり、手の消毒用のアルコールを吹き付けることで、カビをとることができます。

図5.冬咲きムスカリの温度処理
写真10.ムスカリ球根を剣山に均一の高さに固定する(6個)
図6.冬咲きヒヤシンスの温度処理
写真11.ヒヤシンス球根を剣山に固定する(1個)
写真12.色とりどりの芳香ヒヤシンス
図7.冬咲きスイセンの温度処理
写真13.開花したスイセン(テーターテート)(3個)

インテリアとしても魅力的なチューリップの栽培方法


写真14.開花したミニチューリップ(テタテ)(3個)


写真15.いろいろな球根類の水耕栽培を展示してみた!



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