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2020年12月の記事一覧
乾涸びたバスひとつ(ショートショート)
色が呆けてしまって、傷がついている。
きっと走ることがもうできなくなってしまって、いきいきしていた頃を懐かしむおじいさんのようなバスが一つあった。
私は興味本位で、このバスの中を覗いてみると、そこには、少女の姿があった。
私は「ここで何をしているの」と少女に声をかけた。
すると、少女は、微笑みながら、「昔、私を愛してくれた大切な人を、ずっと待ちながら、生活しているの」と言った。
私は「ここで生活し
ゴーゴー幽霊船(ショートショート)
17歳の彼女は両親に連れられて、とある病院で入院することになった。
病室に入って、ベットに横たわると、隣のカーテンがかけられているベットに誰かいるような気がして、声をかけたが、返事は返ってこなかった。
すこし、不安を和らげたかったから、声をかけてみたのが、恥ずかしくなった。
かけ布団を頭まで、被って隣の人は無愛想な人だなと勝手に思った。
病室を出て、ぶらぶらと病棟内を散歩しようと思って、体を起こし
シェルターから出たら(ショートショート)
旧日本政府の幹部たちが避難するために作られた防空壕を、とある会社が、買いシェルターとしてつくりかえた。
その会社の社長は、映画に出てくるシェルターというのに憧れており、趣味で、作ったのだった。
その社長が亡き後、人々を殺すウイルスである。殺人ウイルスが蔓延した。
そのことを知っている一部の社員たちは、健常者である者たちを、このシェルターに入れて、地下に隔離空間を作り、地上で蔓延しているウイルスから
未来からの手紙(ショートショート)
今から20年後からの手紙が届いた。ただのイタズラだと思ったのだが、これから起こるであろう家庭内の出来事が、事細かに書かれていた。
イタズラにしては、手がこんでいると思いつつ知らんぷりをしていた。
そういえば、隣の家にも未来からの手紙が届いたことがあるって聞いたが、そういうことをするのが、未来では、流行っているのかもしれない。
その手紙の内容には、私は、転職をして、その転職先で、苦楽を共にする妻に出
真面目研究所(ショートショート)
真面目という言葉を、面接で用いた学生が、真面目研究所に招かれた。
学生たちは、メールに記載されている住所を頼りに、この研究所にやってきたのである。
そんな招かれた学生を、真面目という言葉を日々研究している研究員のL氏は、歓迎した。
L氏「いやぁ、いやぁ遠いところからご苦労様です。私が真面目という言葉を研究しているL氏です。」
L氏は、学生に向かって歓迎の挨拶をした。
すると、学生たちは、なんで、私