未来からの手紙(ショートショート)

今から20年後からの手紙が届いた。ただのイタズラだと思ったのだが、これから起こるであろう家庭内の出来事が、事細かに書かれていた。
イタズラにしては、手がこんでいると思いつつ知らんぷりをしていた。
そういえば、隣の家にも未来からの手紙が届いたことがあるって聞いたが、そういうことをするのが、未来では、流行っているのかもしれない。
その手紙の内容には、私は、転職をして、その転職先で、苦楽を共にする妻に出会い結婚して、子供ができるという。
その子供からの手紙という内容だった。
お父さんへ
お元気ですか。私は、今あなたに会いたくて、未来の世界からあなたが生きていた世界にやってきました。
姉からは、あなたは、とっても優しい人間でイケメンだったと聞いています。
25日の昼は、お時間大丈夫でしょうか。
莉音より
省略するとこういう内容だった。私は、カレンダーを確認して、特に、予定はなかったので、安心した。
25日当日、私は、莉音と待ち合わせの場所へと向かった。
数時間後、莉音は、やってきて、話をした。
この世界に、やってきた本当の目的もおしえてくれた。
聞けば、この時代の生活様式について知りたいという。
何か、もっと壮大なことを期待していた私が馬鹿だった。
私が死ぬ運命を変えにきたと、思っていたのが、馬鹿らしく思った。
私は「時間旅行なんて、みんなやってることなのか。」と聞いてみた。すると、莉音は、そんなの、当たり前のことだよという顔をしていた。時間というのは、過去に向かって進んでいるらしい。
時間の流れは、ドーナツ型につながっていて、どこかで、未来の終わりと世界の始まりは、繋がっているという。
そこを、解明した未来人は、流れるプールの流れに逆らうように、過去へやってきたというわけだ。
莉音の話をきいても、何も理解できなかったが、時間の流れに逆らっているので、かなり体に負担がかかっているという。
それなのに、この時代の生活様式を体験したいからという理由でやってきたらしい。
我が娘は、私に似て、少し抜けているところがあるようだ。
未来の携帯の話は、かなり今よりも、異形な形になっているらしい。
莉音は、ふーんと頷いてる私をみて、寄り添ってきた。
ここまでいけば、未来が変わってしまうのではないかと思いつつも、やはり男と女は、本能には、逆らうことはできなかった。
気持ちいいという快感によって、2人の記憶は消えて、世界は少し変わった。
私は、莉音の父親になる未来は訪れなくなり、莉音は私の妻となった。
そして、莉音は完全に記憶を失ってしまった。
どうやら、時間を逆行したことによることが、主な原因と考えられた。
私と莉音の間に子供は、産まれることはなかったが、幸せであると思っている。

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