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800字日記/20221021fri/103「冬の気配」
目覚めた。九時。秋晴れだ。が、からだは重い。朝までした読書のせいかもしれない。ネコが起こしにくる。寝たまま手を伸ばしてカーテンを開ける。畳に陽があたる。ネコが寝そべる。
目覚める。十時半。床から起きて、せんべい布団を干してネコにカリカリをやる。
「おはよう。今日もがんばろう」
あいさつをすると、ネコは勝手がすっかり分かったようにベランダにでて、ひなたで毛づくろいをする。その間にぼくは掃きそうじをする。終わると、僕の足にネコがまとわりつく。
「わかった。あそぼうか。出かけるからちょっとだけだぞ」
畳の部屋に座ってネコじゃらしで誘うが、ハコ座りのままうごかない。気分が乗らないようだ。綿棒をキッチンへほうると、獲物を追うように飛びついていく。まるでフリスビー犬のようだ。
「今日はそっちのあそびですか」
甘やかして育てすぎたかな。四六時中一緒の生活だ。ぼくが寂しいときはギブアンドテイクか。
納豆ごはんを食べて、弁当でハムサンドをつくる。
「じゃ、行ってくる」
カリカリをたべて、満足そうにしっぽをふって寝にもどる。
春先は玄関で出かける僕を見つめていたが最近はしった顔だ。
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海のほうへ風が吹く。河原に沿ってロードバイクに乗るぼくのせなかを押す。河原に生えたすすきが風に揺れる。ひるがおが咲いている。街道に出て路地を曲がると、金木犀の強烈なかおりが鼻を刺激する。国道に出るとうしろからひこうき雲が視界に入ってきて、本州のほうへ真っ直ぐに伸びていく。立ち止まって眺める。腹が鳴る。
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堤防に腰かける。青い空にいわし雲がきれいだ。遠くにはタンカーが見える。ベトナム人のカップルが浜辺を歩いている。波ぎわにシギがやってきてクチバシでつつく。波がくると浜に逃げる。ハムサンドを口にはこぶ。Yさんから連絡はこない。ふられたか。幾つになっても、キツいものだ。
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晴れていた空が、雲に覆われてあたりは暗くなった。
急に肌寒くなって腕を抱いた。
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