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丸山健二式日課・《語彙の三語三文》:手書き帖

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文字を扱うには語彙を増やす。 それを手で扱うことが第一。 手で書く。 三回書く。 ほんとうは手書きでやっているのを、noteように再度タイピングしました。
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2024年5月の記事一覧

《語彙の三語三文》:手書き帖 5.14〜5.21

五月十四日(火) 【野面・のづら】 ⑴我々は赤ちゃけた野面を渡ってきた。 ⑵野面を渡る風にのって、女の匂いが、ぷんと、あたり一面に漂った。 ⑶「君は野面だ!」 「どういういみだ!?」 「恥を知らない厚かましい顔、鉄面皮(てつめんぴ)さ!」 【然迄・さまで】 ⑴アパッチ族が鉄を食うことは、さまで珍しがることではない。 ⑵彼が東大を受かったのは、さまで気にかけてない。 ⑶さまであの男は、二枚目でないよ。 【よしみ・誼み・好み】 ⑴「おいきみ、ぼくをよしみを結ぼう」 ⑵昔のよ

《語彙の三語三文》:手書き帖 5.7〜5.13

五月七日(火) 【算・さん】 ⑴あの賊ら、算を乱して逃げていった。 ⑵机だの、卓子(テーブル)だの算したなかを拾って通った(鏡花➡︎婦系図) ⑶胸中の目論見が、算するがごとく、当たった。 【赤銅色・しゃくどういろ】 ⑴赤銅色は赤銅のような色です。 ⑵黄色みがかった暗い赤茶色が赤銅色です。 ⑶「赤銅色がしゃくどういろって読むのを、初めて知りました」 「だから、それは胸の内に思っていればよろしいことです」 【半弓・はんきゅう】 ⑴半弓をかまえる。 ⑵大弓が長さ七尺五寸(約2

《語彙の三語三文》:手書き帖 4.30〜5.6

2775文字・15min 四月三十日(火) 【宵の口・よいのくち】 ⑴八時や九時はまだまだ宵の口だ。もっと飲もう! ⑵われわれは宵の口、二時間をかかって、例の仕掛けを施した。 ⑶宵の口、宵の年、わたしは宵の明星を見上げる。私の出所まであと四十五年……。 【渇・かつ】 ⑴渇をおぼえる。 ⑵いくぶん、渇は癒えた。 ⑶「渇を臨みて井を穿つ。せんせい、意味を教えてください!」 「まずじぶんで調べる癖をつけなさい」 「だってー。しりたいんだもーん」 「必要に迫られてから慌てて準備

《語彙の三語三文》:手書き帖 4.23〜4.29

2796文字・15min 四月二十三日(火) 【にっちもさっちも】 ⑴「にっちもさっちも」って漢字は、「二進も三進も」って書きます。 ⑵借金はふえすぎて、ニッチもサッチも行かなくなった。 ⑶「ニッチもサッチモってなんですか?」隙間産業とルイ・アームストロングです。あれ? 話が逸れた? こりゃあニッチもサッチもだ。 【意表・いひょう】 ⑴相手の意表を突け! 風穴を開けろ!(おれってかっこいい!) ⑵それは意表外な展開だった。 ⑶それは意表とつく人事だった。私が社長に選ばれ