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宮本佳林1stソロアルバム「ヒトリトイロ」全曲レビュー

このnoteは柚樹ログさん主催のもっとハロブロを読まれたい!ハロヲタブログ Advent Calendar 2022の9日目の投稿です。

タイトル画像は「ヒトリトイロ」通常版ジャケットより
http://www.up-front-works.jp/release/detail/HKCN-50727/

みなさん、2022年10月12日リリースの宮本佳林さんの1stソロアルバムは聴かれましたか?
めっちゃいいんですよ、聴いてください。

っていうことが言いたいだけのnoteです。

OGの活動までは追いかける手が回らない…っていう方にも、この「ヒトリトイロ」というアルバムに興味を抱いていただくきっかけになればいいなと思い、今回のアドベントカレンダー企画のテーマにさせてもらいました。(あと宮本佳林さんが12月生まれというのもあります、おめでとうございます。)

何はともあれ、まずは聴いてみてください
公式ダイジェスト動画載せときます。

(曲もいいのですが、私はこのアルバムのジャケットのデザインも好きです。どのバージョンも可愛い!)

普段はアンジュルムを主戦場としてテキストを書いている私ですが、宮本佳林さんのこの素晴らしいアルバムを(遅ればせながら)宣伝したいという気持ちが高まった結果、色んな事柄の締め切りに追われながら必死に書いています!

諦めない!締め切りだけが俺を強くする!!

↓公式ディスコグラフィーはこちら

本当は総論的な記事を書きたかったんですが、計画性のなさが災いし時間がなさすぎて…とりあえず今回は各論的な感想を掲載します。こんなことでは私はまだまだハロメン(概念)にはなれないですね…。

ここから各曲の感想をつらつら書いていきます。可能な限り公式動画のリンクも掲載したので、みなさんよければ動画も回してください!

1.なんてったって I Love You 

作詞: 西野蒟蒻 作曲: 武田将弥  編曲: 椿山日南子

1曲目から最高。出だしの「なんてったって I Love You 」の「あいらびゅー」の発音が最高に宮本佳林さん。ちなみに作曲、編曲はゲーム音楽やアニソンをメインに作曲している方々だそうで、宮本佳林さんにアニソンタイアップを…という個人的夢が1曲目にしてうっすらと実現しました。

2.自分ファースト 

作詞・作曲:中島卓偉  編曲: 荒幡亮平

やったー卓偉曲だ!!!
「自分ファースト!!!」と叫ぶ宮本佳林さん最高。ライブで聴くとめちゃくちゃアガりそうな楽曲なので、ライブに行かなくてはという気持ちが高まる。アンジュルムの「もう一歩」と似た、歌詞の趣旨を楽曲とボーカルのパワーで思い切り増強した、ヲタクのお守りになってくれそうな楽曲。ありがとうございます。そしてこの火力を1人で成し遂げるのさすが。

3.若者ブランド 

作詞: 水内ほのか 作曲: 佐藤カズキ 編曲:SCRAMBLES

この曲の製作陣は、SCRAMBLESというWACK系列によく楽曲を書いている方々。(ってかそもそも代表が松隈ケンタさん)歌詞はこちらの曲のほうが青さを押し出していますが、曲調では「宮本佳林さんがプロミスザスター(BiSH)を歌ってみたらこうなった」みたいな化学反応が起きていて楽しい曲。(ほぼミリしらの感想なので違ったらごめんなさい)

4.どうして僕らにはやる気がないのか(2021)

 作詞: 永井葉子 作曲: 田仲圭太 編曲: 宮永治郎

私この曲大好きなんです!ご自身の追求するアイドル像へ向けて鍛錬を積んできた宮本佳林さんが、このど定番ロック調な楽曲をぶち上げるのめちゃくちゃカッコいい。歌い方が全体的に最高。気怠さと諦めと、やっぱり諦めたくない気持ちを的確に表現できる卓越した技術に感動した。

5.愛してるの言葉だけで 

作詞: 宮嶋淳子 作曲: トミタカズキ 編曲: 江上浩太郎

この位置に置くことで、今までの全体的にアッパーな曲調が続いていたアルバム内でのいい転換になっていると思う。宮本佳林さんのボーカルの「感情を声色に乗せるのがうますぎる」という特徴を活かしていて良い。そしてリズムが安定しすぎている。すごい。

6.優柔不断だね、Guilty 

作詞・作曲: 大橋莉子 編曲: 近藤圭一

やったーオシャレ曲だ!!!(喜び方が単純)
歌詞が先ほどの「愛してるの言葉だけで」の続きのようにも聞こえて、おしゃれな並べ方するなあって思った。ここまで聴いたぐらいで改めて思うのが、多彩な楽曲をすべて自分のものにしていく宮本佳林さんってすごい表現力の持ち主で、なのにどの楽曲でもしっかり 「宮本佳林」で、冗談抜きで類まれなボーカリストだなと感じました。

7.イイオンナごっこ 

作詞・作曲: 山崎あおい 編曲: 平田祥一郎

もうイントロの音の時点で「あっ山崎あおいさん曲だ」ってなってクレジット確認したら本当にそうだった。斜に構えたつもりでも内心では割り切れないこの曲の主人公と、複雑な曲の構造がリンクしていて良いですね…。

8.ハウリング 

作詞: 児玉雨子、作曲: MOJ 、編曲: ArmySlick

やったー雨子曲だ!!!!!(だから喜び方が単純)
この曲のBメロ(午前3時半とか、今日また低気圧のところ)がめちゃくちゃリズム取りにくそうなのに完璧で、さすが宮本佳林さん…って思いました。なんでリズムとれるん?
外連味があってすごくクセになるけど、油断すると歌詞が刺してくる恐ろしい楽曲。

9.Happy Days 

作詞: MEG.ME、作曲: KOUGA、編曲: 堀倉彰

軽やかでオシャレで可愛い曲。個人的に一番映像化してほしい曲です。この曲のストーリーを演じる宮本佳林さんのMV見たくないですか?私はめっちゃ見たいです。オフィスで白紙をパーっと散らしてたりオープンカーとか出てくるやつでお願いします。今からでも作ってくれないかなぁ。

10.規格外のロマンス

作詞: 西野蒟蒻、作曲: Caroline Gustavsson / Chris Meyer、編曲: Chris Meyer

かわいいMVにうっかり騙されそうになりますが、よくよく聴くとこの曲って、既存の社会からするとすごく攻めた歌詞なんですよね。

世間的な愛とは 違ってたって
純度100パーの この気持ち
(中略)
正しい恋もちょっと 齧ってみたけど
味すらしなくて

規格外のロマンス/宮本佳林

なんてクィア的な匂わせがありつつ

傷つきたくないなんて 言ってられない
一か八かで 打ち明けるわ
(中略)
ありのままで 本能で 愛せる世界
君となら 夢じゃないわ

規格外のロマンス/宮本佳林

って結局伝える方向なのがとても好き。
王道アイドルソングと見せかけて、新しい社会に向かっている曲だと思います。

11.タメライ

作詞: 川田琢 作曲: 馬飼野康二 / 鎌田俊哉 編曲: SCRAMBLES

案外このアルバムになかった曲調。このマイナー調な感じに私はなんとなくボカロ曲を感じました。
んだけどガラクタDIAMONDをどうしても思い出すよね。

12.未来のフィラメント

作詞: 児玉雨子、作曲: michitomo、編曲: 佐々木侑太

ソロ始動時の初めての曲。前曲の「タメライ」からの繋がりがすごく良いので皆さんアルバムで聴いてください。(すかさず宣伝する)
すごく幻想的な楽曲なんですが、

答えはいつだって 未来にしかないよ
ここにはなくたって 作りだせるよ きっと

未来のフィラメント/宮本佳林

グループ卒業後の船出に、この希望のある歌詞を贈る雨子さんの粋さが沁みます。

13.氷点下 

作詞・作曲: 山崎あおい、編曲: 浜田ピエール裕介

竹内朱莉さんバーイベでお馴染み(?)。月並みな感想ですがほんとにいい曲ですね。歌詞と曲調のリンクが絶妙で、どちらにも浸れるすごい楽曲。Juice=Juice時代に磨き上げた切なげな歌い方が存分に生かされていると思います。「メッセージ」の歌い方と最後の「でも」が素晴らしすぎる。

14.落ちこぼれのガラクタだって 

作詞: 川田琢、作曲: 松隈ケンタ、編曲: SCRAMBLES

またもやSCRAMBLES曲。しかも今回の作曲は松隈ケンタ。JAPAN JAMで見たBiSHを強烈に思い出す楽曲でした。ハロ曲でこんなふうにクラップの代わりに手を振りたくなるような曲って珍しい気がするので、1stアルバムにしてこの多彩さを手にした宮本佳林さんは強い。

15.夜明けまでのララバイ

作詞: 西野蒟蒻、作曲・編曲: Caroline Gustavsson / Chris Meyer

………

で、
この曲がね、

あまりにも良すぎるんですよ!!!!!

「年の瀬で懐が寒いんです」なんて方はこの曲だけでもデジタルで購入してほしい…!!ってかMV欲しい布教させてくれ。

アルバムの最後にふさわしい名曲、この曲がアルバムで初公開の新曲っていうのも宮本佳林チームのこのアルバムへの本気度を感じられて素晴らしい。

もちろん楽曲としても最高なのですが、私はこの曲の歌詞にめちゃくちゃしびれました。

この曲の歌詞では、ぼかすことなく明確に戦争をテーマにしています。

6畳半 差し込むムーンライト
液晶が映しだす別世界
鳴り響く 無情な銃声

明確に2022年今起きている戦争を描写している歌詞を抜粋

アイドル自身も頻繁に発言し、私たちヲタクもよく求めてしまう「希望を与える存在としてのアイドル」という偶像において、最大限にスケールを大きくしていくと、残念な事にこの世界線の2022年だと「戦争によって失われた平和」というテーマになってしまう。
そして「アイドルは人間であり仕事である」という事は、アンジュルムを応援したことのある方々なら特に実感しているかと思います。

この曲のすごいところは

悲しみの意味も知らないまま 大人になれる国で
手の届く距離の幸せすら 守れない私なのに

夜明けまでのララバイ/宮本佳林

と冒頭で視点を「アイドルという職業で生活している個人」まで落とし込んだ上で、

いま 世界を生きている「君」に思いを馳せる
一人きりだって 独りじゃないんだって
1ミリずつ変わる 未来を信じている
(中略)
ねぇ 涙も枯れ果てた「君」の代わりにいま
泣いてもいいかな
(中略)
なけなしの愛を そっと包んであげたい

夜明けまでのララバイ/宮本佳林

と、サビで多くの人間の感情を背負ってくれるアイドルとして「希望を与える」側面を見せて、

サビの最後で放つのが

ヒロイズムじゃないの 夜明けまでのララバイ

夜明けまでのララバイ/宮本佳林

です。「ヒロイズム」を背負う偶像ではないけど、アイドルを職業として生活している個人として「ララバイ」という子守歌を贈る。
反戦というテーマを通じて「宮本佳林は、人間でありアイドルでもある」という宣言を表明しているように聞こえて鳥肌が立ちました。(でも考えすぎな可能性も高い)

そしてこの歌詞の楽曲を歌っている人が、グループの卒業後M-Lineのライブでも主力となり精力的に活動している宮本佳林さんということに、アンジュルムのヲタクとしての血がどうしても騒いでしまうんです。


さてここまで全曲レビューしてきましたが、アルバムを通じて感じたのは「アップフロントの潤沢な音楽的リソースをフル活用して最大限に挑戦していこう」という意欲でした。

もちろん、音楽活動を継続しているハロプロOGも新しい事に挑戦しているハロプロOGもたくさんいらっしゃいます。
ですが、ここ最近グループから卒業し1stアルバムの時点でここまで意欲的な作品をリリースしている「チーム宮本佳林」に私はとても魅力を感じているので、今後も応援したいと思っています。

よければ是非、このアルバムを順番に最後まで聴いてみてください。