🌊輝く本へ有難う🌊

大学2回生の頃のお話です。
私は美術を学ぶ2年の短大に通っていました。
2回生の後期になると卒業制作がある為、午後の授業はほぼ卒業制作の授業でした。

私の絵画コースの個性溢れる仲間は4人。
先生が「卒業制作何が描きたいかこの紙にまとめて持ってきなさい」
そう渡された1枚の紙。
「私動物好きやし、色んな動物描こうかな？」
「かわいい女の子描こう〜」
「抽象的な物を描きたいなあ、、」
「昔の思い出の写真を描こう〜」
あれ描こう！あれも描こう！
みんなすぐぱっと自分の描きたい物が浮かんでいた。

渡された時と同じ何の跡もない綺麗な私の紙。

何が描きたいのか、、、
描きたい物がなかった
午後の授業ずっと椅子に座って考えてるだけだったり。
ぼーっと緑いっぱいの校庭を眺めて考えたり。
図書館で本をあさってみたり。
時には自転車で授業抜け出したり、、
すいません...

そんなこんなでみんなと遅れる事1か月程。
先生に会う度
「思い付いた？」
「どうすんのあんた？」
その頃の、あだ名は問題児

その日も私は探していた。
1か月程遅れているのでさすがに焦っていた。
「あんた、模写の授業楽しそうに描いてたし模写にしてみたら？」
と先生。
「よし！模写にしよう！図書館で気になった物全部見るぞ！何か見つけれるはず！」
私は午後の授業始まってすぐ図書館に駆け込んだ。
目に止まったタイトルの本を何冊が取って1ページ1ページみていった。

「これ！！！」
そうなる物が見つからない
時間が過ぎてゆくばかり。

また何冊か探しに行った。
本棚の上から下まで流れるように目を向け隅々まで探した。

その時だった
物凄い光を放つ本が見えた、見た事がない輝きだった。眩しかった。
私は惹きつけられるように足が動き恐る恐るその本を手に取った。

「葛飾、、北斎、、、」

1ページ1ページ目が吸い込まれるように見入ってしまった。
ページをめくる手が止まった。

「これ！！これを描く！！」

その絵を見た瞬間、涙が出て身体中がゾワゾワして感動した。

その本を借り、猛ダッシュで先生の所へ向かった
「先生！問題児、描きたい物決まりました！
これ描きます！描かせて下さい！」

そうして描き上げた作品が
葛飾北斎の「怒濤図」の模写
「男浪」「女浪」2作品合わせて「怒濤図」です。

北斎さんに惚れ今も波の模写を描いています。
前世もずっと好きだったんだとこれからもずっとです。
あの時の出逢いに本当に感謝でいっぱいです！
出逢わせて下さって描かせて下さって
本当に有難うございました！！！

輝く本へ　有難う、、！！

#葛飾北斎
#北斎
#怒濤図