ちぇっ

と思っていた。

あの娘に直接会うまでは。

文章上でのやりとりで、あの娘がなかなか一歩目を提案してくんないもんだから、ちぇっ、けち、とさえ思っていた。

一昨日、彼女に会った。

あわよくばこちらから切り出そうとさえ思っていた。

しかし彼女はとても親身に相談に乗ってくれ、優位に立とうとせず、自分のことのように頭を回転されてくれた。いつも、彼女はそうだ。

そして控えめにそれを提案した。

途端、自分がとてつもなく恥ずかしく惨めなかたまりのように思えた。

わたしはあの娘が死にものぐるいで手に入れた居場所を、あの娘伝いに、たいした苦労もせず簡単に手に入れようとしていたのだ。

必死にしがみつき、かよわく、すこしのバランスで保っているその居場所を。

わたしはそこに触れてはいけないと思った。

あんなに手にしたかったものを、その提案を、残りの1パーセントの可能性もないくらいに断った。

そして、あの娘に、幸せになってほしいとただただ願った。

わたしはわたしの場所を、自分の感覚で見つけると誓った。
今日も風は強いが、自信はある。

#エッセイ #居場所