さとうもか のmelt bitter の歌詞に溶けこんだ9つの思い出

メロディがいいのはもちろん、共感もできて、感情もえぐられる2段構えのパンチラインとちりばめられたmeltのイメージ。
心境の時間経過と、曲の時間経過がリンクする構成。
練りに練られたすごすぎる曲です。ぜひ聞いてみてください。

https://youtu.be/mwTmvdIeYnE


※頭サビ



ねえ 2人とも分かってたの
何度 心絡めても日に日に
ほどけていった 赤色の糸
愛してる 愛してるなんて
言葉だけじゃ やっぱダメみたいだ
運命だと信じてた日々よさようなら


心絡めるというところにまず1つ目のmeltのイメージ。
そして普通赤い糸というのは、運命で最初から結ばれているもので、無理にほどけないようにからめている時点でそれは運命ではない。

いままでの恋愛とちょっと違う感じがする。これが運命の相手なのかなと思って始まった恋愛が途中で不協和音を奏で始める。
この人となら自然体でいられると思ってたけど、ちょっとずつ無理をしてる自分に気づくタイミングがくる。でも気づかないふりをしてまた赤い糸が結ばれるように祈るような日々。

「やっぱ」だめみたいだ。いろいろ頑張ってみたけど、「やっぱ」だめみたいだ。一番のサビでリフレインするこの歌のテーマの提示のフレーズ。

※1番Aメロ

カーステレオのラジオで
ふいに流れた 君が初めて
教えてくれたあの曲
違う誰かの助手席で
寝たふりして涙ごまかす夜
なにしてんだろう

このあとに出てくる「駅」と「部屋」は目からの情報だけど、
「カーステレオのラジオ」は耳からの情報。
日常に散りばめられたちょっとしたことでも「君」との思い出がすぐにあふれてくる。
「君」との関係がうまくいかなくって、「違う誰か」の車に乗るけど結局辛さが増しちゃうだけ。

※Bメロ

懐かしい駅 ふたりの部屋
過去が今を見えなくする
でもいつかね まだ知らない色に染まって
誰かと溶けてゆくの
その瞬間が きっと本当の終わり

見るもの、聞くものに「君」との思い出が溶けこんでる=2つ目のmelt
そして今は私と「君」が長くいたことで溶けこんで染まった色=3つ目のmeltがあるけど、
知らない誰かとまた思い出を作り、それが私に溶け込むことでやっと「君」との思い出から卒業できる。

※サビ

私の痛い気持ちを
ふたりのものだと勘違いしていた
抱きしめなきゃ なにも分かんないのに
愛してる 愛してるなんて
文字の重さは泡と同じだね
会いに行けば未来は変わったかな

ほどけた赤い糸を結ぶように少しずつ無理をするたび私は痛みを覚える
でも人と一緒に関係を続けていくのは妥協点を探していくこと、この痛みはふたりの関係を続けてていくために必要なものと思い込むようにする

痛いなら痛いって伝えて、抱きしめて、触れて確かめればいいのに
君は「愛してる」って言葉だけ。
泡と同じで溶けて消えていく=4つ目のmelt

※2番Aメロ

背伸びしてばかりだった
あなたの横にいると
痛みも何より綺麗に見えたの
私のものにしたくて靴擦れした気持ちと
目を合わせられない


「君」は例えばモテる人、ヒエラルキー上の人。
一緒にいると引っ張り上げてもらえるような、自分が成長できるような思いは、しんどいときもあるけど、宝物のように綺麗に見えた。
この背伸びを続けてたら、私も「君」に並んでたてるようになるかなってずっと頑張ってたけど、この関係が終わったらその努力も無駄になるのかな

ここの彼氏にあわせるため無理をした気持ちを靴ずれにたとえて、それをさらに擬人化して目を合わせられないってする二重の比喩やばくないですか?
僕は衝撃をうけました・・・。

今は背伸びしないとだめだけど、いつかわたしのものにするため、私に溶け込ませるための努力=5つめのmelt

※Bメロ

ふたりで見た あの映画は
今の私たちのことだったのかな
私たちは運命だと
本気で思い込んでいたけど本当は
長くいたから似てきてただけ

この恋は特別なものって思っていたけど、長く一緒にいて溶けあっていったことで似てきてただけの世の中にある、よくあるたくさんの恋愛映画のようなありきたりな恋だったのかな

長くいたから似てくる=6つ目のmelt

※サビ

私に夢が無かったら
もしもあなたと同じ夢を見てたら
もしかしたら今でもふたりは
当たり前に 決まってたように
一緒に居られたかな なんてね
未だに考えてしまうんだよ

曲の2番を通して、
Aメロで一緒にいるために無理しているの辛かったし、別れたら頑張ってたことも無駄になっちゃう
Bメロで運命と思って一緒にいたけど、長くいて似てきたことを運命と勘違いしちゃった
と思いながらも結局いまだに存在しない「もしも」を考えて別れなくてすむ方法を模索する私
この時点ではまだ吹っ切れてない

※Cメロ

友達にも もうきっとなれないでしょう
最後の言葉は「またね」だったけど
また なんてもう無いんだよ
バイバイ 遠くなるベイビー
興味ないうるさいTVショー
一緒にみて時間無駄にしても
君とならよかったよ

2番サビで未練タラタラに「もしも」があれば恋愛関係は続けられたのか考えてしまうけど、もう恋人同士ではいられない
せめて友達同士でもとも思うけど、きっともう無理。
そんな風に覚悟決めようとしている自分にきっぱりとしたお別れの挨拶じゃなくて「またね」という「君」
なおさら二人の関係が終わることが受け入れられなくなる

TVショーと一緒で、関係を続けるためにしてきた努力も、一緒にいた長い時間も無駄になったとしても、それはそれでよかったよ

2番サビまで未練タラタラだけど、Cメロでついに思い出が、「君」が遠くなっていく。これでよかったよと時間によって心境が変化する様子が曲中の時間経過にも反映されてるのいいですよね〜

※大サビ前Bメロ

あの夏にね くれたピアス
「ずっとありがとう」って海に投げたの
忘れられる気がしたけど
思い出だけは 波も飲み込みきれない
心とけた過去は消えないわ

お別れだけど、「バカヤロー」とか恨み言じゃなくて
「ずっとありがとう」て海に投げるピアス
ピアスそのものは海に飲み込まれても、思いだは飲み込みきれない
7つめのmelt

心溶けた過去=いうまでもなく8つめのmelt

そして「心とけた過去は消えないわ」のあとの「ア〜」がいいですよね
普段は歌とかの「アー」とか「イェー」とかなんなの?て思ってしまう人間なのですが
この歌の場合、大サビの最後の一番の曲の盛り上がりに、感情の盛り上がりがちょうど重なって、あふれる「ア〜」
必要なものです。
僕は様式だからと甘えることなく、表現にちゃんと理由があるものが好きです

大サビ

私に染み込んでいるあの口癖は
あなたのものだったの
消えないで なんて願ってばかみたい
愛してる 愛してるなんて言っても
もう なにも動かないの
運命だと信じてた日々よ
さようなら

私にあなたの口癖がしみこんでいて、それが消えないでってやばくないですか?
僕も昔5年間付き合っていた彼女がいて、二人とも鹿児島出身だったのですが、彼女が関西の大学にいって遠恋になってしまってました。
別れた直後に「なんなん?(それなに)」ていう自分の口癖(彼女からうつった口癖)があるのを友達に「なんでそこだけ関西弁なの」って指摘されたことがあって、
二人の思い出が薄れていったり、モノも整理していったけど、口癖だけが最後に残っていて、その口癖もなくなったらもう彼女と自分をつなぐものはすべてなくなっちゃう、消えないで欲しいという思い出が自分にもあったので共感しまくりでした。

そして私に染み込んでいるあの口癖=9つ目のmelt

愛してる 愛しているなんて言っても

言葉だけじゃダメみたい(頭サビ)

文字の重さは泡と同じ(1番サビ)

からの

もう何も動かないの(ラストサビ)

となって本当のさよならをむかえる
という心境の変化に対する時間の流れ=曲の経過時間の流れも完璧です


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
私はこう思うといった意見や、なんでもよいのでリアクションいただけると幸いです。



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