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息子の舌

この冬2度目のおでんをつくった。
大人になって料理すると楽なのは、自分の好きなようにつくり、食べられること。

家族からの文句は不許可。感謝して食べるべし。
そもそも「美味しい。ありがとう」と言ってくれるので、なおのこと快適なクッキングライフを送れている。

子供のころは、おでんはあまり好きじゃなかった。ゴロゴロと大きな具材が主張が激しく、練りものが多くて飽きてくる。わたしの母はおでんの時は茶メシと呼ばれる薄い醤油味の飯を炊いたが、それもイマイチ美味さがよくわからなかった。

だがしかし。おでんの具も今や多彩になった。スーパーで「今回はコレを入れてみようか。コッチのは前回美味しかったから定番化しよう」などとやっていると、自分好みのおでん代表を選出しているみたいで楽しい。

そうなると「茶メシ」も、雑穀米におでん昆布を混ぜて塩と醤油でバランスをとり、艶が出るように日本酒を少し混ぜ始めたりする。過去最高の炊き込みご飯では、とほくそ笑んだりし始める。

いつしかおでんは冬の定番になっていた。自分好みにつくるのだから、不味くなりようがない。
だから今、一番気になるのは息子の顔色。うまく煮えた、上手に炊けたとほくそ笑みながら、今日も横目でこっそりと息子の食べるさまを確認する。

「やっべ!超うまい!」
その言葉が聞きたくて、つくっているのだよ。息子よ。

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