2022映画ベスト

10.アンラッキーセックスまたはイカれたポルノ
性愛をアートと捉えるか、ポルノと捉えるか、検閲=金!と書かれた文字を見ながら考えた。こういった風刺は受け取り側の胆力が試される。

9.リコリス・ピザ
アラナハイム及びハイム一家が素晴らしく、姉妹でタバコを吸うシーンが決まってた。他人の言葉にいちいち反応して「私、なにやってんだろ…」という気分になるのは往々にしてある。

8.あのこと
「私の体は私のもの」という根源的なものが現在までまで(あるいは現在も)見過ごされている気がする。勝手に性的搾取とかレッテルを貼るな、映像を直視しろと思う。そして緊急避妊薬は絶対必要だと思う。

7.ベルイマン島にて
制作の生みの苦しみ、あるいはファンとアーティストの距離、創作とプライベートの葛藤、全てが素晴らしかった。主演のヴィッキーさん最高。

6.林檎とポラロイド
説明のない、少し不思議な世界観から始まる喪失と再生の物語。体が覚えていること、忘れること。静かで暖かい作品だった。

5.グリーンナイト
イングランドの古典を翻案したこの作品、アメリカっぽくてよかった。旅を彩る狐やバリーコーガンも(謎の実名)素晴らしかった。出発の時、主人公の逡巡を表すかのような長回しが好み。

4.ノベンバー
年末ギリギリに観に行ったのだが、後半から映像に圧倒されっぱなしだった。媚薬をくれ!人間の愚かさや滑稽さ、美しさが凝縮されていた。男に適当な媚薬の作り方を教える老女が大変素晴らしいしクライマックスの白い馬と黒い馬が交錯するシーンは情動を突き動かされてしまう。

3.バルド、偽りの記録と一握りの真実
こちらも創作の生みの苦しみ、来る老い、故郷を去る者、残る者。フェリーニやベルイマンが遺したものを見事に彼なりに昇華しているところが大好きで、屍の上でのコルテスの対話は素晴らしくてため息が出る。これを集大成と言わず、もっと作品を生み出してほしいというファンとしてのエゴを記しておく。

2.8 1/2
フェリーニはアマルコルドしか見たことがない新参者だったが、午前10時の映画祭で見た。フェリーニは人生の根底にある寂寞をしっかりと見つめた上で祝祭を描いているので好きだ。グイドを取り巻く女性たちが多様で見ていて飽きないし、有名なラストシーンはそれはそれは引用したくなるでしょうという納得の作品だった。

1.TITANE
ホラーはコメディと表裏一体というが、これはホラーと芸術、コメディのギリギリのラインを内包していて、奇跡的なバランスで出力されていて本当に素晴らしかった。二項対立をトランスしていく主人公、新たな家族像、新たな概念を生み出す姿ははカッコよくて可愛くて痺れる。

今年は「何かを産み出す」ということについて考えていた。来年は自分も何かを生み出していきたいと思う。良いお年を。

サポートしていただけるとめっちゃ嬉しいです。 少額からでもめっちゃ嬉しいです。よしなに。よしなに。