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【ネタバレあり】劇場版少女歌劇レヴュースタァライト感想

スタァライトの劇場版を観たので感想です。
自分は、アニメシリーズ、ロロロ、舞台#2、舞台青嵐は履修済です。

(以下、ネタバレあり。未視聴の方はブラウザバック推奨)








…ほな、行くで。

全体について

アニメシリーズから時は進み3年生、皆さんそれぞれ進路について考える中、華恋は進路を決められず、ひかりは退学しロンドンに帰ってしまう…

というところから物語がスタート。学生生活最後に各々が自身の課題や悩みを乗り越えるというのは卒業ものでは定番ですが、そこはスタァライト。「舞台の課題は舞台でケリをつけるんだよ!!」と言わんばかりの怒涛のレヴューで演出とメッセージがゴリゴリに強いのなんのって。

レヴューのタイトルが不穏だったり、演目のセリフや配役だったり、若干ショッキングな描写や舞台装置・背景の細かい所等々、キャラの心理描写や関係性をドラマチックに魅せる演出というこの作品の肝の部分をこれでもかと見せつけられて、アニメシリーズの集大成としてはクライマックスに相応しい映画だと思います。スタァライト好きなら絶対に観た方がいい。

ただ1点、これは自分の察しの悪さというか読解力の無さや演劇関係への教養の無さもあるんだけど、今回の映画はあくまでもレビューを通して各々が結論を出すところで、わかりやすいセリフが必ずしもあるわけでなく抽象的な表現でしか心情が示されない部分もあり、自分自身全てを完全に理解できてないところは正直ある。

(実際、映画終わってからオタクが「わからん…」て言ってたのが聞こえたから、大なり小なりそういう体感はそれなりにみんな持ってそうな気はする。パンフとか読めば答え合わせできるのかもだけど、売り切れで買えず…)

特に、背景や舞台装置などでセリフ化されてないメッセージを表現してるのは明らかに感じたけど、全部把握できたわけではないし。なので、何度か観ることでより理解が深まるのかなと思います。

レヴューについて

スタァライトと言えばレヴュー。レヴューを語らずしてスタァライトを語れようか!

というわけで各レヴューの感想。(レヴュー名を全部ちゃんと覚えてないのはご容赦願います。)

全体的に言えるのは、

圧 倒 的 に 濃 厚

皆様それぞれに推しの組み合わせがあるかと思いますが、満足度は高かったのではないでしょうか。

①皆殺しのレヴュー
タイトルからして不穏だし、実際キマってるばななちゃんが大暴れしてみんなバタバタやられるし、血飛沫(舞台装置)飛び散るしで開幕戦から衝撃でしたわ。個人的には、二本目の刀が後から運ばれてきて、ばななちゃんが二刀流になったシーンがカッコよかった。

ここ後から振り返れば、「舞台少女にとって舞台とは何ぞや!」(イメージ男塾三号生 独眼鉄)なんだけど、視覚への殴りこみ方が強すぎ。

しかし、ばななちゃんの問い掛けに対し、真矢だけが意図を理解してたというところがThis is 天堂真矢といった所か…

②香子vs双葉
京都の女って怖いな(地元民の半数を敵に回す発言)

花柳香子の感情剥き出しのこのレヴュー。確かに双葉は進路の話を香子にちゃんとしてなかったとは言え、お説教というか八つ当たりが過去イチ厳しい。「表出ろや」ってなるわな。だから、クラブのシーンでちょっと縮こまってた双葉に哀愁があったね。

一方の双葉も「香子のお守り」ではなく「一人の舞台女優」として更に上を目指すという意地を(文化遺産破壊級デコトラアタック付きで)ぶつけにいくという非常にアツいレヴューだった。

二人は幼馴染だからこそ、気兼ねなく好きなこと言えるし、逆に大事なことが言えない。それでも最後は互いが互いを受け止めることができるのがこの二人の良さだと思います。(以下、「この二人の喧嘩のパターン、毎回コレだよな」禁止な)

③ひかりvsまひる
まひるちゃんが怖すぎるよ〜

ロンドンから帰ってきたと思ったら華恋はいないし、まひるがオリンピック(リアルワールドではホンマに開催出来るんか?)レヴューしかけてくるし、負けたらなんかまひるめっちゃキレて追いかけてくるし、演出完全にホラーだし…そらひかり泣くって。演出が本当に怖かった。

でも、まひるもひかりと出会って全てをぶつけたからこそ、女優として一皮剝けた結果のあの迫真のホラーまひるだったのではなかろうか。
(はじめてアニメで見た時に「思い込みの激しいレズって怖いなぁ〜。某千○音ちゃんほどではないけど」とか思ってゴメンよ)

④純那vsなな
女星見、魂のフルスイングで大場を粉砕

キマっちゃったばななちゃんに開幕で介錯されそうになるわ、ボッコボコにされた挙げ句、ハラキリ迫られるわでこのレヴューも壮絶なんだけど、今作の純那には序盤から違和感があって(その理由がばななちゃんのキレてた理由とほぼ一致してたわけだが)、そこを乗り越えるってのがこのレヴューのテーマなんだね。

私、各キャラの口上では純那の口上が一番好きなんだけど、その理由が「真矢みたいに才能溢れる奴がいたとしても、努力でトップを取りにいってやる!」という泥臭さすら感じるくらいの強い意志が見えるからなんだよね。でも、今回やたら他人の言葉の引用が多くて自分の言葉が少ないのが気になってたら、案の定そこがキーポイントでしたね。

最後は吹っ切れて覚醒したらもう強えのなんのって。無双モードのばななちゃんボコボコにして泣かせるんだもん。やっぱり自分の意志が乗った言葉は強い。引用でもめちゃくちゃ強いのはThis is 天道総司だけ。わかります。(キリン感)

⑤華恋vsひかり
順番入れ替えてこちらを先に。
ここまでの濃厚なレヴューのオンパレードから遂にラストレヴュー。正直ここまでのレヴューに結構精神力使ってまだ消化しきれていないところがあるので、再度じっくり観たいところではある。

作中、華恋とひかりの「出会い」から「最初のお別れ」、そして「再開までの間」がアニメより前の時系列から描かれていて、「華恋にとっての舞台とは」という点に、ひかりとの関係も通してフォーカスを当てていたという印象。

今回は、アニメ版との対比になっているところが多く、例えば、アニメでは華恋が塔に東京タワーをぶっ刺してひかりと対峙するところが、映画ではひかりが東京タワーをぶっ壊して華恋と対峙するとか見た目からわかりやすいシーンがいくつもあって、華恋とひかりがそれぞれ役者として独り立ちするという点が描かれたことで、華恋とひかりのスタァライトに一つの幕を下ろすというテーマをやり切ったのではないかと思います。

(しかし、怪獣以外にあんなド派手にぶっ壊される東京タワーもそうそう見れんな…)

⑥真矢vsクロディーヌ
濃厚な真矢クロを観れたのでぼくは満足です。

濃厚な!!真矢クロを!!観れたので!!ぼくは!!満足です!!
(大事なことなので2回言いました)

スタァライトでは真矢クロが最推しです。この二人、ライバル同士という描かれ方をしてて、お互いバチバチで「アイツには負けたくねぇ!」ってところがあるんだけど、一方でちゃんと相手の実力は認めてるところがアツいのよね。なので、真矢クロは虎牙道。

ここから妄想も入る真矢クロ評。
真矢は多分これまでの人生、「勝ってきた人」なんだよね。なので、ある意味ではそんなに他人を意識しなくてもマイペースにやりたいことやってたら結果はついてきてたと思うし、求道者タイプということもあってあんまり「競う」っていうところに重きは置かなかったのかなと。普通にやったら大体勝てるし、現に平然と主席やってるし。

一方のクロちゃん。彼女も基本的には「勝ってきた人」の部類には入るし、十分超上位層なんだけど、あろうことか自分を上回る天才、天堂真矢に出会ってしまったことで初めて圧倒的な敗北を突き付けられたんでしょうね。ただ、クロちゃんはそこで折れずに逆に負けん気の強さで食らいついていくんよ。やっぱり2位って悔しいし。

そして、真矢にとっても恐らくそんな奴今までいなかったんだろう。普通は真矢の圧倒的な実力を目にしたら、自信無くしたり心折れる奴の方が多いだろうし、そういう負けて終わる人間をずっと見続けてきた孤高の天才として生きていかざるを得なかったんだろうし。だからこそ、自分程ではないにせよ元々の実力の高さを評価してるクロちゃんが、どんだけ負けても食らいついてくる姿を見るうちに、真に彼女の実力を認めるようになったんだろうね。

だからアニメ10話とかもう凄い濃厚じゃん。だって、この人ら負けたのに、全編フランス語で二人の世界に入って全部持ってっちゃったし。真矢は「私のかわいいクロディーヌ」とか言っちゃうし、クロちゃんも「ホント…イヤな女!」とか言いながら満更でもなさそうだし。この「負けたくないけど実は認めてる」という関係性が真矢クロの肝。

ここまで前フリで、劇場版のレヴュー。
最初仲良くゲームやってたかと思ったら、やっぱりそこは真矢クロ、バッチバチでした。

真矢って他のメンバーより先を見てるし、常にトップであらねばならないという意識の高さもあって、「トップスタァはただ一人」「スタァたるものあらゆる役に自分を合わせるもの」という1つのある種の真理というか美学を持っているから、クロちゃんと言えど圧倒的な実力でもって突き放す時は突き放す。どこまで行っても勝負の世界だから、それは当然と言えば当然。

だがしかし、そこで折れないのが西條クロディーヌという女よ。「This is 天堂真矢」封じからの怒涛の反撃は圧巻。実力を認め、常に真矢を追いかけ続けたからこそ彼女の本音を感じ取っていたし、建前しか話さないのが気に入らなかったんでしょうね。「お前は建前だけで生きる女か?そうじゃないだろう?本音で語れよ天堂真矢!」って感じで真矢に突っ込んでいくわ、舞台装置ぶっ壊すわでクロちゃん大暴れ。

真矢も真矢で、幾度となく自分に食らいついてきた女にそこまで本気でぶつかられたら、もう建前なんぞ知ったことかとこれまたフルパワーで応戦。お互い絶対に一歩も引かないし生の感情ぶつけ合って、純粋に競い合ってきたからこそのアツいレヴュー。戦ってる最中にクロちゃんは「アンタが一番かわいい!」とか言い出す(それに「私はいつだってかわいい!」って返すあたりが天堂真矢)し、レヴューに負けた真矢は「明日も明後日もレヴューは続く…」(つまり「今日のところは負けたけど、次もその次もやる時は絶対に負けへんからな」っていう強い意思表示)とか言い出すし、全編通してこれでもかと濃厚な真矢クロを見せつけられたので、ぼくは大変満足しました。(3回目)

終わりに

スタァライトはアニメから入った勢ですが、シリーズの印象としては男性向けコンテンツでは珍しい舞台モノを男性ウケするように上手く構成してわかりやすくしているなという印象。(舞台モノは基本女性向けのイメージ。)

だからといって中身薄いかと言われれば全くそんなことはなく、むしろ取っつきやすさの裏にある深さがあって、セリフや動きだけでなく、背景や演出、音楽の全てでストーリーを構成してるところが舞台原作ならではの面白さで、そこをアニメに上手く落とし込めてるのがアニメシリーズの良さだと思う。

個人的に舞台ってあんまり楽しかった印象がなく、中三の時に初めて観たミュージカルのテンションについていけなくて(大体、一番アホ真っ盛りの中三男子に美女と野獣を見せる学校サイドにも問題がある。他に男子ウケする演目あったやろ)、その後舞台を観ることはなかったんだけど、たまたまミリオン6th福岡で夜想令嬢のミュージカルを観た時に、大人になって感受性も育ったこともあって結構刺さって、舞台も面白そうだなと思ったところでスタァライトに出会って、アニメと舞台#2を観たら面白くてハマったし、いいタイミングで出会えたなと。

木谷会長も男オタクを舞台に引きずり込みたいと言っておられたので、まんまと引っかかった形ですが、本当に面白い作品なので、アニメシリーズは終幕しましたが、舞台#3もあるので(多分チケは当たらんので現地はお預けでしょうが)、今後とも追いかけていきたいと思います。

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