読んだ/見たもの感想メモ_202008

最近、なぜか朝早くに起きるのにちょっとハマりました。
5時くらいに起きて、ゆっくり朝ご飯食べたり、ゲームしたり、運動したり、本読んだりしてます。
結構楽しいです。


●読んだ・見たもの

小説

『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦

上田誠の戯曲「サマータイムマシンブルース」を森見登美彦が「四畳半神話大系」のキャラクタでやろうじゃないかという公式パロディ。本筋はサマータイムマシンブルースに忠実に、小津が、樋口師匠が、羽貫さんが暴れ回る、良いバカSFに仕上がってる。楽しい。
個人的にちょっと面白かったのは、「四畳半」のキャラクタたちが、原作・四畳半神話大系よりもアニメ・四畳半神話大系的で、不思議な逆輸入が起きていること。
森見登美彦の原作を元に上田誠が描いたアニメを森見登美彦がノベライズしてるみたいな不思議感。
原作よりもキャラクタがより立っていて、明石さんとかが妙に可愛かったりする。原作の素朴さが好きな人もいると思うので、これは好みか。個人的にはどっちもあり。

『カラスの親指』道尾秀介


あれと一緒にかつて友人の勧められていたもの。
過去に追われ続ける詐欺師の主人公が、相棒詐欺師や自身と因縁ある姉妹に出会い、次第に過去へと向き合っていく推理小説。
散りばめられた伏線と、後半のカタルシスは見事! 最後の方なんか、変な声出た。
あとなんか、どことなく……こう、家族計画感がある。どことなく。

『ベストSF2020』

昨年刊行が終了した「年刊日本SF傑作選」の流れを汲む短篇SF傑作選。
2020ということで、2019年に発表された短篇SFから選りすぐりの八篇が収録されている。
「平林君と魚の裔」、「地獄を縫い取る」、「色のない緑」は既読。というかこれらは本当に面白かった三作品なので、年刊傑作選が出るなら必ず入るだろうと確信していた。それぞれ、宇宙を数える(創元SF文庫 書き下ろし宇宙SFアンソロジー)、Genesis 白昼夢通信(創元書き下ろしSFアンソロジー)、アステリズムに花束を(百合SFアンソロジー)と別々のアンソロジーでの書き下ろしであったので、纏まってくれたのがとてもありがたい。人に勧めやすくて本当に助かる。
「平林君と魚の裔」は、様々な異星人の文明が組織する「汎銀河通商網」と我ら人類が接触した世界を描くスペースオペラ・通商網シリーズの二作目(一作目「What We Want」、三作目「止まり木の暖簾」との繋がりこそありますが、それぞれ独立していて、読んでいてもいなくても大丈夫)。
ぐうたらな海洋学者が突如として宇宙船に乗せられ、関西弁を操る伝説的銀河商人スミレと共に、銀河交易の最前線へと飛び込むことになる……というのがあらすじ。
これが本当にクオリティの高いスペースオペラで、笑いあり、涙あり、戦闘あり、世界の謎ありという、とにかく作品の密度が高い。汎銀河通商網に丸々巻き上げられたアメリカ合衆国、銀河の果てから身一つで舞い戻った女商人スミレ・シンシア・ヒル、異様な特徴を持つ異星人たち、文字通り宇宙規模で行われる交易戦争……と設定だけでもわくわくする。キャラクタもめちゃくちゃよくて、関西弁の銀河商人・スミレ、スミレの相棒宇宙人・トリプレイティ、イソギンチャク型の宇宙人・平林君などなどもう魅力的ったら魅力的。
スミレ・シンシア・ヒルが銀河の果てから如何にして地球へ舞い戻ったかが描かれる一作目「What  We Want」、スミレの少女時代を周りの人の視点から描く三作目「止まり木の暖簾」も負けず劣らず面白い。
通商網シリーズ、今本当にアツいシリーズです。
「地獄を縫い取る」はGENESIS読んだときに感想を述べているので割愛。
「色のない緑」はここ最近注目を浴びている中国の百合推理小説作家・りくしゅうさによる、百合SF。機械による翻訳技術が高度に発展した世界で、構文的には正しいけれど意味を為さないという言語学の例文「色のない緑の考えは猛烈に眠る」を鍵とし、翻訳不能性の研究の果てに自死した友人モニカの半生を辿る。女性と女性の重い関係性がとにかく丁寧に描かれる傑作。 
ベストSF2020の話に戻りますが、未読作品で好きだったのは、突如として何かに目醒めて故郷である片田舎の農業惑星を飛び出し、駆り立てられるように銀河を征服し、歴史に名を残す皇帝となったビョードル竜帝の人生を描く草上仁「トビンメの木陰」、同作家の傑作短篇「海の指」の姉妹作である飛浩隆「しづこ」。
あとはこれぞバカSFといった片瀬二郎「ミサイルマン」、のんびりと進むけれどどこか薄寒い岸本佐知子「年金生活」あたりもお気に入り。
恒例の対象年のSF概況や、半分ぐらい愚痴になっている大森望氏の編集後記も面白い。
さて、ベストSF2021には何が入るかしらん。

『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス

銀河バイパス建設のために地球が消滅するという荒唐無稽な展開から始まるバカSFの金字塔。深刻な場面(何はともあれ地球が無くなってる)なのにそれをあまり感じさせない軽やかな文章やジョークがとにかく光る。
鬱病を患うロボットのマーティンが可愛い。

『アメリカン・ブッダ』柴田勝家

SF作家(重要)・柴田勝家の初の短篇集。
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」と「検疫官」は既読。どちらもお気に入りの作品だったんだけど、他四篇もすごく良かった。
以前読んだ『ヒト夜の永い夢』がかなり好みだったのでその前日譚たる「一八九七年:龍動幕の内」はアツい。またあの南方熊楠の話が読めるとは。
リニアコライダーと民俗学と量子論を絡めた「鏡石異譚」は爽やかな読了感が良い。壁に纏わるホラー「邪義の壁」はじわじわとした狂気の描かれ方が魅力。大半の人間が電子の世界へ旅立った世界で、一つの悟りを描く「アメリカン・ブッダ」ももちろん傑作。
あとは、作品外になるが、巻末の池澤春菜さんによる解説が短いながらに「人間・柴田勝家」の面白さが密度高く詰まってて面白い。メイド喫茶のメイドさんに塩対応される勝家氏……。


他、はやみねかおる「めんどくさがりなきみのための文章教室」や中村圭志「教養のための宗教入門」、Testosterone「ストレスゼロの生き方」などを読んだ。


漫画

『違国日記』6巻 ヤマシタトモコ


最近読んだ漫画の中で特に好きな、既刊を何度も読み返している作品が二つあって、一つは「メタモルフォーゼの縁側」、そしてもう一つがこの「違国日記」。
偏屈で不器用な少女小説家が、姉夫婦の事故死をきっかけに中学生の姪を引き取ることになるお話。
大人らしくない大人である槙生と、突如として親を失った朝が、お互いの理解や不理解、周りの人々、姉夫婦の死を通して、生き方を探す話。
生き辛く生きてきた槙生が時折口にする、生きる上での彼女の考えはある種の救いで、なんだかとても心に響くし、何かが許されるような気持ちになる。
朝の友達のえみりちゃんもすごく好き。正直、サブ主人公だと思っている。

めちゃくちゃ好きなんだけど、周りで読んでる人がいないので少々寂しい。勧めてはいるのですが、中々刺さらないみたいで。


『チェンソーマン』8巻 藤本タツキ


チェンソーマン全然わからん……何もわからんけど面白い……でもわからん……となってる。
本誌勢になろうか正直迷っている。

『Still Sick』1〜3巻  灯


百合。ヒロインはかなり好みだったんだけど、主人公が正直あんまりで……。そういう意味で個人的にはちょっと惜しい作品だった。

『47歳、V系』1巻 桂明日香

説明不要、タイトル通りのギャグ漫画。かなり好き。

『スキップとローファー』4巻 高松美咲


スキップローファーはほんとに癒される。
ナオさんとおミカが仲良くなってるのがほんと好きなんだよな……(ただし、4巻では二人の絡みは少なかった)

映像作品

『プリパラ』

一期を見終わった。
後半ユニコンがすごく好きになっちゃって、ファルルとユニコンにもう〜〜泣かされた。あのコンビ、いつまでもお互いを支え合ってほしい。
あと、ファルルの喋り方が変わる演出、反則すぎてほんと……。
プリパラ……感情揺さぶってくるじゃん……。

『逃げるは恥だが役に立つ』

ずっと見たかったのに機会を逃し続けてた逃げ恥なんですけど、アマプラに入っていたので試聴できた。
ゆっくり見ようと思ってたのに、話は面白いし。平匡さんがあまりに可愛いしで数日で見終わってしまった。
沼田さんが結構好き。

MIU404も見たいんだよな~……Paravi入ろうか迷ってる……。

『イエスタデイ』

売れないシンガーソングライターである主人公が、「ビートルズが存在しない世界」へ飛んだら――という映画。めちゃくちゃ良い掴みでずっと気になってたんだけど、見る機会がなく。これもアマプラに入ってくれたので。
いや、これオタクは絶対好きでしょ……みたいな映画だった。
だって、ねえ? 好きだよこれ……。


以上~。今はラヴクラフト全集読んだり、Genesis3読んだりしてます。
あとTwitterで話題になっていた「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」がめっちゃ面白いです。

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