決闘疾走のお話


私の最初の遊戯王は5D'sでした。




勿論その頃初代やGXの存在も知っていましたし
ニコ動で社長のMADが大量に投下されていたのも見ていましたし
その後ARC-Vまでは全作履修しているのですが
ちゃんと作品として最初に触れたという意味では
5D'sがはじまりだった訳です。




カードゲームにはほとんど触れていなくて
遊戯王OCGもほとんどゲームでしか遊んだ事なくて

だけど私は5D'sという作品が
不動遊星とチーム5D'sの皆とネオドミノシティが大好きです。






特に私の中で不動遊星というキャラクターは
とても印象が残ったキャラでした。




未来の世界にまで語り継がれる英雄的な行動をしながらも
決して本人はステレオなヒロイック像ではなく
彼が決闘に赴く動機はいつも

『大切な仲間との絆』
『その人達が生きる愛する街の為』


結果的に巻き込まれ臨んでいく事態がマクロな事象でありながら
彼自身は周囲の人々との繋がりというミクロな視点に常にあり

手先が器用で判断力に優れ
頼もしいリーダーシップをもっていて
だけど何かの束縛や隷属を良しとせず力の限りそれらに抗う
一見クールな様ですぐに熱くなる
風の様な生き様の人物。



「俺の道は常に風と共にある」

彼の台詞でしたね。






実は私の中では
遊星の印象に残る台詞って

「おい、デュエルしろよ」でも
「だが俺はレアだぜ」でもなければ
「どうしてDホイールと合体しないんだ・・・?」でもないのです。
(もちろんそれらも好きですけどねw)



上記の遊星の生き様を表した「風と共にある」も含め
152~154話の最終話付近に集約しているのです。




「いいチームだった」

新型動力の開発を終えての一言。
勝手な解釈なんですけども恐らく演者の宮下さんは
この一言に色々な思いを込めたのだろうと感じたんですよね。

作中そのままの意味で『遊星として開発チームに向けた言葉』
3年間を共にした『座長として主要キャスト・制作陣に向けた言葉』
ここまで見届けた『私達視聴者へ向けた言葉』

私は当時そう受け取った台詞でした。

今でも一つのいい仕事をやり終えて
そこまで一緒にやってきた方々とひとまずの解散となる時
私はこの台詞を口にする癖があるくらいには好きですね。

『1つの何かを成し遂げるまで共にする人々は1つのチームである』
これ、遊星から学んだ事です。




「俺は、この街に残るっ!!」

実はこの手の『ヒーローが世界を救う』まで描く作品は数あれど
『救ってからその世界をどう生きるのか』に
明確な意思表示を主人公にさせる作品ってあまりないのですよね。

5D'sの面々は驚いていましたが
これまでの遊星という人物とこの作品を見届けてきた私にとっては
意外な答えではなくむしろ
『あぁ・・・そうだよね遊星』って納得する決断でした。

あるべき場所に還ったアテム
まだ見ぬ外の世界へ旅立った十代
今ある此処に残って皆の居場所になり続ける事を選んだ遊星

この過去と未来と今に帰属する三者の差異は
意図的で見事な演出だったと私は捉えています。




「みんな、走り続けようぜ。
人生という名のライディングデュエルを・・・
ライディングデュエル、アクセラレーションッ!!」

最後はやはりこれでしょう。
5D'sという物語を締める結びの台詞。

みらいいろをバックに始まるラストランから
それぞれの思いを表明して
赤き竜も役目を終えて飛び去って
ハイタッチからそれぞれ文字通り別々の道へ走り去って行き
みらいいろが流れ終わった無音の中、最後に遊星一人が残り
それぞれの未来への期待と
何か祭りが終わった後の様な少しの寂しさを漂わせ
晴れ渡る青空を背にしてこの台詞と共に
彼はネオドミノシティへ走り出す。

このラストは誇張抜きに私が今までに見たアニメ作品の終わり方の中でも
最も美しい物語の締めだと未だに思っています。






今日この題材で小話をした理由は言うまでもないかと思います。



先生が遊戯王という作品を世に生み出してくれていなければ
私は遊星や5D'sのみんなに出会えなかった。
この素晴らしい作品を見れる事はなかった。


勿論、初代遊戯王も私にとっては好きな作品の一つです。

今日ここで語るべきは
先生の執筆されたそちらであるべきかとも考えたのですが
5D'sも先生がダクナー編まで直接携わられた作品で
初代においても先生が根底のテーマとして設けていた
『絆』を強く打ち出した物語でしたし
やはり私にとって格別思い入れの強いのはこちらですから
どうしても書かずにはいられませんでした。


そしていみじくも今日は七月七日。
何の因果か遊星の誕生日でした。






高橋和希 先生

あなたの物語は光の中へ完結されてしまったのですね。

ゲームは楽しいもので
そして決して軽んじていいものじゃない。

時に真剣勝負の場であり
時に人の絆を繋ぐ闘争であり儀式でありアイテムである。

あなたの作品には
何かそうした思いが込められていた様に感じています。

どうか、あちらでも人々の心に残るような
新たな楽しい『遊戯』を生み出してください。

こうして多くの人々に愛され心に残る作品とゲームを残したあなたこそ
きっと本当の『遊戯王』だったのだろうと
私はそう思います。








このまま湿っぽい結びでは悲しみが拭えないので
最後はこれにて締めさせて頂きます。






なら明日はサ店に行くぜ!
もっと腕にシルバー巻いて全速前進だ!

ライディングデュエル、アクセラレーションッ!!

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