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出戻って役員まで登った Nk氏

白いブラック企業にも昔は能力の高い人たちがいた。そして人情や思いやりのある活気に満ちた会社であったのだとNk氏の人柄や思い出話から知ることができた。Nk氏の経歴はとても変わっている。今はブーメラン採用などと言われて出戻り社員を歓迎する風潮も出てきているが、Nk氏が若かりし頃はそんなことは稀であり、一度入った会社は定年まで勤め上げることが美徳とされ、途中で出ることはかなりの異端児扱いされていた頃だ。そんな世の中にあって一旦会社を出て、そして呼び戻されるというのはNk氏の実力もすごいのだが、受け入れる会社の度量の深さを感じる。そしてNk氏はそれ応えるかのように出戻ってからはより一層の活躍に活躍を重ね役員にまで昇ることになる。そんなNk氏を今回は紹介したい。

Nk氏は役員まで上り詰めた人間だが、その技術力はいささかも衰えはなく若い技術者と対等に渡り合える人だった。こう書くと口だけ達者な口だけおじさんなのではないか?と思う人もいるかもしれないが、自分で手を動かして提案を示してくるのだ。しかも無理強いすることなくスマートに紳士的にだ。口だけで「ああしろこうしろ」と言うだけは簡単だ。そんな役員は五万といるが、Nk氏は自分でやって見せるところがすごいところだ。元々技術的なことが好きなのだろう。そして度量が深いのだろう。時に、威勢のよい若造の言葉さえも受け入れて同じ土俵で議論してくれるのだ。「いいから俺のいうとおりにやれ」などと言わない。しっかりと最後まで聞いてくれて納得するまで議論してくれるのだ。
そして、なによりNk氏の魅力は個人個人をひとりの人間として認めてくれることである。Nk氏にまた認めてもらいたい。褒められたいと思うようになる。
Nk氏はずるいことやゴマスリには反応しない。もちろんそういう人たちも無碍にはしない。ただ話は聞いていてずるいことには適切に紳士的に指摘をして、ゴマスリにはニコニコして特段の上乗せはしない。仕事に対する姿勢や努力、結果に対して適切に評価して大いに褒めてくれるというか共感してくれるのだ。それが心地よい。最初のうちは「こんな爺さんに何がわかる」と反発していた若造ですら、次第に心を開いて大好きにさせてしまうそんな魅力を持った人間だ。

この人はさすが役員まで登ったと思える人だ。
こういう人の下で働ける社員というのは幸せものだと思う。
下の人間もまた彼を尊敬し敬愛し支えたいと思う。
彼のためならなんとしても成果を出したい。
やらされてやるのではなく、自発的にやるのだ。
それでも決してブラック的なところはない。
同調圧力もない。
家庭のイベントを理解し、「今日は早く帰ってやりなさい」と声をかけて帰してくれる。そういう時だけ周りも「そうだそうだ。あとは大丈夫だから、こういう時はお互い様」とありがたい言葉が自然と出てくる職場。
ほとんどの人が一生懸命に働いている気持ちの良い職場だ。

どうしてあの素晴らしい職場がこんな白いブラック企業にまで落ちたのか?
どうしてNk氏のような役員はいなくなったのか?
輝く太陽がいるとだけで明るい世界になる。
太陽がいないと暗黒世界になる。
小さい太陽は闇に呑まれ大きく成長できない。
それが白いブラック企業。
昔を黄昏ていても何も変わらないのだが、Nk氏のようなカリスマをその後白いブラック企業で見たことはない。定年延長の限界で致し方ないのだが失われた太陽の存在はとても大きい。

会社は人だと言われる。
「度量の深い人」「技術を追求する人」「仲間を思いやる人」
そういう人がいる会社が、「度量の深い会社」「技術を追求する会社」「社員を思いやる会社」と世の中で評価されるのだ。
今の白いブラック企業が薄っぺらい表面上だけのホワイト企業と揶揄されるのは、その会社の社員の質がそうだということなのだろう。

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