見出し画像

白いブラック企業はなぜ潰れない?

これまで白いブラック企業の残念な面々を述べてきたが、多少はまともな人もいるものの大半が表面だけは良い顔、一流ビジネスマンでございます的な顔をしているが、その実は会社のことなど何も考えていない、自分さえ良ければいいと思っている人間ばかりなのに「なんで潰れないの?」って思うことだろう。正直なところ実態は崖っぷちギリギリだと思う、それは腐った社員たち、管理職たち、役員ですらもたぶん気がついているはずである。もしも気づいていないのであれば、私の想像を超えるやばい状況と言えるだろう。何か良いこと(改善)をしようとすれば足を引っ張られ、罪を着せられて粛清される。誰かにちゃんと仕事をされると自分の立場が悪くなるからである。しかし乗っている船自体がこのままでは潰れるのに愚かなことなのだが、自分の保身が一番の腐った人々であるから明後日のご飯の心配より今日の夕食のことしか考えずに行動しているのであろう。

さて、そんなギリギリの状況、行き着く先は滅亡しかない状況下で、なぜこの白いブラック企業は生き残っていられるのかを考えてみたい。
もしも神様のモノサシがあるとすれば、どの製品、どのサービスが優れているかを知ることができるかもしれない。その価値が販売価格と比例するのであれば、買い手が必要な価値に応じて製品やサービスを選択して、それに見合うお金を支払えば最も理想的である。しかし、買い手は神様のモノサシを持っていないので、売り手の情報や口コミ、自身での調査なりをもとに価値を判断しなければならない。近年の円安や諸々の理由による資源不足や過剰需要によるインフレによって製品やサービスの価格は上昇している。中にはステルス値上げと言われる値上がりを一見していないように見えて量を減らすようなことも起こっている。もちろんその両方を巧みに組み合わせたり、徐々に減らすことにより可能な限り買い手が気づかないようになど、買い手の印象をできるだけ悪くしないように、ある意味工夫しているのである。普段消費する食品や衣料品などは買い手が比較的容易に量や価格を比較することができ、売り手側は製品価格や量の調整だけでこのインフレ&円安の局面を乗り越えることは難しい。そういった企業では社内の膿(ウミ)を出してスリム化しなければならず、このインフレ&円安は会社にとっては良い試練になることだろう。

しかし、価格が高いもの、例えば自動車や設備などは頻繁に購入するものでもないし、簡単に比較することはできない。自動車では試乗はできるものの、販売されている自動車のパンフレットに記載されているような機能はどのメーカーでも同じようなものがついているし、機能的にも、買い手の判断レベルでは判別できるような差はない、いや差を感じられるような買い手は少ないだろう。なんとなくかっこいいとか可愛いとかディーラーとのこれまでの付き合いがあるとかで、決めているのがほとんどではないだろうか?
最近ではYouTubeでこういった高価な自動車も比較したり、パンフレットスペックを確かめたり、実際の使われ方でのユーザ目線での比較や評価をしている動画を見るようになった。徐々に買い手側の得られる情報が増えて判断レベルが上がってきていると言える。
しかし、より高価なものや、一般の買い手(ユーザー)が使わない、買わないような設備であったらどうだろうか?さすがのYouTuber もここまでは手が出せない。それにそういった設備は最先端なもの、例えばレーザー加工機などはその性能がユーザにとって必要な品質であるから一目瞭然の結果として現れるが、そういった細かい精度が製品のセールスポイントとならないような作業機械、例えば工事を行うような機械車両や農業機械では掘れればよいし、耕したり、植えられたり、刈り取れればよいのである。要するに壊れずに長く使え、安ければよいのである。なのでパンフレットに記載されているような、なんだか先進的な機能など買い手からするとどうでもよいのである。どこの会社の製品も今の世の中ではそんなに差がないのである。正直なところ買い手にとって製品の差がよくわからないので、まぁ信頼できそうな会社や営業から購入することになるのである。あってはならないことではあるが中には違法な裏取引などもあるのかもしれない。合法違法はさておき、営業はあの手この手で自社製品を売り込んでいかなければならないのである。こんな営業戦士あっての会社なのである。なので白いブラック企業はこういった業界、あまり比較評価がなされない、購入単価が高く、購入頻度が低い製品の業界に多く存在してしまうのだろう。ぱっと見以前のものから見た目が変わっていれば新製品に見えるだろうし、パンフレットに書かれているような新機能など現場ではほとんど使わないのである。
したがって消費者の厳しい目に晒されない業界では、社員たちの腐敗が進み、もはやどうしようもないところまで行ってしまうのである。

最初にギリギリの状況と書いたが、これは現場においてこの白いブラック企業が存在している業界に革新的な製品が存在していないため、業界地図が大きく変化しないからである。もしも圧倒的な変化、例えばiPhoneのような、その当時の製品の考え方を一新する製品が現れた時、業界地図は一気に変わることだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?