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わらび

高校の頃、仲が良かった友人がいて、毎年6月ごろ、故郷の福島に私も一緒に連れていってくれた。なぜ6月かというと春の山菜採りをするため。

友人のお父さんは山男で、山の全てを把握してるんじゃないかというくらい、色々な事を知っていた。山の中の道なき道をかき分けて、わらびが自生している場所に連れていってくれる。

私と、友人、友人のお母さんは安全な場所で、友人父はちょっと危険な場所で(でも沢山採れる)それぞれわらび採りをする。

山の中に入ると、凄い勢いで疲れがとれてく。めっちゃ元気になる。

わらびって、最初は見つけるのが凄く大変だったけど、慣れてくると、先端のくしゅくしゅっとした若芽にだんだんフォーカスが合い、パッと目に飛び込んでくるようになる。

それがとても楽しくて、はまってしまった。食べるよりも、見つけることが楽しかった。今思うと、とても貴重な経験をさせてもらったな。

そういえば、四つ葉のクローバーを見つけるのも好きだけど、四つ葉も慣れてくるとフォーカスがパッとあって、わりとすぐに見つけられる。

人間って見たいものにオートフォーカスする機能がついてんじゃないかな、と思う。

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ところで、毒キノコって美味しいらしい。でも食べると中毒になる。身体に障る。

例え話だけど…

森に入ったときに、毒キノコを見つけて食べちゃって、苦しいけど、それに嵌まって…

毒キノコばかり探すようになって、見つけては食べて、ここに毒キノコあるんですけど!と怒ったり、泣いたりしてしまうようになって。…それは自由で。

でも毒というものは時に魅力的で中毒になる、身体に障るということは知ってた方がいいなぁと思う。

毒は自分にとって身体に悪いだけで、罪はない。離れて眺めれば、とても美しかったりする。美しいとも感じなかったら、目線を逸らせばいい。

森には全部ある。

探せば楽しくて美味しいわらびもあるし、上を見上げれば美しい空だったり、木漏れ日だったり、鳥のさえずりだったり…

全部ある中から、できれば心地いいものにフォーカスが合うといいなぁーと思う。




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