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ライブの感想: 2022 Xmas① / Skoop On Somebody

 気付けば2023年も残り1か月余り。今さらですが、去年のクリスマスシーズンに行ったライブが良かったので、少しだけ感想を残しておきます。


25th anniversary live Vol.3〜Christmas Live Tour 2022〜(2022/12/17 Zepp Namba)

 Skoopが毎年クリスマスシーズンにライブをしている事は知っていたが、一度も足を運んだ事は無かった。前年(2021年)に初めて行こうとして結局行けなかったので、自分の中ではいわばリベンジのような気持ちでZepp Nambaへ。座席は2列目のほぼセンター。2022年は何度かライブを観る機会に恵まれたが、こんな良席は初めてだ。

 ライブは、メンバー3人のみで演奏するClub S.O.S.スタイルで「Smile Again」からスタート。実はそれまではあまりピンと来ておらず、サビ以外はどんな曲だったっけ、と思うぐらい聴いてこなかった曲だったのだが、この時に初めて、クリスマスシーズンにこういったゴスペルを聴くのは良いな、と思えたのだった。1曲目がこの曲だったことで、クリスマスにライブを観る、という意識のスイッチが入ったような感覚だった。
 続いてこちらもシーズンもの、「eternal snow(Club S.O.S. version)」の後、早速最初のMCパートへ。この日は東海道新幹線の遅延の影響で空席がちらほらと見えていたのだが、「いま喋ってる間に来る人もおるかもわからへんし…」とタケさん。このMCパートを少し長めに取ることで遅れて来ている人を待ってあげようという気遣いの一方で、「(MCが長くなる事で終演が遅れるのを危惧して)みんな今日、時間大丈夫やんな?あっ、でも、そんなめっちゃ遅くまでやる訳じゃないし」とその場にいるオーディエンスにも気を配る。そんな優しさとちょっとしたファミリー感や距離の近さを感じる時間だった。
 Club S.O.S.スタイルの後半は、珍しい曲を、といった曲紹介から「Come Back 2 Me」。好きな曲だがライブで聴けるとは思っていなかったからか、イントロを聴いた時の衝撃とちょっとした眩しさを覚えている。続いて、「Hooray Hooray」ではお馴染みのシェイカー販促、だったはず。コーヘイさんが必死にずっと喋っている間に、ひっそりとタケさんがコーイチローさんにシェイカーを投げる、コーイチローさんナイスキャッチ、という瞬間が見れたのが面白かった。それにしても、この曲のClub S.O.S.アレンジはとても良かった。ボーカル、ピアノ、カホンの三本軸だけになったことで、より近くで、より暖かく、応援してもらっているような気分になる。
 ここでバンド(富永寛之さん、小松秀行さん、田中雪子さん)が登場し、以降はバンドサウンドでの演奏となる。まずは「free?」、そして「Nicen' Slow」。特に「free?」は2人時代の中でも特に好きな曲なので、えっ、この曲ドラム入りでやってくれるん?!と一人で歓喜(いま思えばアルバム「1997」の特典映像でも演奏されているのだからセトリに入るのは不思議では無いのだが、この時点でまだ特典映像を見ておらず)。ドラムが入ると一気にグルーヴィーになる。2人時代の曲を3人で、というシーンはこの前後も何度も観ているが、この時が一番嬉しかったかもしれない。
 この後はメンバー紹介やアルバム「1997」の話をされていた。今回ツアー初参加のギタリスト、富永さん。何処かでお見かけしたことのあるお顔・・・。後から調べてみたら、ブルームーンカルテットをはじめジャズなどを中心に活躍されている方だった。コーヘイさんがrejoinした事で、こういう関西のライブシーンの方の参加が増えるのは面白い事だと思う。アルバムの話では、コーヘイさんが珍しく全曲でドラムを叩いている(過去作は打ち込みも多い為)という一言から、コーイチローさん「僕も全曲弾いてる!」、すかさずタケさんも「俺もほぼ全曲歌ってる!」。そりゃあ、そうだよね(笑)。
 そんな新作アルバム「1997」からは「Lovin' You」を披露。もう時代は2020年代だというのに、70年代のフレーバーがふんだんに盛り込まれていて(実際は、John Legendが尾崎紀世彦を歌ったら、というテーマらしいので70年代"リバイバル"なのだろうけど)、アルバムの初っ端にこれを持ってきた事に思わず唸ってしまった1曲だ。音源ではサックスソロ(こちらもクレジットを見たら関西の方だと思ったのだが、きちんと確認できていないので何とも言えない)だったのが、このライブでは富永さんのソロになっていて、これが素晴らしかった。柔らかな音色、少しためて裏拍から入っていくリズム、ジャズ寄りの音使い。ソロの後半ではタケさんがコーラスのようなフレーズを入れてくるが、富永さんのソロに呼応し次第に絡み合っていく様子は、現実よりも想いが先行し縺れていくこの曲の歌詞を象徴するかのようだった。
 そこから「Sounds Of Snow」、「December」と再びクリスマスシーズンの曲が続く。「December」は昔、よくラジオ(魂予備校)で流れているのを聴いていた。年金がどうとか、当時「今時な歌詞だなあ」だなんて中学生ながらに考えていたが(2004年は年金改革があったので、年金というのはちょっとしたキーワードだった)、30歳を超えてやっと、年末繁忙期に忙殺されつつ年金を支払うサラリーマンとしてこの曲を等身大で聴けるようになった喜びを噛みしめる。2月の渋公(行った事も無いのに私は未だこう呼んでしまう)のライブの配信時にも感じた事だが、やっとSkoopの曲を大人同士の目線で受け取れるようになったのだ。
 シーズンならではの2曲の後はお馴染みのイントロをコーイチローさんが弾き始め・・・と思いきや、「間違えた~」というような素振り。ここでタケさんが「せっかくやから、『THE FIRST TAKE』のバージョンで」と紹介し、3人のアカペラから「sha la la」がスタート。この時のコーイチローさんのミスは本当だったのか、それとも曲紹介の為の演出だったのだろうか?
 バンド6人での演奏はここまでで、ここからラストまでは公募審査を勝ち抜いたクワイアメンバーと共に4曲。「ぼくが地球を救う~Sounds of Spirit~」、「Save Our Smiles」とアップテンポな2曲は、クワイアが入ることで音圧が上がったことは勿論だが、見た目にも楽しかった。一人ひとりの声のみならず、キャラクターにまで個性があったからだ。あの人は(良い意味で)目立ちたがりなのかな、あの人は控えめだけど芯が強そうだな、などと想像するのも面白い。声もキャラクターもバラバラなのに、分離せずに一体となって聴こえる。これがゴスペルという音楽が持つ性質なのだろうか、などと、Skoop以外でゴスペルを殆ど聴いた事の無い私は思うのだった。クワイアを迎えた編成での本編ラストは「街に愛があふれて・・・」と「Key Of Love」。いずれもクワイアが入ることで完成形を目の当たりに出来たように思う。
 アンコールは、ステージ中央に6人が集まり、まずはハンドベル演奏でのジングルベルから。コーイチローさん、ゆっきーさん、富永さん、小松さん、コーヘイさん、タケさん、という並びだったと思うのだが(違うかもしれない)、とにかく、小松さん・コーヘイさん・タケさんの3人がかなり怪しく、途中でロストしてテイク2へ。二度目も3人が危うい状態ながらもなんとか成功したが、終わって各自が位置に戻った瞬間、タケさんが凄みの効いた低音で「あとでミーティングな・・・」と一言。どんな反省会が行われたのだろうか(笑)。
 今度はちゃんとした演奏を、というような趣旨の曲紹介でアンコール1曲目は「Jingle Bells ~funky elements~」。これも昔からずっと好きなテイクだけど、誰もが知ってるスタンダードなクリスマスソングをこんな風に仕上げられるのは日本でSKoopだけなのでは無いかと思う程、ファンキー且つメロウだった。
 再び始まる長めのMCでは、翌年3月開催の北海道へのFCツアーの話題で持ち切り。タケさんが「オルゴール作るとか良いんじゃない?」と思いつきのアイデアを投げれば、「(3人の中で)スコアが読めるの俺だけやねんから、俺が(監修を)やらなあかんやんか」と狼狽えるコーイチローさん。行程説明の中でコーイチローさんが「ちゃんと帰りも送り届けますので」と言えば、食って入るように「そりゃ帰ってきてもらわんと『うちの子、小樽行ったまま帰ってこないんですー!』ってなるやん」とツッコむコーヘイさん。文字だけだと伝わらないが、とにかくこの会話のテンポの速いこと。
 そんな漫才のような会話から一転し、ラストはアルバムのタイトルトラックである「1997」をしっとりと聴かせてくれ、終演後はステージ上に3人並んでマイク無しの地声で「おおきに!メリークリスマス!」と挨拶し、終幕。

 私にとっては初めてのクリスマスツアーだったが、Skoopのライブや音楽は勿論だが、クリスマスシーズンにクリスマスにちなんだ音楽を聴くこと、の楽しさを知るライブだった。これからは私の中での毎年の恒例行事にしていきたい。

今年のツアー: 「Christmas Live Tour 2023」

 今年はバンド編成と3人編成、それぞれ5公演ずつの計10公演。私は関西の2公演に行く予定にしている。

新譜: 「Nice‘n Slow Jam -beyond-」

 気付けば新譜のリリース日が迫っていた。ツアーでも新譜の曲が聴けると思うので楽しみだ。