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Nathalie Wise【七月の夕凪】(2022/7/23 神戸 海辺のポルカ / 2nd set)

記憶も朧げだけど今さら少しだけ書く、去年のライブの感想シリーズ。
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 夏の神戸の海辺で、初めてのナタリーワイズ。活動再開した2021年のタイミングで知り(高野さんのbandcamp音源で販売されていたライブ音源を聴いた)、去年の同会場のライブには行けなかったので、この夏は絶対に行くぞと決めていた。
 とは言え、本当に申し訳ない聴き方をしているなと思うのだが、頭の中で曲と曲名が一致していなかったものが多く…。セットリストの記憶がほぼ無い。なので、全体の印象の感想のみ少しだけ。
 MCも無しに何曲か連続で続くのだけど、音楽を聴くというより映像を観ている感覚だった。映画のように物語があるというよりは、光が差したり風が吹いたり、木々や花の緑に触れたり、雨が降ったり、そんな様子をただただずっと眺めているような、そんな感じ。歌もスポークンワーズもあるから完全なインスト音楽という訳ではないのに、不思議だな。
 だから、演奏が終わってMCパートに入った瞬間、一気に現実に戻ったように感じたのだった。というか、MCパートが面白過ぎて(笑)。さっきまでの演奏は…?と戸惑ってしまう。細かい話までは覚えていないけど、終始笑いが止まらなかった記憶が残っている。
 後半はさらに少し緊張感も高まるような演奏で、特に、大好きな曲なのでこれだけははっきり覚えているのだけど、[Time Wave Zero]は一つ一つの音がずっしりと響くように聴こえた。オリジナルの高野さん【Sorrow and Smile】収録版と、活動休止前のナタリーワイズ【film silence】収録版、音源だけ聴き比べても、年齢と共に変わっていく曲なのかなと思っていたのだけど、2021年以降のナタリーワイズのバージョンは、もっと深く広く世界を捉えているように聴こえる。同じ曲で、歌詞もそのままなのに、面白いな。(あと話が少し逸れるけど、これを書いている今日2/23に行われた中村竜さんのライブにて、ゴンドウさんをゲストに迎えて同曲を演奏されていたらしく、そのバージョンも観てみたかったな、と思っている。)
 次に観れる機会があればまた行きたいな。東京のライブはよく配信もされているけれど、この時の演奏に圧倒されたから、やっぱり生で観たい。
 
 それから、あっという間に過ぎた時間だったけど、全編通して、曲と一体化していた「海辺のポルカ」のロケーションが一番印象的だったかもしれない。今回私が観た2nd setは18:30スタートだったのだけど、窓から見える景色が、序盤はまだ明るい昼間のような海辺だったのが、だんだん夕暮れに変わり、終わる頃にはすっかり夜景になっていた。そこに、散歩か、或いは観光か、様々な人が行き交う様子も曲と重なって。そして何より、昼から夜へと変わっていく海の様子と共に演奏を楽しめたのは、7月というタイミングだからこそだったのだと思う。【七月の夕凪】というタイトルそのもの、のライブだった。

 この、夏しか体感できないライブを観たくて、また海辺のポルカにも絶対に行きたいと思っていたのに…。ここから3か月も経たない間に閉店してしまったことが悲しい。きっとまた素敵な場所で復活してくださることを願っている。