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「先生にお任せします」はダメですよ

白内障手術の説明を一通り終えた後、「質問はありませんか?」と尋ねます。でも、「ありません。先生にお任せします」と答える患者さんは未だにいらっしゃいます。
こういう人に限って、術後に「こんなはずじゃなかった。以前は、メガネをかけなくても新聞が読めた」と不満を漏らします。「術前に、老眼鏡がないと新聞は読めませんよ、とお話ししましたよね?」と言っても、「聞いてない」と言われます。困った患者さんです。

このような患者さんは、医者を神様だと思っているのかもしれませんね。自分のことは何でもわかってくれている、自分の望みを全て叶えてくれる、と考えているのだと思います。でもそれが裏切られると、とてつもないクレーマーになってしまう。

勝間和代さんの「まじめの罠」という本にこんな一説がありました。

『日本社会の特徴の1つに「祭り上げ」と「神殺し」と言うプロセスがあります。これは、まずは自分が後で責任を取るのを防ぐために、普段から「神のように賢い人や集団」と言う存在を勝手に作り出し、祭り上げておくのです。すなわち、「私たちは、その賢い人や集団の言うことを素直に聞いていますよ」といつでも言えるような言動を取ると言うわけです。しかし、その賢い人や集団が何かの際に失敗したりすると、今度は手のひらを返し、「神殺し」、すなわち、こうした人や集団を「神」の座から引きおろすような行動をとるのです。』

政府と国民の関係でも、こういうことってありますよね。「政府に任せておけばいい、だって自分にはどうすることもできないから」と考える日本国民の多いこと。しかし一旦その期待が裏切られると、とことん政府を批判し、非難しますよね。

このような背景には、「自分で決めない」という日本社会の特徴があるのではないでしょうか。他力本願的なところがあるのかなと思います。

患者さんには、自分が何を求めているのか、よく考えて手術に臨んでほしいですね。「先生にお任せします」では、ダメですよ。


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