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目尻の皺が愛しい

お互い顔を向けると
磁石のように唇が重なる。

柔らかな感触。
これ、これが好き。
自然と口角があがる。

口を少し開き、舌を絡める。
はじめはそっと、優しく。

お互いの口の中を自由に、
好きなように舐め尽くす。

一旦唇を離して、顔全体が見える距離。
見つめあって「美味しいね」と伝えたい。


うん、と少し首を縦に振るから、
また安心して、唇を奪いにいく。

夢中になって、粘膜を擦りあわせる。
奥の奥まで、自分の中かと思う。

これは雲丹とおなじ。
口の中で一瞬のうちに一体化し、
溶けてなくなる雲丹。

なんの違和感も異物感もない。
最初から私の一部のような感覚。

「雲丹みたい」って言ったら、笑ったのかな。
目尻の皺が愛しい。

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