カードキャプターさくらクリアカード編の謎に関する考察①戻れなくなるの意味

 DMPなんだからデュエマに関係したnoteを書けと思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、それでも僕はカードキャプターさくら(以下CCさくら)クリアカード編の考察記事を書きたいと思ったので今回はCCさくらに関する記事を書いていこうと思います。

撫子さんが言った戻れなくなるの意味とさくらの前に現れない理由


 『戻れなくなる』

 CCさくらクリアカード編で結構聞く言葉だと思います。

 言われているキャラクターは二人いて一人は主人公の木之本桜、もう一人は現在クリアカード編に於ける黒幕となっているユナ・D・海渡です。

 それぞれさくら(本編中では彼女の名前は平仮名で表記される為以後このように表記する)が夢の中の不明な声と彼女が小さな頃に亡くなった母の撫子さんに、もう一人の海渡はモモ(彼女については後々別の記事で語っていこうと思います)に言われています。

画像1

画像2

 さて、これら二つとも同じ言葉が使われていることと起こっている事象が同じである為さくらと海渡が置かれている状況が混同されることがあります。

 具体的に言えば海渡は極めて強い力を持つ魔術師でこそあれこの世ならざる者を見る力は無かった筈なのに撫子さんの霊を見ることが出来るようになってしまいました。海渡本人曰く、そうなってしまった理由は撫子さんに近い存在になってしまっているからだそうです。

画像3

画像4

 このやり取りが行われるまでに海渡は時間操作の魔術を多用してきた為に文字通り命を削っており、死期が近いらしいことが示唆されています。言ってしまえば幽霊が見えるのは自分も幽霊になりそうだから、ということです。

 そして、じゃあ同じことようなことが起こっていて、同じような言葉が並べられているさくらも同じように命の危機に瀕しているんじゃないの?と思われてしまっているワケです。

 ですが、僕はこれに関しては違うと思っています。

 そもそもさくらには魔力が強くなっているという言及こそあれ、海渡のように視界がぼやけたり突然苦しみ出すような描写はありません。

 では、何が理由で撫子さんは『戻れなくなる』と言ったのか。

 結論から言う前にまずさくらにこの言葉がかけられた状況から整理していきましょう。

 さくらは曾祖父の真嬉さんに撫子さんが生前お気に入りだった別荘の一つに招待され、庭で恋人の小狼を交えてお茶を飲んでいたところお茶が足りなくなりそのおかわりを貰いに別荘の中に入りました。建物の中に人がいて声をかければお茶が貰えると言われていましたが中には誰も人がおらず、探してさまよっているいうちに撫子さんが使っていた部屋にたどり着きます。

 そこでさくらは『記録(レコード)』のカードを使い撫子さんが生きていた頃の姿を映し出します。

 その途中で過去の撫子さんの姿を塞ぐように幽霊の撫子さんが現れさくらに言葉をかけます。

 『これ以上は』『戻れなくなる』と。

 重要なのは『これ以上は』の部分でしょう。このままさくらが記録のカードを使い続けていたらどうなっていたというのか。

 ここで重要になるのはクロウカード編で幻(イリュージョン)のカードを捕まえた時のエピソードです。

 それを見た者に最も見たいと思うものを見せる力を持つ『幻』を見た時、さくらは撫子さんの姿を見ました。その思いたるや凄まじいもので、幻の力に充てられたさくらを助けだそうとしたケロちゃんを弾き飛ばしてしまうほどです。

 そう、さくらには撫子さんに会いたいという気持ちがあります。『お空の綺麗な場所にいてくれる方が嬉しい』気持ちの方が強いながらも『お母さんに会いたい』のです。

 きっとあのまま記録を使い続け、昔の撫子さんの姿を見続けていたらさくらはこう思っていた筈。

 『お母さんに会いたい』と。

 2021年6月現在の時点で公開されているエピソードを全てお読みの方ならお分かりのことと思いますがクリアカードはさくらが無意識にも意識的にも望んだことが全く新しい魔法具として成立してしまったものです。

 意識的にお母さんと会いたいと思ってしまっても恐らくカードとして成立してしまうでしょう。

 ですが、CLAMP作品の世界観に於いてどんなに強い力を持つ人がどんなに望んだとしても一度死んだ人間は絶対に甦りません。

 望みは叶わない。

 いや、叶わないどころか多くの人間を巻き込む悲劇の引き金ともなりかねません。(この辺は同作者様方の作品『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』をお読みいただければ分かるかと思います)

 さくらは人を慈しむことが出来る優しさに溢れた少女です。

 きっと自分の願ったことの為に多くの人が不幸になるようなことがあれば深く傷つくことになるでしょう。

 もしかしたら人として壊れてしまうかもしれません。

 つまり撫子さんはさくらに『自分に甦って欲しいと少しでも思わせないように過去の姿を見せようとはしなかったし、今も姿を現さない』ということです。

違和感

 さて、ここまでお読みいただいて、言語されたものを見て違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか?

 もしさくらが屋敷を入ってすぐに誰か人を見つけていれば撫子さんの部屋まで行くことはなかったのではないか?

 それ以前に真嬉さんがさくらを呼び出すことになった理由は真嬉さんが渡したいものがあるのに、その直前に出張が決まり日本に帰ってこられるのが大分先になってしまったから。そういった事情と真嬉さんの年齢を考えれば今渡したいと思うのは仕方のないことだが何故出張が決まってしまったのか。

 あまりに出来すぎてはいないだろうか?

 僕個人の妄言として流していただいても構いませんが、恐らくさくらが死者の蘇生をつい願ってしまうような状況を意図的に作り出した者がいます。

 では、それは一体誰なのか?

 ユナ・D・海渡なのか?それとも詩之本秋穂を魔法具にしてしまった魔術協会の者たちなのか?

 その辺りの考察もしていきたいところですが、今回はここまで。大変申し訳ありませんがまた機会があればということで。

 ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。

〈了〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?