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ネムノキ

写真は6月末~7月上旬のもの。花の時期になるとかわいいピンク色で遠目でもよくわかる。
公園や住宅地内にも植えられているけれど、山にもけっこう自生している。
山と言っても林道沿いや林縁など「フチ」に当たる場所に多いのは、
日当たりが良くないと生育できない「陽樹」だからなのかと納得した。
高さは6~10mほどになり、成長は早いけれど、花が咲くまでに10年ほどかかるのだそう。
「一才ネム」という園芸種は3年ほどで花が咲くのだとか。
毛が集まった筆のようなふわりとした花がユニークで、この花には「桃に似た香り」があるそう
なのだけど、香りを嗅げそうな高さの木はあまりないのが残念。
葉は暗くなると閉じ(「就眠運動」)、形も特徴があって、
15~30対の葉がついた羽片が6~10対ほどつく、2回偶数羽状複葉と言うそう。
つぼみは10~20個がボール状に集まる。
少し見えているのは雄しべの先で黄色いのが葯。
花弁5枚が合着したものの先が少し開いて、ここから長い花糸が伸びるのだそう。
夕方になると花が開き始める。
つぼみにアリがよくいる。
毛のような花のほとんどは雄しべ(約30本)で、
毛の根元は白く、毛先がピンク色で、その先に黄色い葯がついている。
雌しべは一つの花に1本で、雄しべより少し長く、先まで白い。
日没ごろに甘い香りを放ちながら花が咲き、夕方から活動して花粉を媒介してくれる
スズメガの仲間を誘うのだそう。
花の根元部分が漏斗状の花弁(5枚)。
雄しべが先に花粉を出して、雄しべがしおれてくると雌しべが目立つようになるそうなので、
上側に見える白いのが雌しべじゃないかと思う。

もうすっかり終わったと思っていたネムノキだけど、林の中の混みあってやや陰になる場所ではまだ花が咲いている木があった。上の写真は6月末~7月上旬のもの。
ネムノキは、明るい日の当たる場所を好む種(陽樹、日陰を好むのは陰樹)で、他の樹木がまだ生えていない裸地などに真っ先に侵入するパイオニアツリー(先駆性樹種)なのだそう。マメ科なので根粒菌と共生して窒素分を得ることができるため荒れ地などで生育でき、成長が早く、立ち木の伐採跡地や、新たに林道や遊歩道を通した周りでよく見られるとのこと。

夜になると葉は両側から合わさり、眠ったように見える。これが「ネムノキ」の名の由来で、就眠運動と呼ばれ、マメ科の植物でよく見られる生態なのだそう。薄曇りの日や暑さが酷い時にも閉じるらしい。
ところで、ネムノキは二度咲く(梅雨入りの時期に花が咲き、7月後半に枯れ、8~9月に再び咲き始める)という情報も見つけたのだけど、詳しい話は見つけられず。どうなんだろう?周囲のネムノキの様子を見ておこう。

ネムノキ(合歓木、合歓の木、Albizia julibrissin)
マメ科ネムノキ亜科の落葉高木。花期は6~7月。
本州~九州に分布。
漢字の「合歓木」は「歓びが合わさるのでめでたい木」という中国名「合歓」に由来したもの。

ネムノキの葉を乾燥させ、粉末状にして抹香として使われるそう。
食用にもなるそう。「ネムノキの葉にはクエルシトリン、若葉にはビタミンCなどを含み、ゆでて食用にされる。牛馬の飼料にもなる。」

中国医学では、花を乾燥させたものを生薬「合歓花(ごうかんか)」として精神安定や不眠解消の効果があるとされ、樹皮は「合歓皮(ごうかんひ)」とし利尿・強壮・鎮痛効果があるとされる。

花や樹皮を薬酒にもするそう。






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